生まれて初めてチーズを口にしたときの記憶を鮮明の覚えている。
見た目の第一印象は
「まるで洗濯石鹸のようだ…」
と思った。
小学校低学年のころだったと思う。
駐留軍の物資だと思うが、とても固いものだった。
それが生まれて初めて食べたチーズの記憶だ。
その時食べた味は、
しっかりした食感、やがてクリーミーな味が口の中に広がり、
実に美味しいものだった。
誰にでもあると思うが、昔食べた美味しい食べ物の記憶は、
しっかりと脳に焼き付いているものだ。
以来半世紀以上生きてきたが、
あの時のチーズの味に出会ったことが無かった。
ところが先日買い物に行ったとき、ふと目に入ったチーズがあった。
とても大きいナチュラルチーズ。
オランダ製であったが、思わず衝動買いしてしまった。
そして口にした。
懐かしく美味しい昔食べたチーズに近かった。
二度と会えない初恋の人に会ったような喜びが広がった。