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ため息の読後感・・・(-_-;)『悲しみのイレーヌ』byピエール・ルメートル

2016年10月14日 | 小説レビュー
~『その女アレックス』の刑事たちのデビュー作連続殺人の捜査に駆り出されたヴェルーヴェン警部。事件は異様な見立て殺人だと判明する…掟破りの大逆転が待つ鬼才のデビュー作。


「はぁ~・・・。」と、ため息しか出ません。とても暗い気持ちになる小説でした

ピエール・ルメートルという作家さんは天才です、奇才です!なのに、この読後感の原因は、日本の出版社の責任が大きいと思いますね

1、翻訳出版の順番を間違えている。
2、邦題が悪い。

というところですね

ピエール・ルメートル氏のデビュー作が「Travail soigné(丁寧な仕事)邦題:悲しみのイレーヌ」で、二作目が「Alex(アレックス) 邦題:その女アレックス」でした。

両方の作中で活躍する切れ者刑事、カミーユ・ヴェルーヴェン警部ですが、この2作品は繋がっていて、「悲しみのイレーヌ」の大事件の後に、『その女アレックス』の事件へと続きます。

日本の出版社は、売上げのことを考えて、順番が逆になってしまったのかも知れませんが、やはり「丁寧な仕事」から翻訳出版するべきだったでしょう。

「アレックス」を読んだ後に「イレーヌ」では、2作目には居なかった人たちがいるので、「あぁ~、この人たちは何らかの理由でいなくなってしまうんやろうなぁ・・・。」と、予想というか、結果が見えているので、かなり興ざめでした。

また、何故に邦題が『悲しみのイレーヌ』になってしまったのか?色々な方がレビューにも書いておられる通り、「最後にはイレーヌに悲しい出来事が・・・。」と、簡単に想像できてしまう邦題でしょう?

しかも、イレーヌが悲しむというよりは、ヴェルーヴェンが悲しいのではないでしょうか?それこそ邦題は「模倣犯」でもよかったでしょう。

さて、本書の感想ですが、アレックスよりも更に残虐なシーンが多く、女性には読むに耐えない描写が多くありますので全くオススメできません。

しかしながら、ただ単にトリックが仕掛けられていて「本当の犯人は!?」というミステリーではなく、一段上というか、本全体がトリックのような、「ほほぅ~そうきたか!」と唸らせるような、奇想天外な仕掛けがあるので、やはりルメートル氏は奇才だなとも思いますね。

色々と書きましたが、プラスマイナスを色々と加味して、

★★★3つです。