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あなたの人生の値段は?『三日間の幸福』by三秋縋

2016年10月20日 | 小説レビュー
~どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。
寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。
未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。
空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。
彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。
ウェブで大人気のエピソードがついに文庫化。「BOOK」データベースより


京都市の図書館に会員登録をして、初めて借りた本なんですが、正直、この作品にあまり期待をせずに読み始めました。

でも、とぉ〜〜〜っても素晴らしい作品でした!

これはファンタジーです。現実には起こり得ない物語です。それをわかっていながら、これほど物語にダイブできる作品はないでしょう!

よく、「あと余命一ヶ月と宣告されたら、あなたはどう過ごす?」という疑問について考えなかった人はいないのでは?

また、「あなたの命の値段はいくらぐらいだと思いますか?」、「あなたの人生の価値はどのくらい?」等々・・・、僕もたまに考えたりします。

そして、「僕の人生は輝いているのか?これから輝くのか?」、「人生をやり直せるなら、何歳に戻ってやり直す」、「昔付き合っていたあの人は、今どうしているんだろ?」、「あの時、あいつには迷惑をかけたなぁ」、「あいつには救われたなぁ」等々、人は自分の人生について一度も振り返らずに生きていくことはできないでしょう。

僕も、もちろんそんな一人です。

この小説は、そんなことを改めて考えさせられる、貴重な作品です。

『三日間の幸福』という題名から、「最後は『悲しいハッピーエンド』を迎えるんやろうな」と、漠然と思いながらページをめくりましたが、途中から本当にページをめくる手が止まりません!グングン物語に引き込まれて、ラストには涙がこぼれました。

一日で読めてしまうくらい、とっても読みやすく、感情移入してしまい、最後には思わず空を見上げて清々しい気持ちになってしまう作品です。

これから輝かしい人生を過ごす可能性に満ちた若い人たちに読んでもらいたいですが、僕たちのような人生の折り返し点を迎えている世代、そして、いよいよ人生の幕引きを迎えようとしている方々にも、ぜひ読んでもらいたい素晴らしい作品です。

★★★★4つです!