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長編悲喜劇『天国でまた会おう 上・下』byピエール・ルメートル

2016年10月28日 | 小説レビュー
~1918年11月、休戦が近いと噂される西部戦線。
上官プラデルの悪事に気づいたアルベールは、戦場に生き埋めにされてしまう!
そのとき彼を助けに現われたのは、年下の青年エドゥアールだった。
しかし、アルベールを救った代償はあまりに大きかった。
何もかも失った若者たちを戦後のパリで待つものとは―?『その女アレックス』の著者が書き上げた、サスペンスあふれる傑作長篇。
フランス最高の文学賞ゴンクール賞受賞。「BOOK」データベースより


読みごたえある戦争長編大作でしたf(^_^;

第一次世界大戦時、フランスにおける、戦争末期〜戦後混乱期の兵士たちを取り巻く様々な階層の人達との関わりを描いた物語です。

まぁ〜、とにかく上巻がしんどかったぁ〜(×_×)

戦争の悲惨さをピエール・ルメートルらしく、無惨にリアルに、そして残酷に描かれていますから、とにかくしんどいお話に明け暮れます

しかし、暗〜く、ジメジメとした、しんどい上巻を頑張って乗り越えると、クライマックスに向かっていく期体感と個性的な脇役たちの活躍によって、活劇的な下巻がスタートします。

加速度的に物語が進行していく様は、チャップリンのモノクロ映画のような滑稽さと物悲しさが混在する独特の世界観です。

ミステリー的な要素は少なく、勧善懲悪ストーリーで、読み終えたあとは、「ふぅ~」と大きなため息と、一種の清々しささえ漂う感覚でした。

あとがきを読めば、いかに作者が沢山の文献や資料を読み、時間と情熱をかけて書き上げたかがわかりますが・・・。
まぁ、時間がたっぷりとあり、エグい描写に耐えられる方になら薦めてみてもいいですけどねぇ

★★★☆3.5です。