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これはタメになります。『男の作法』by池波正太郎

2018年07月04日 | 小説レビュー
~てんぷら屋に行くときは腹をすかして行って、親の敵にでも会ったように揚げるそばからかぶりつくようにして食べなきゃ…。
勘定、人事、組織、ネクタイ、日記、贈り物、小遣い、家具、酒、月給袋など百般にわたって、豊富な人生経験をもつ著者が、時代を超えた“男の常識”を語り、さりげなく“男の生き方”を説く。「BOOK」データベースより


職場の人が「時代小説なら池波正太郎でしょう!」とのことで、amazonや図書館のリストで調べたところ、『鬼平犯科帳』シリーズや、『剣客商売』シリーズなどで有名な作家さんでした。

しかしながら、両方ともシリーズものなので、手を出しづらく、いろいろ探したところ、この『男の作法』が気になったので、借りてきました。

どこかで聞いたような、いわゆる「当たり前の話」が、池波氏の実体験に基づいて、わかりやすく書かれています。

僕も読んでいて「ふ~ん、なるほど」と思われる記述があったので、以下に抜粋します。

「求心力」:何かをしたいと思ったら、絶えずイメージするようにする。
そうすれば、何かにつけて実現に向けて計画的になるものだし、無意識的に段取りをつけていくものだ。

「外食の場合」天ぷら屋、寿司屋などに行くときは、店の立場になって考える。
カウンターで寿司や天ぷらを前に並べて、ダラダラ話し込んで飲まない。いちばん美味しい状態で食べてあげるのがマナー。夜のクラブでもそう。お店が混んできたなぁと思ったら、水割りをチビチビやりながらダラダラ飲まずに、すっと席を立つ。

「男の持ち物」万年筆や中身を入れ換えられる革表紙の手帳などは武士の刀のようなもの。 良いものを長く使い続けるようにする。貧乏侍でも腰の大小は出来るだけ立派なもの差しているというような感じ。

「五分五分」人生は全て五分五分と考えると、甘い期待もしないし、最悪の場合も想定して、自分が出来る最大限のことをする。そうしていると、ダメだった場合でも落胆は少ない。

てな感じです。
1984年に改訂出版されていますが、30年以上前の文章であり、若干の旧さは否めませんが、それでも現代に充分通用する内容で、キザに映らない男としての『粋』や、紳士的な心配りなどが書かれております。

もちろん、20代~30代のあたりで読んでおくと人間的に深みと重みを与えてくれる良い作品ですが、いよいよ50代に差し掛かろうとする僕が読んでも、「こういうことが出来てないよねぇ~」と、色々気付かされる良い作品です。

★★★3つです。