~晴れて夫と離婚したものの、経済的困難から結婚相談所で男たちに出会う中米志津子。早期退職に応じてキャンピングカーで妻と旅する計画を拒絶される富裕太郎…。みんな溜め息をつきながら生きている。ささやかだけれども、もう一度人生をやり直したい人々の背中に寄り添う「再出発」の物語。感動を巻き起こしたベストセラーの文庫化!「BOOK」データベースより
私、現在49歳、今年50歳を迎える中年男であります 人生の折り返し地点どころか、2/3が過ぎたけれども、これからどんな未来が待っているのか、とても明るい気持ちにはなりません。
これからは、体力や筋肉量は落ち、髪の毛は白くなり、抜け毛も増え、肌ツヤは悪くなり、歯もガタガタ、骨も脆くなり、記憶力・発想力が衰え、若い者たちから侮られ・・・、本当にどうなっていくのか不安しかないですよね
私自身、定年まで勤めることが出来たとして、あと15年。そして16年目から何をして過ごすのか?本当にノープラン過ぎて、考えれば考えるほど怖くなります
そんな漠然とした不安を抱えている私が、この2021年2月に図書館で借りてきて読んだ『55歳からのハローライフ』は、僕の心にズドンと響きましたね
作家の村上といえば、春樹も龍もどちらも大好きなんですが、どちらかといえば『龍』派な僕は、村上龍氏の尖った作品が大好きです。今作は決して尖っていませんが、とても鋭く社会の一片を切り取って巧みに表現されています。
この小説を読んだミドル世代全員が、5つの中編小説の中から、何らかの共感を得ることは間違いありません!
レビューの欄には、「50歳の時買って読んだこの本を、55歳になったときもう一度読んでみました。〈~中略〉前回は何とも思わなかった、『空を飛ぶ夢をもう一度』という話にやけに感動しました〈~中略〉昔読んだ本をもう一度読むことも決して時間の無駄ではないと思いまいした。」とありました。
僕も読み終えた後、購入して手元に置いておきたい気持ちになりました。というのも、「55歳になった時、60歳になった時に読み返してみて、今の自分がこの物語の中に出てくる人たちと、どのように違って、どんなところが同じなのか?自分は良い人生を歩んでいるのか?」ということを確認してみたいと思ったからです。
また、別の方のレビューでは、「~お金も必要ですし、一緒に生きてくれる人、生きがい、健康が何より大切になってきます。日頃から大切だと言われ続けたことが、”本当”に試される場面が必ずやってくることを忘れてはなりません。
サラリーマンを辞めた後でも、老人になってからも、人生は続きます。威厳のある老人、を目指したいものです。
この小説は、老後を真剣に考え始めるきっかけになるように思います。」と締めくくってありました。
30代、40代前半あたりでは、中々実感が湧かないかも知れませんが、アラフィフ世代には間違いなくビンゴの作品だと思います。
55歳までと、55歳からでは、随分と価値観などの考え方が変わると思いますし、いかに楽しく充実した『セカンドライフ』を過ごすことが出来るかは、それまで歩んできた人生、積み上げてきたお金、経験値、人脈などにかかっているかもしれません。
すでに遅いかも知れませんが、これからの5年間、一日一日大切に過ごしたいと思います。
★★★☆3.5です。