~「むかし、あるところに、マーリアという名の売春婦がいた」。マーリアは、ブラジルの田舎町に育った美しい娘。恋愛に失望し、スイスの歓楽街で売春婦をして暮らしている。セックスによる陶酔など一度も味わうこともなく、日記帳だけに心を打ち明ける毎日。だが運命的な出会いが、マーリアに愛の苦しみと痛み、そして至上の喜びをもたらそうとしていた―。「BOOK」データベースより
何で検索したのか忘れましたが、「愛」がテーマの小説をさがしていたんでしょうかね?とても評価が高い小説だったので、内容の先入観なく、『11分間』というタイトルにも惹かれたので図書館で借りてきました。
物語は、ブラジルの片田舎で生まれ育った可愛らしい女の子が、ファッションモデルに憧れてスイスに渡るんですが、よくある詐欺のような話で、ある日から娼婦街で娼婦になって暮らしていきます。
しかし、物語に暗さや陰湿さは全くなく、ヒロインのマリーアが、とってもキュートで、言葉や考え方に好感が持てます。
物語の進み方としては、作者が書くドキュメンタリー小説のような形で、一節区切りで、マリーアの日記が挿し込まれています。それがまた良い味を醸し出していて、読み疲れがありません。
そして、多くの男たちと交わっていく中で、愛、夢、男、女、セックス、プレゼント、お金、快楽、苦しみ、喜び、痛み・・・、本当の愛とセックスについて考えていくお話です。
マリーアの働くお店は、娼婦街の中でも高級店であり、社会のエグゼクティブが通うお店なんですが、小さな夢を持ち故郷に錦を飾るべく日々の仕事に励むマリーアに、店主が「特別な客」と引き合わせます。この特別な客によってマリーアの運命の歯車が大きく動き出し・・・。
ということで、大変面白く読ませてもらいました。
女性が読んでも男性が読んでも楽しめるし、色々なことを自分に重ね合わせてみたりして考えさせられる作品でした。
★★★☆3.5です。