「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

小説としては稚拙だが、『天国で君に逢えたら』by飯島夏樹

2017年11月03日 | 小説レビュー
〜ガン患者の心の叫びを代筆する“手紙屋"を病院内に開業した精神科医・純一。
彼の元には嘘つきな陸サーファー、放蕩を尽くした眼科医、失職しそうな元ヤンキー板前など、ひと癖もふた癖もある面々が依頼に訪れる。
そんなある日、家族のもとで最期を迎えようとハワイに帰った患者の妻から手紙が届いた……。
末期ガンに襲われた世界的ウィンドサーファーが綴る、奇跡のような愛の物語。


図書館で注文している本が届いてはいるんですが、なかなか取りに行けなくて・・・、とりあえず、職場の図書館で目についたので借りてきました。

映画化もされていて、なかなか有名な作品らしいのですが、それとは知らずに読み始めました。

実在したプロウインドサーファーの飯島夏樹さんという方が、末期ガンに侵されながらも、必死の思いで筆をとった、まさに絶筆という作品です。

小説家が書いた文章ではないので、プロットの組み立て方や構成に若干の稚拙感は否めませんが、まさにガンの苦しみと闘いながら書き連ねた文章として捉えると、かなりの迫力があります。

38歳で、この世を去らなくてはならなかった筆者の無念さと、その反対側にある、「きっとあの世は暖かな光に包まれた神の世界が・・・」と思いたくなる気持ちもよく表れていますね。

登場人物の中に『シュージさん』というのがいるので、かなり共感を覚えながら読みました(^_^;)

クライマックスでは心震えますが、涙がこぼれるところまでいかなかったのは、やはり文章力不足でしょう。

★★★3つです。

最後がイマイチ『99%の誘拐』by岡嶋二人

2017年11月01日 | 小説レビュー
〜末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。
そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。
そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。
その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作。「BOOK」データベースより


僕はこの『吉川英治文学賞』、『吉川英治文学新人賞』受賞作が肌に合うというか、結構好きな作品は、この賞を獲ってるんですよね。

『ワイルドソウル』、『夜のピクニック』、『パイロットフィッシュ』、『名もなき毒』などなどです。

さて、本作ですが、2/3ぐらいまではかなりの興奮度合いで、期待しながら一気に読みましたが、ラストがイマイチ尻窄みでしたね(^_^;)

何となくエンディングが予想できましたし、もうちょっと何とかしてほしかったです。

伏線回収率も少し足りませんし、モヤっとしたまま終わってしまいました。

それでも、25年ぐらい前に、これほどのIT技術を駆使したストーリーを考え付いた筆者(二人の合作らしいのですが)のプロットの組み立て方に脱帽です。

★★★3つです。