まわる世界はボーダーレス

世界各地でのビジネス経験をベースに、グローバルな視点で世界を眺め、ビジネスからアートまで幅広い分野をカバー。

続・世界は素晴らしい広告で溢れている (新型コロナウィルスの時代にこそ必要とされる広告)

2020-04-12 16:38:55 | 広告

前回に引き続き、新型コロナウィルスに関連した世界のコマーシャル映像をご紹介していきたいと思います。紹介しきれないほど沢山の作品があるのですが、今回も7点をセレクトしてみました。

1)DOVEのコマーシャル「勇気は美しい」



医療従事者の顔写真が映し出されます。医療用マスクやゴーグルの跡が顔にくっきりと残っています。従来の基準で言えば、美しいとは言えない写真です。そして、登場するコピーが、”Courage is beautiful” (勇気は美しい)。それに続いて、「感謝の印として、ダヴは最前線の米国医療従事者の皆さんためにDirect Relief (米国の非営利医療サポート団体)に寄付をしています」の文字。スキンケア、パーソナルケアのブランドであるダヴならではの貢献です。実に美しいブランド訴求です。

2)CNNのコマーシャル「Thank You」



世界各地の新型コロナに関連した写真が映し出されます。スチル写真の一枚一枚が実にパワフル。その背後にあるそれぞれの物語を感じさせます。そして、これまた感動的なコピーが。「日々、嵐の中に身を投じている世界中の全ての皆さんに、私たちは感謝を捧げます、賞賛を捧げます」。ストレートなメッセージですが、報道のCNNという姿勢も明確に出ているし、素晴らしい映像です。

3)バドワイザー「ワン・チーム」



昨年、日本でも流行語になった “One Team”ですが、バドワイザーの広告のテーマとして使われています。無人のスタジアムの情景から始まり、新型コロナに対応する医療関係者から、人々の生活を支える様々な人の写真が映し出されます。写真に合わせて、”This Bud’s for the Blues”というナレーション。”This Bud’s for 〜” というのはバドワイザーの以前からの決まり文句なのですが、”Bud”はバドワイザーのことで、このバドワイザーを誰々にということで、「〜にバドワイザーで乾杯」という雰囲気になります。Blues, Redsとくるので、写真の中の色を示しているだけかと思いきや、Worriors, Magicなどと続きます。実は、これらアメリカのプロスポーツチームの名前なんですね。Blues = St. Louis Blues (バスケット)、Reds = Newark Reds (フットボール)、Worriors = Golden State Worriors (バスケット)、Magic = Orlando Magic (バスケット)、Athletics = Oakland Athletics (野球)、Giants = San Francisco Giants (野球)、Jazz = Utah Jazz (バスケット)、Trail Blazers = Portland Trail Blazers (バスケット)、Braves = Atlanta Braves (野球)、Yankees = NY Yankees (野球)、Angels = Los Angelese Angels (野球)、そしてホームチーム。最後のホームチームというのは、外出自粛をして家に留まっている人たち全員を指していますが、見事なコピーです。そして最後に、「今シーズン、私たちは全員ワンチーム。当社はスポーツへの予算を、最前線のヒーローたちへの援助に移しました。新型コロナ禍の期間、スタジアムを使って、アメリカ赤十字の献血運動をスポンサーしています」スポーツでなくとも、拍手喝采です。見事な社会貢献、そしてそれを粋に伝えるコマーシャル。見事です。

4)Oxygen for Africa (アフリカに酸素を)



ALIMAというNGOのコマーシャルです。アフリカに新型コロナが到来しましたが、アフリカでは致死率が3倍になります。なぜなら、医療設備もなく医療スタッフが不足しているからです。と医者が語ります。「ウィルスは全ての人を攻撃できる。でも全ての人はウィルスを攻撃できる」というメッセージで、呼吸器装置の必要性を訴えています。

5)エミレーツ航空の「覚えていますか?」



新型コロナが去った後の想定で、「子供たちがオンライン学習というのを始めた時のことを覚えていますか?ソーシャルディスタンシングという言葉を初めて聞いたときのことを覚えていますか?」と語りかけます。そして「遠からず、こんな風に話す時が訪れるでしょう。その時が来たら、エミレーツは空に戻ってきます。そしてこれまで以上に素晴らしい空の旅をお届けするでしょう」という文字タイトル。素晴らしいです。

6)シンガポールのCNA(ニュースチャンネル)の「シンガポールのスイッチ・オフ」



こちらは、シンガポールのCNA (Channel NewsAsia) というニュースチャンネルのコンテンツですが、ステイホームが徹底して、ほとんど人のいなくなったシンガポールの風景を映し出しているだけの映像です。シンガポールに住んでいる我々にとってはこういう映像見るだけで感動してしまいます。

7)フェイスブックの”I love people’s faces”



これも感動的な作品ですが、ナレーションは、Kate Tempestというイギリス生まれの詩人の肉声です。この詩の解説をしようと思ったのですが、長くなるので、これはまた別の機会に回します。以前から存在していた詩なんですが、フェイスブックのコマーシャルに使われました。世界的に外出自粛で、みんな家で途方にくれているかもしれないが、フェイスブックで繋がることで救いがもたらされるというようなメッセージです。新型コロナの時だからこそ重要性を増すフェイスブックの存在をあらためて感じます。

家に閉じこもっていて、自分のことしか考えられず、政府や社会に対する不満だけを感じて、不健康な状態になっている人が多いかと思いますが、今回ご紹介したようなコマーシャルを見ていると、反省させられたり、こんなことしてちゃいけないと思ったり、自分の役割を認識させられたり、元気をもらえる気がします。こんな時代なのですが、こんな時代だからこそ、みんなで頑張らないといけない。この投稿がそのことに少しでも役立ったら嬉しいです。最後まで見ていただきありがとうございました。
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