世界の有名歌手が自宅から配信する慈善コンサート”One World: Together at Home” が、4月18日の土曜日の夕方(日本時間で19日午前3時、シンガポールは午前2時)から開催されました。レディー・ガガが発起人となったこのイベントは、医療従事者を応援しつつ、新型コロナウィルスにともに立ち向かうことが目的で、世界保健機関(WHO)と慈善団体Global Citizenが主催、数々の大手ブランドのスポンサーがついて、全米のABC、CBS、NBCが放送局の垣根を超えて放映し、YouTubeなどでも同時に配信されました。8時間にわたるこのイベントには100人以上のアーティストと著名人が参加し、国や音楽ジャンルを超えて盛り上がりました。
私は、シンガポールで早朝から見ていましたが、レディー・ガガをはじめ、スティービー・ワンダー、ポール・マッカートニー、エルトン・ジョン、ローリング・ストーンズ、リゾ、ジョン・レジェンド、ジェニファー・ロペス、ビリー・アイリッシュ、テイラー・スウィフトなどが自宅から出演、あまりよく知らないアーティストもいたのですが、さすがにみんな素晴らしかったです。
アジアからは、ジャッキー・チュン(Jacky Cheung 張学友)が英語で歌っていましたね。香港の四天王の一人でしたが、いまだに健在で嬉しかったです。あと中国出身の世界的ピアニストのランラン(Lang Lang 郎朗)のピアノ、すごかったです。前半では、香港出身のイーソン・チャンや、K-POPからはSuperMが参加していました。
またこのコンサートでは、アーティストだけでなく、様々な著名人がメッセージを届けるのも見もので、ビヨンセ、ビル・ゲイツ、オプラ・ウィンフリー、エレン・デジェネレス、イドリス・エルバ、ヘンリー・ゴールディング(Crazy Rich Asians)などが出てましたね。インドのボリウッド俳優のシャー・ルク・カーンも出ていましたし、アメリカで活躍しているプリヤンカ・チョープラも出ていました。
みんな「ステイ・ホーム」とか、手洗い、ソーシャル・ディスタンス、また医療従事者などへの感謝を語るのですが、説得力がすごいですね。医療現場の写真もたくさん出てくるのですが、感動的です。医療従事者に感謝する拍手は、日本では残念ながらほとんど盛り上がらなかったですが、世界中で行われて、そのシーンが時々出てくるのですが、これを見るたびに感動します。
また、オバマ夫人と、ブッシュ夫人が登場して、二人協力して、メッセージを語るところも良かったです。二人とも元ファースト・レディですが、片や民主党、片や共和党。政治の世界では敵同士です。それが政治の垣根を超えて、お互いをファーストネームで呼び合っている姿にも感動しました。
番組中にいくつものフッテージが登場するのですが、日本が全く無視されてしまっているのが、残念でした。韓国の病院の様子とか、インドやアフリカの医療現場など色々登場します。しかし、日本のものは全くない。世界の中で日本は置き去りにされてしまっているのかと悲しい気持ちになりました。世界が、みんなで一緒に医療従事者に感謝をしている中で、日本だけは、マスクや補償金のことでかかりきりになっているような、そんなことをつい感じてしまいました。
日本では、医療従事者がヒーローであるどころか、差別され、いじめの対象にさえなっているという報道を耳にします。人々のために命を削って、命を危険にさらして、働いてもらっているのです。日本人はなぜ彼らに感謝するという気持ちがないのか、そんなに思いやりのない、薄情な人種だったのか、と感じてしまいました。でも、決して、そんなことはないはずです。なんとか頑張りましょう。
また、番組中、病院の先生が何人か登場し、新型コロナウィルスの解説をしていましたが、一人の先生は、メンタルヘルス(心の健康)について語っており、細かいところまで配慮が行き届いているなあと感心しました。
このコンサートの数日前に、トランプ大統領はWHOへの資金拠出を停止するという発表をしていますが、この番組はWHOが主催者の一人で、テドロス事務局長もきちっとしたスーツ姿で登場していました。複雑な気持ちだったかと思うのですが、そういう部分も含めて面白かったです。
さて、コンサートの最後を飾ったのは、“The Prayer”という曲で、セリーヌ・ディオン、レディー・ガガ、アンドレア・ボッチェリ、ジョン・レジェンドが歌い、そしてピアノのランランの演奏も見事でした。こちらがそのビデオです。
この曲は以前からある曲で、セリーヌ・ディオンとイタリアのテノールの第一人者のアンドレア・ボッチェリはデュエットで歌ったことがあったんですね。これにレディー・ガガとジョン・レジェンドが絡むのですが、ランランのピアノもさすがにすごい!最後を締めくくるには最高の曲でした。
蛇足になりますが、この曲の歌詞をご紹介しておきます。原曲を短めに抜粋したもののようです。途中、イタリア語の部分もありますが、私の方で翻訳をつけておきました。
"The Prayer"
I pray you'll be our eyes
私は祈る、あなたが私たちの目となり
And watch us where we go
私たちの行方を見ていてくれるように
And help us to be wise
そして私たちが賢くあるよう助けてください
In times when we don't know
私たちの知恵が足りない時に
Let this be our prayer
これを私たちの祈りとさせてください
When we lose our way
道を見失った時のために
Lead us to a place
私たちを連れて行ってください
Guide us with your grace
あなたの慈悲の心で、お導きください
To a place where we'll be safe
私たちみんなが安全な場所に
Sogniamo un mondo senza più violenza
暴力などのない世界を夢見ています
Un mondo di giustizia e di speranza
秩序と希望に溢れた世界を
Ognuno dia la mano al suo vicino
みんなが己の隣人に手をさしのべる
Simbolo di pace, e di fraternità
平和と友愛の印のような世界を
La forza che ci dà
それが私らに与えられた力
(We ask that life be kind)
命が優しくあるよう私たちはお願いする
È il desiderio che
それは我らの願望
(And watch us from above)
そして天から見守っていてほしい
Ognuno trovi amor
皆が愛を見つけ
(We hope each soul will find)
全ての魂が見つけることができるように
Intorno e dentro a sé
内側で、そして外側で
(Another soul to love)
愛すべき別の魂を
Let this be our prayer
これを私たちの祈りとさせてください
Let this be our prayer
これを私たちの祈りとさせてください
Just like every child
子供たちの願いのようではありますが
Just like every child
子供たちの願いのようではありますが
Need to find a place
その場所を見つけなければならないのです
Guide us with your grace
あなたの慈悲の心で、お導きください
Sento che ci salvera
私たちは救われる気がしています