まわる世界はボーダーレス

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なつかしき香港への慕情

2020-07-05 17:17:29 | 香港

7月1日から香港で「国家安全維持法」が施行されました。

私は2007年から2011年まで4年間、香港に住んでいたので、この出来事はとても心が痛みます。

日本のニュースを見ていたら、映画『慕情』の曲が一瞬流れてきて、香港での一つの時代の終焉を伝えていました。

『慕情』は、1955年に封切られたアメリカ映画です。第二次世界大戦の後の香港を舞台に、ウィリアム・ホールデンと、ジェニファー・ジョーンズが主演した甘く悲しい恋の物語です。原題は、"Love Is A Many-Splendord Thing"、直訳すれば、「恋とは、多くの輝きを持つ物」という感じになります。

こちらが、その映画です。一部抜粋ですが。



ビクトリア・ピークや、レパルス・ベイ、アバディーンなどの風景が懐かしいです。英国植民地時代の香港です。

『慕情』と聞いて思い出したのは、香港島のハッピー・バレーにある日本食レストラン『慕情』です。



関西出身の店主が日本に居た時、映画の『慕情』を見て、いたく感動。すぐに、映画の舞台となった香港に飛びます。彼は香港で日本料理店を始め、その名を『慕情』とするのです。という話を店主から直接聞いたことがありました。

何度かお邪魔したのですが、数年前、私が別のブログで書いた記事があります。

レスリー・チャンの愛した香港の日本料理店


2008年4月の記事ですね。レスリー・チャンが訪れていて、ファンの間では、有名になっていました。

あれからしばらく経っているので、お店はどうなっているかなと思って検索してみたら、フェイスブックにまだ今年の様子がアップされていたので、安心しました。

慕情日本料理 Bojyo Japanese Restaurant

私が、この店に行ったのは、実は、昔、同じ会社で働いていたH林さんの紹介がきっかけでした。

H林さんは、香港で失踪し、会社を辞めてしまうのですが、数年後、ジャフィーロードでフィリピンカラオケのマスターをしているのがわかります。そこを何とか探り当て、奇跡的に再会するのです。その店に出入りしていたのが、『慕情』の店主でした。角刈りで、サングラスをかけていたので、怖い人かと思ったのですが、H林さんは「兄貴」と慕っていました。それから度々、『慕情』に行くことになりました。

やがて、不況の波を受け、香港のカラオケ店も続々と閉店して行きました。H林さんも仕事をなくし、最後は『慕情』で皿洗いのバイトをしていたそうです。私が香港を去った後の事です。店主から電話があって、H林さんが、住んでいたランタウ島の家で亡くなったと知りました。死因ははっきり覚えていませんが、大酒飲みだったので、身体に負担が来ていたのだと思います。

それから何年か経って、会社の総務関係を担当していたF津さんと、香港を訪れ、H林さんのフィリピン人の奥さんと面会するのですが、それがこの『慕情』でした。

香港のハッピーバレーにひっそりとたたずむ『慕情』は、レスリー・チャンといい、H林さんといい、いろんなドラマを引きずっているすごいお店なのです。
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