1月11日の広告業界メディアのCampaign Asiaに、6日の米国連邦議会議事堂乱入事件を受けて、いくつかのブランドがメッセージを発信しているという記事が掲載されました。トランプ大統領の弾劾訴追の準備も進行していて、共和党の何人かの議員も距離を置きつつあります。SNSも凍結され、各方面からの非難が集中している大統領ですが、大企業が続々と公式メッセージを発信しだしました。
これまで大統領選挙に関しての情報は、メディアやSNSの発言が大半でしたが、企業からのメッセージを見ていると、混乱した社会を修復していこうという自浄作用のようなものを感じます。SNSでの偏ったコメントが氾濫している状況にあって、何が正しいのか、間違っているのかわかりにくくなっているのですが、このような企業の「常識的」な発言に触れると、何かほっとした気持ちになるのは私だけでしょうか。
まずはコカコーラ社。文章を訳してみるとこんな感じになります。「ワシントンDCで起きたことは、アメリカ民主主義の理想への攻撃」と題するコメントを出しました。「約250年にわたってアメリカ合衆国は民主主義のお手本となってきました。いかにして異なった視点やアイデアが社会を強くできるかを示す明るい灯火となってきました。ワシントンDCで繰り広げられた非合法で乱暴な事件は私たちすべてを驚かせました。選挙の結果が公式に認められた今、アメリカ民主主義を尊重して、平和裡に政権の移行を行い、共に力を合わせてアメリカを一つの国家にしていきましょう」
ボーイング社のCEOのメッセージとしてこのようなコメントが発信されています。「ボーイング社は米国政府のお客様とともに、この国および世界中で民主主義を擁護するために積極的な役割を、誇りを持って担っていきたいと思います。国民による投票と平和的な政権移行は民主主義の根幹です。弊社は選挙で選ばれた皆さまと長年仕事をしてまいりました。超党派の精神で、選挙で選ばれた大統領のバイデン氏がこの国を一つにまとめていけるよう協力したいと思います」
シェブロン社です。「私たちは合衆国政府の平和な移行を望んでいます。ワシントンDCの暴動は、法を遵守するという二世紀にわたる伝統に泥を塗るものでした。選挙で選ばれたバイデン氏と彼の行政チームがこの国を前進させてくれることを心待ちにしています」
こちらはバンク・オブ・アメリカ。「我が国の議事堂での本日の痛ましい事件は、すべてのアメリカ国民が団結し、我が国の建国以來、途切れることなく行われてきた政権の平和的な移行という最も大切な原則を守ることの大切さ、そしてその緊急性を思い知らせてくれました。私たちは、共に、平和的に、尊敬の念を持って、アメリカの理念という単一の共通の方向に向かって前進しなければならないと考えます」
こちらはUPS社。「米国連邦議事堂で繰り広げられた無法の暴力に対し遺憾に思うと同時に、破壊行為とそこに生命を賭するという非合法な活動に参加した各個人の行動を強く非難したいと思います。私たちは平和的に、建設的に、合衆国憲法に従って、この国を前進させていく方法を、政権を平和的に移行させていく方法を、見出していかなければなりません。
UPSは民主的なプロセスが、アメリカの基本的で犯すべからざる基盤であると信じています。建国以来、我が国は自由で、公平で、平和な選挙を守ってきました。直近の選挙結果は明白であり、平和的な政権移行が必要であると考えます。この分断された国家を癒し一つにまとめていくためには多くの努力が必要でしょうが、今こそ共に、力を合わせていきたいと思います。
UPSは毎日必要な物をアメリカ国民や世界中の人々にお届けし続けます。私たちは率先して統一を応援し、公平さと誠実さを守って活動を続けていきたいと思っております。そしてあらゆる人々の正義とビジネス機会を前提とした、安全で強固で、困難にも挫けない社会を目指して世界を前進させていきたいと思っております」
翻訳の文章は少々分かりにくいところもあるかもしれませんが、おおよその意味を汲み取っていただければと思います。この困難な状況を乗り越えて、明るい未来に向かって進んで行ってほしいですね。このような状況にあっても、各企業は企業姿勢を明確に発信することで、信頼できる企業としてのブランディングを進めているのだと思います。