思惟石

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須賀しのぶ『革命前夜』

2020-11-09 17:04:13 | 日記
1989年に東西分裂中の東ドイツに留学した
音大生マヤマくんの物語。

バブル期の日本からやってきた留学生の視点から、
当時の東ドイツの暮らしや人々の「気分」のようなものが
すごくよく描けています。
いや、実際のところ知らないけど。

西側への憧れと嫉妬みたいな感情や、
東側のリアルな暮らしぶり(物資はない、音楽はある)。
シュタージ(国家保安省、秘密警察みたいなもの?)や
IM(民間の情報提供者。要するに密告する人。膨大な人数だった説)。

さらに現地学生に加えて、
それぞれの出身国の事情と個人の事情と主義を背負っている
朝鮮・ハンガリー・ベトナムからの留学生仲間。

読めば読むほど、そういう時代そういう世情だったのか〜
と、ふむふむしてしまいます。

ちなみに1989年は昭和が平成になった年でもある。
日本はバブル期。
私は田舎で呑気に生きている小学生で、
国際情勢も社会情勢もまったくわかってなかったです。
ベルリンの壁崩壊のニュースもよくわかってなかったな。
むしろキン肉マンのブロッケンJr.の技名を思い出す有様である。
いまだに「ベルリンの赤い雨な」って思うんだから、
子ども時代の記憶って強いですよね。そういう話ではないけれど。
日本が平成になった際は、
24時間営業が永遠に続くと思っていたコンビニが休業したのに驚きました。
「コンビニってシャッターがあるんだ!」と。

すごい脱線した。

ラカトシュとイェンツの対比はすごくよかった。
クリスタの、ああいう感じも良かった。
終盤のマヤマくんのガビィへの態度は良くないと思う。
お前が振り回すべき正義感か?と思ってしまったけど、どうでしょう。

どうでもいいけど、恋愛面と人間関係の不器用さが
ハチクロのマヤマを思い出させる主人公でした。
がんばれマヤマ。
私は森田先輩派だけど。

音楽周りの知識や表現は、クラシック素人にはちょっと難しかったです。
グールドは個人的に好きで聴いていましたが、
一般知識として補足無しにさらっと出る感じは
難易度高くないか?と。
バッハショパンリスト等のクラシックに親しんでいれば
もっと楽しめるのかもしれません。
個人的には宮下奈都の『羊と鋼の森』のような
キレイでわかりやすい比喩とイメージが好きです。
知識無くても羊はわかる!

第18回大藪春彦賞受賞作

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