関西電力という会社の金銭感覚
コロナウィルスの陰に隠れて、福井県高浜町元助役からの関西電力元役員による多額の金品受領問題は、ややその扱いが薄くなっているが、経産省からの業務改善命令を受けて3月30日ガバナンス強化を柱とする業務改善計画を提出した。
企業風土というものは、そうそう簡単に変わるものではない。ガバナンス強化以前の問題として、私はこの会社の金銭感覚に驚きを隠せない。
原子力の停止は電力料金値上げにつながると消費者を脅しつつ、実態は営業利益を着々と確保し、経営不振と思わせて役員報酬を減額しつつ、その裏では内々にきちっと補填するなど、公益事業者と言い難い経営挙動を示している。
昔、この会社と共同で事業を行ったことがある。その事業は、結構厳しい収支予想であったため、支援策を双方で検討した。同じ支援策について双方の企業が通常いくらくらい支払うかを出し合ったところ、普通の会社が出す委託費のなんとその10倍の金を関西電力では通常払いますという。これでは受託する企業たち(シンクタンク等のオピニオンリーダー等)も関西電力の悪口を言うわけはない。マスコミ等にとっても広告料収入の大切なお客様である。
リーマンショックの際にほとんどの企業が、ダウンサイジングに取り組んだのは記憶に新しい。でも、この会社は今なお中之島の一等地に私企業でありながら独自の立派な病院を持ち、各地に保養所を持ち続けている。
かつて、この会社には公益事業者として、日本一赤字を垂れ流す通信子会社と、日本一黒字を抱える不動産子会社があり、当時の通産省から何とかしろと指導を受けるほど金銭感覚に鈍感なところがあった。
関電SOSという機械警備会社がある。通常機械警備会社というのは、顧客サイトからの信号に基づきある一定時間内に現場に急行し、しかるべき措置を講ずるので、現場に急行して顧客の安全安心を確保する体制とノウハウが大切である。しかるにこの会社の場合、要となるこの部分(出動態勢と現場対応)は自社では持たず、現場は金を出して他社任せ、現場のどろどろしたところには立ち入らず、金で任せて事業を行っている。
こういった風土は、原子力の現場等にもあるのだろうと予想される。このような企業風土が改善されない限り、普通の会社と同レベルのガバナンス強化が決してなされるとは思えない。
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