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旅行記、世相独言

川がピンクに染まる時 - シアトル - (異文化体験5 テーマ探しの旅1)

2010年04月13日 09時51分54秒 | 異文化体験_北米
(写真はクリックで拡大します)

 さて異文化体験「その5」は、4回に分けて技術立社を目指す「テーマ探しの旅」です。


川がピンクに染まる時 -シアトル-   1983.9.18

 大阪への乗り継ぎの悪いPA(パンアメリカン)に懲りてJL(日本航空)で飛んだシアトルへの機内は、中国人が多いせいかチャイナドレスのスチュアデスがいる。中国語の機内放送を一手に引き受けてエグゼクティブクラスの我々の席の前に座っている。ドレスのスリットが以外に深く目の保養に申し分がない。隣に座ったM君はしきりとボタンを押してスリット嬢を呼んで飲み物の注文。日本人?それとも中国人? そんな他愛もない二人の質問に、ニコっと笑って「どう思われます?」と切り返す。日系中国人。これが正解だそうな。

  チャイナドレスのスチュアデス(イメージ)
 

 小生が彼女にお茶を頼んだ時のこと。丁度テーブルに彼女がお茶を置こうとした時、気流の変化で機体が大きく揺れ、手元が狂ったお茶が小生のズボンを濡らしてしまった。それも足の付け根に近い部分である。エクスキューズを言うや彼女は、慌てて濡らしたタオルを持ってきて、小生の股間に手を伸ばしてすばやく拭いてまわる。場所が場所だけにうら若き女性にそうそういつまでも拭いて貰うわけにいかない。「もう大丈夫」と少し未練気にご辞退申し上げる。幸い乾燥した機内のこと、シアトル・タコマ空港に降りる時は跡形もなく消えている。それでも気にする彼女に有難うと握手。帰りの便も一緒だといいなあと独り言。

 ワシントン州シアトル。タコマ空港から道路沿いのボーイング社の工場を横に見て市内に向かう。秋田県人がいち早くこの地に入植、高台にある高級邸宅はどことなく日本庭園風の風景が見られる。気候も日本の東北地方に近い。


 船の上げ下ろしをするためのハイラム・M・チッテンデン水門

 
         ハイラム・M・チッテンデン水門横のFish Ladderと、水中ののぞき窓 


 フィッシャーマンズターミナルに程近いワシントン湖運河にバラード・ロック(Ballard Locks)とも呼ばれるハイラム・M・チッテンデン水門(the Hiram M. Chittenden Locks)という水位調節用の水門があり、その水門の横にFish Ladderがある。この運河は、船が淡水と海水を往来できるように船の上げ下ろし(潮によって2mから8m)をするために作られたもの。


 
     海から戻ってきた鮭が、生まれ故郷に戻る姿をトンネル内のガラス窓から見ることが出来る


 丁度この辺りは海水と淡水の分岐点で、海から戻ってきた鮭が、ユニオン湖、ワシントン湖を経て生まれ故郷に戻っていく姿が、トンネル状の階段側道のガラス窓を介して見ることが出来る。おりしも日ごとに秋が深まる季節。鮭が大きな身体をくゆらせて川を昇っていく様が目前に繰り広げられる。段差のついた水門を一息ついてはジャンプし、また一息ついてはジャンプする様に、思わず「がんばれ!」と言いたくなる。


 ワシントン湖の Evergreen Point Floating Bridge(2285m)

 ワシントン湖の Evergreen Point Floating Bridgeという2285mの浮橋を車であっという間に通り過ぎ、郊外にある鮭の養殖場に向かう。川幅がどんどん狭くなり、川底の小石を巻き込むような浅瀬に果たして鮭がいるのだろうか。そんな疑問を感じながら40分近く走って養殖場に到着。


 
          川の上流の養殖場          プールの水面を覆いつくす鮭の姿(背びれが見える)


 大きな丸いお椀を伏せたようなコンクリート製のプールに、いるわ、いるわ。大きな図体の鮭が水面を埋め尽くし、背びれだけがまるで鮫のように突き出ている。ここから少し歩いた所に水深10cmもない小川が流れている。薄日に水面が反射しきらきら光っているが、近くに寄って目を凝らして見ると、なんとピンク一色に染まっている。身体中をピンク色に染めて、疲れ切った身体に鞭打って産卵の場所と自らの死に場所を求めて、なお昇ろうとする姿は神秘的な荘厳さと感動を見る者に与える。


 川をピンクに染める産卵の鮭たち

 川がピンクに染まる町、シアトル。がんばれ、サーモンたちよ!




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