イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

古い街並みはストックポート観光地化の切り札か?得体のしれないビジネスは取り壊し予定の店舗でまだ健在

2020年09月10日 08時00分00秒 | ストックポートとその周辺
久しぶりにストックポート・タウンセンターの歴史的建造物が集中して残る景観保存エリア、アンダーバンク UNDERBANK に行きました。




「ストックポートの観光ブログ」として出発したストックポート日報の最初の記事がこのアンダーバンクの紹介でした。
それ以来何回も取り上げている、ストックポートの名所です。

.....それにしては(パンデミックとは無関係に)人通りが少ないのですが。

ロックダウン以来、ストックポートには必要に応じて行っていますが、ここ6カ月ほどアンダーバンクには特に用事もなかったのです。
時節柄、用事のない場所を歩き回るのは自粛しています。

道路の中央が工事中で、車両通行どめでした。


古風な石畳風にするつもりのようです。

用事というのは....


昔からこの場所にある...


おどろおどろしい室内装飾品、機関銃や日本刀のモデルや水キセル、砂遊びの道具やハロウィーンの飾り、造花、お線香、蛍光作業着まで売っている「ナゾの雑貨店」。



季節を問わず光るディスプレイでショーウィンドウがかざられ、点滅する色ランプなども扱っているのでためしに寄ってみたのです。

私の家の台所の壁を飾る「チリー・ライト(電飾トウガラシ)」の豆電球がいくつか切れてしばらくたちます。


アマゾンなど、オンラインでクリスマス・ライト用の先のとんがった小さい豆電球のスペアを買おうとさがしてみたのですが、見つかりません。
季節はずれのせいかもしれません。(チリー・ライトはもともと夏のパーティ用らしいのですが)

あるいは、近頃クリスマス前には安売り店などで新品のクリスマス・ライトが格安で買えるため、切れた豆電球を入れ替えるなんて面倒なことをする人があまりいないのかもしれませんね。

アンダーバンクのあの電飾のエキスパート、「ナゾの雑貨店」ならおいていそうと決めつけて、体の不調以来、初めての外出となる夫と一緒におそるおそる行ってみました。

「ナゾの雑貨店」のゴミ屋敷のような店内は壁中に張り巡らされ、また天井からも垂れ下がるクリスマス用の電飾の激しい点滅でディスコのような状態でした。
店を一歩入ったその奥は、私の肩の高さぐらいまで段ボール箱やらガラクタ(売り物?)や食卓用の椅子などがつみあげられ、コロナウィルス感染阻止のためのバリケードでしょうか、立ち入れないようにしてありました。
奥のほうで店番する店主らしい年配の男性に「クリスマスライト用の豆電球はあるか」と大声で聞いたところ「ない」との返事なので、あっさり引き上げました。

アンダーバンクのランドマークのような古いパブ、ホワイト・ライオン WHITE LION の大掛かりな改装改築工事が完成間近でした。


ストックポートは中世以来ロンドンとマンチェスターを結ぶ主要な宿場町のひとつでした。
ホワイト・ライオンはそのストックポートで最古、最大の宿だったのです。
(この建物は20世紀初頭に再建されたものですが)

20年以上前、私たちがストックポートに越してきた当初は、近在に悪評をとどろかせた「ごろつきパブ」に成り下がっていたのです。
うちの夫は「ファイティング・パブ」 と呼んでいました。
いつの間にか店じまい、10年以上荒れ放題の空き家になっていました。

上階は高級アパートメントに改装され、すでに入居予定者がきまっているそうです。
半地下と一階には高級な料理を出す「ガストロ・パブ」が店開きするということです。
この夏に開店予定だったのですがコロナウィルスのパンデミックで延期のようですね。
工事も大幅に遅れているようです。

個性的な古い建築物が多数残る古い街並みを生かした、ストックポートの観光振興の目玉としてアンダーバンクの再開発が進んでいます。
ホワイトライオンの新装プロジェクトはその象徴ともいえる重要な拠点らしいのです。


「ナゾの雑貨店」を含むこのコキタナイ3軒は取り壊し予定のようです。



他にもすでに、1960年代~70年代にたてられた中途半端にレトロモダンな建物がいくつか取り壊されて時代がかった前面処理のニセ古建築に建て替えられています。


しばらく見ないうちにおしゃれな北欧風デザイナー・ブティーク(個人経営のファッションショップ)がオープンしていました。
ロックダウン以前にはあったビンテージ・ショップ(おしゃれな古着屋)やチャリティショップ、イタリアン・カフェは姿を消していました。

「ナゾの雑貨店」の向かいにオープンしたあたらしいおしゃれなカフェが.....


工事で車が通行止めになった今、向かいの「ナゾの雑貨店」の外にまでテーブルをならべて,コロナ対策の屋外席の拡張に努めていました。。


ちょうど1年前のストックポート日報で特集した伝統的なフィッシュ&チップス店もこの通りにあります。

その記事に載せた写真の転載です。


(この日はそのフィッシュ&チップス店は臨時休業でした)

「ファイティング・パブ」が営業中で、ケンカを吹っかけたり吹っかけられたりしたいしたい人たちのたまり場になっていた15,6年ほど前まではこのエリアは軍隊の払い下げ物品店、合法ドラッグ店、鍋やバケツなどを売る荒物屋、エッチなビデオやコスチュームなどを売る大人のおもちゃ屋(数件)や東南アジア製の工芸品店などが並ぶ、雑多で個性的で猥雑で庶民的な通りだったのです。
それらの雑多な店はすでにおおかた姿を消しています。

さすがに生き残りの「ナゾの雑貨店」は当時から群を抜いて異質でしたが。

少しずつ、「おしゃれでヒップな通り」にさま変わりさせていこうという意図が見え隠れしています。


去年、1970年代の北東部の海岸保養地、スカーボロー(だったかな.......?)が舞台のテレビドラマを見ていたら、このアンダーバンクの入り口にある空き店舗がヒロインの勤め先の美容院の外観として撮影につかわれていることに気がつきました!


(タイトルも、ストーリーもすでにすっかり忘れてしまいましたが)

その時から空き家だったこの店の撮影用の飾り付けがまだすっかり残っていました!
店名も料金表や営業時間表や、ショーウィンドウの70年代風のヘアスタイル写真も当時のシャンプーのポスターもそのまま残っています。
ガラス戸からのぞき込んだら中はカラッポでした。
店内のシーンはよそで撮影されたと思われるのですが、床は1950年代風のリノリウム貼りでした。

この店の奥、遠景で画面にうつった数軒先の橋の下あたりまですべて1970年代風にアレンジされていたのですが、撮影後元に戻したようです。


ストックポートは映画やテレビのロケ撮影に実によく使われるのです。

クリスマスライトの豆電球探し、長くなるので次回に続きます。

コメント (4)
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