12月になって初めての週末です。
英国の多くの家庭では昨日あたり、クリスマスツリーを出して飾り付けたのではないでしょうか。
私は昨日、例によってチャリティ・ショップでボランティアをしていたので、クリスマスの飾りつけは今日に繰り越しです。
11月の初めに(10月31日のハロウィーンが終わり次第)お店や飲食店などはクリスマスの飾りつけをはじめちゃうのが普通です。
多くの市町村では、厳粛な戦没者追悼日 Remembrance Sunday(11月の2週目の日曜日)が終わるまで公共施設や町の中心地などの、クリスマスツリーの備え付けや飾りつけは始めないことになっているはずです。
一般家庭には特に決まりはなく、12月まで待つ人が多いのですが待てない人たちもけっこういます。11月中のクリスマス飾りは、はしゃぎすぎみたいでちょっとハズカシイのですが。
この国で子供時代を過ごさなかった私は、子供たちが小さい頃にまわりの家庭を参考にして「英国の家庭の伝統行事わが家のやり方」確立に取り組んできました。
私が12月最初の週末に飾り付けをするのは、小学生だった上の子供にせがまれて、が始まりです。12月に入るとすぐ小学校にクリスマス・ツリーが飾られて子供たちがワクワクしはじめます...といっても、両親がそろって家にいる週末まで待つ家庭が多かったので私のうちもまわりに倣いました。
ちなみに、英国で生まれ育った英国人の私の夫は伝統とか因習とかが大っ嫌いで、しかも自分の母親が「家族の絆」(やその形式)にとてもこだわる人だったので、その反動もあってか...クリスマス行事に全く重きをおいていないのです。
家族間のプレゼントに関しては多少熱心です。
子供たちを喜ばせるためにやるべきことはやる、親心を発揮してくれます。
小さい頃の子供たちへのたくさんのプレゼント、夫婦間、それに子供たちからそれぞれ親へのプレゼント、全員がクリスマスツリーの前に揃ってプレゼントを開けるクリスマスの朝のお楽しみなど...日本にはないクリスマスプレゼントにまつわる習慣はすべて夫の提唱です。
「クリスマスはできれば返上したい」とぼやきながらも、自分が子供時代に経験した家庭の習慣を今もしっかり継承しているわけです。
正しくはクリスマスの12日前(12月13日)にクリスマスツリーを居間に据えるのが伝統にかなっているそうです。あるいはその以降か。
昔は12月24日(クリスマス・イブ)までおあずけの家庭もけっこうあったと聞きました。
各人が、家族やクリスマス当日のゲストのために用意して隠しておいたプレゼントをいっせいにツリーの下に並べるクリスマス・イブにクリスマスツリーもいっしょにそなえつけちゃうわけですね。
今ではプレゼントは包み終わり次第、クリスマスツリーの下に並べる家庭が多いようです。私のうちでは夫の方針(育った家庭の習慣継承)でクリスマス・イブに子供たちが寝るまで子供たちのプレゼントは絶対に出しませんでした。
子供たちが成長した今、「12月最初の週末にクリスマスツリー」にこだわる必要はないんですけどね。いっそ、出すのをやめてもいいぐらいかもしれません。
ちなみに、私は毎年クリスマスにうんざりです。
酔っぱらったり自己破産したり、過ごし方で衝突して家庭崩壊、家族のきずなを深め他者を思いやるこの季節に孤独感を深め鬱になったり自殺したりする人もいっぱいいます。クリスマスが終わるまで子供たちのために我慢して「仮面夫婦」を続けていたカップルが12月末にいっせいに離婚申し立てに裁判所に駆け込む、みんなが知っている英国のクリスマスの負の側面...
...と、そこまで私の「うんざり」は深くないのですが、この時期、人々のとりつかれたような浮かれ具合に、ノレない自分に...憂鬱な気分になることが多いのはたしかです。
写真は一昨日の午後、足りなくなった毛糸を買い行くはめになった高級デパートで撮りました。
毎年、クリスマス前には極力、人がおおぜい買い物しまくっている場所を避けている私ですが、まだクリスマスには間があるし平日だし、だいじょうぶだろうとこわごわと行って見たら...人出はそれほどではなかったものの、高い商品をばんばん買いまくっている人たちの姿に圧倒され、感じなくてもいい疑問を感じました。(まあ、私も毛糸を買ったわけですが)
暖房費を払えない人たちのために、各地で教会が昼間集まれる暖かい場所を提供している...なんてニュースを見たばかりだったものですから。
毎年クリスマスは家族だけで過ごす私たちはプレゼントも家族間だけにしか用意せず、出費も少ないはずですが、親戚中どころか、ありとあらゆる知り合いどうし贈り合う人たちもけっこういるようです。「バカバカしいけどやめられない」という嘆きも個人的によく聞きます。
やめるなら、インフレが悪化して、生活に困窮する人も出てきている今年が絶好のチャンスだと思うのですが、そう簡単な話ではなさそうです。
作り物のクリスマスツリーを屋根裏から引っ張り下ろして組み立てるのは手間のかかる作業ですが、飾り付けを終えて電飾に灯をともした後の達成感は、ちょっとしたものです。意外と気が晴れるものですね。
今日の午後、決行です。
...私は飾りつけはけっこう好きだということを認めてもいいでしょう。
クリスマスツリーに明かりが灯れば、たとえ夫が「グリンチ Grinch(クリスマス嫌い)」だろうと、子供が成人していようと、クリスマスを直視しなければならなくなります。
スーパーマーケット、セインズベリーで売られていたグリンチをモチーフにした「クリスマス・ジャンパー」。
クリスマス、やってしまえばあんがい楽しいものです。