イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

この冬一番の冷え込み、日が差し始める午前中に短いあいだ堪能した霜のアート

2022年12月09日 05時14分13秒 | 英国の、生活のひとコマ

昨日はこの冬一番の冷え込みでした。

朝、起きたら窓の外は一面の霜。

一昨日、昨日と続いて、霜がおりた快晴の寒い日でした。

霜に覆われた木の実や葉は砂糖漬けにしたお菓子のようにきれいです。

きれいなのは本当に短いあいだだけでした。陽があたると霜はすぐに溶けてしまいます。

霜が溶け始めた午前中の住宅街です。

あれれ...?

これ、サクラですよね。

英国では珍しくない、サクラだかアーモンドだかそれともナシだかよくわからない、きゃしゃな花木の冬咲きです。

霜がついていた時はさぞや美しかったでしょう。

霜が溶けた後はなんだが花びらがしんなりしてサクラの塩漬けのような見た目になっていました。

寒い日がしばらく続きそうです。

暑がりの私もさすがに肌にあたる外気は刺すように冷たく感じます。でもセーターとコートを着て外を20分も歩くと体が暖かくほてってきます。

暖房のきいた屋内に滞在する時間をきっちりと限定しておかないと大変なことになります。コートを脱げないお店の中での買い物は5分が限度かな?それ以上いると暑さで立ち眩みがします。

昨日は郵政関係の職員が全ストライキに突入したはずです。(回避されたというニュースは聞きませんでした)

クリスマス時期から年末年始にかけては鉄道、そして医療...市民生活になくてはならない重要なサービスを提供する職員たちがインフレに見合った昇給と待遇改善(医療も交通もギリギリの人数でまわっているらしく、とても危険な運営が内部から指摘されています)を求めて行動を起こし始めています。

国内の大変な混乱が予想されます。

 

一昨日、日本への郵便を出すために散歩がてら少し離れた住宅街の中にある郵便局へ行きました。

コンビニエンスストアの中に設けられた郵便窓口の前にはかつて見たことのないような長い順番待ちの列ができていました。

ストライキの前にクリスマスカードやプレゼントを投函したいおもにお年寄りがいっぱいでした。郵便職員は「今日出しても、クリスマスまでにたぶんつきませんよ」と念押しをしながら受け付けていました。

例年であれば、国内の「クリスマス便(12月24日までに必着)」は12月21日ぐらいまでに出せばよかったはずです。(もう数年、クリスマスカードを出していないのでよく覚えていませんが)もう、ストライキの混乱は始まっています。

それよりも、予想外の郵便局の待ち時間に、暑さに弱い私はコートの前をあけてスカーフを外しても汗だくだくになりました。

外に出れば気温は5℃、冷たい外気に行き返ったような思いでした。ホッとしてスカーフをまきコートの前をとめました。

 

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やっと飾ったクリスマスツリー、うちのモノ、よそのモノ(久々のネコ登場)

2022年12月08日 07時04分07秒 | 英国の、生活のひとコマ

ダラダラと時間をかけて、とにかくクリスマスツリーをたてました。

軸を3本さしてつなげて、枝を傘の骨のように放射状にさして形作るニセモノの木です。

ひさしぶりに登場、うちの母ネコ、リヴィーです。

ネコとクリスマスツリーがフレームにおさまるシャッターチャンスに、散らかった床の上を片付けるヒマはありませんでした。

(プレゼントのラッピングもこっそり開始しました)

 

出かけたついでに、屋外の公共のクリスマスツリーの写真をいくつか撮りました。

ストックポート・タウンセンターのショッピングセンター、マージー・スクエア Mersey Square のおなじみのクリスマスツリーです。

ストックポートのランドマーク、(公称)世界で2番目に大きいレンガ建築の鉄道橋、ストックポート・ヴァイアダクト Stockport Viaduct と、クリーム色のウェリントン・ブリッジの間のバスターミナルの大工事がすすんでいます。

そう言えば、私が日本に行く前の8月には、工事の足場にウクライナの国旗色の黄色と青の覆いがかかっていたのでした。

ストックポート市庁舎 Stockport Town Hall には中央の(実際には出入りできないらしい飾りの)入り口両側になぜかクリスマスツリーが2本。

芝生と生垣の間にちんまりと自然におさまって見えますが、実はクリスマスの時期だけのために伐採されたスプロウスの生木が地面にうち据えられているのです。日没後にはライトアップされます。

右側には、風が凪いでいるためだらんと下がってよく見えませんがウクライナへの支援と連帯を表明する、黄色と青のウクライナ国旗が掲揚されています。

 

公共の場所のクリスマスツリーには白いフェアリーライト(丸い電球の数珠つなぎ)の電飾だけが施されるのが普通ですが...

近所の商店街のはじまるあたりにある公共のコモン common とよばれる「空き地」には何とも形の悪い...

生きたクリスマスツリー...というか勝手にこの場所に生えている日本や本場のドイツあたりでのクリスマスツリー(モミの木)のイメージに近いコニファーという木...があります。

どんどん立派に、グネグネと形悪く成長し続けています。

育ちかけの木を伐採して一か月だけ飾ってあとは捨ててしまう昔ながらの伝統のクリスマスツリーを飾る習慣に疑問があるものですから、元気に生きている育ちすぎのこの木を見るとホッとします。

私がおぼえている限り20年以上、11月の2週目以降(厳粛な戦没者慰霊の一連の行事が終了した後)どこかから電源をひいてきて、たぶん商店街や地元の自治体などが管理しているのでしょう、電飾が施され続けています。

木の成長いちじるしい今、電飾は下三分の一ぐらいの高さで止まっちゃってますね。

他の公共クリスマスツリーとの違うのは生きた木であるだけではなく、地元の人たちが持ち寄った、さまざまなクリスマス飾りが下げられることです!

 

 

人々に愛される、地域のシンボルのような木!

この習慣は、2020年のパンデミック時に始まりました。

先行きの見えない不安なロックダウン明けのクリスマス...コロナですでにおおぜいの人が亡くなっていました。「願掛け」や地元の人同士の絆を深める意味もあったのかもしれませんね。

私も去年、小麦粉と塩をこねて作ったソルト・ドウの型抜きの星2つを「奉納」してきました。

 

商店街を抜けたところにある19世紀の長屋(テラスト・ハウス terraced Houses と言います)の一軒の裏庭に、どんどん成長するコニファーの木があります。

いつの間にか、てっぺんが屋根越しに表通りを見下ろす高さに成長しています。

もしかしたら、30年ほど前まではこの家庭の裏庭で育つ可愛らしいクリスマスツリーだった(?)のかもしれません。狭い庭に大木をはやしておくと、次第に建物の土台を揺るがして最悪の場合、崩壊を招くことがあると言います。そのうち伐採されちゃいますね。

母ネコ、リヴィーの写真だけ載せるのは不公平ですので、ついでですから息子ネコ、ティブの写真も久しぶりにお目にかけます。

美しく整ったネコのパン一斤(キャット・ローフ cat loaf )のポーズを捉えました。

なぜか、キビガラで編んだ赤いベリーと毛糸のポンポンの飾りが異常に好きなのです。

この写真を撮った後、それらは全てネコの手の届かない上のほうに移しました。

 

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クリスマス前の喧騒を覚悟で行った日曜のスーパーマーケット、ただ事ではないお酒の売れ方と助けを求めるクリスマス特需商品

2022年12月05日 07時33分13秒 | 英国の、生活のひとコマ

昨日、日曜日はいろいろ用事で忙しく、クリスマスツリーの飾りつけはできませんでした。残念、今日こそ決行します!

昨日買ってきた、かわいらしいクリスマスツリー付きのミンス・パイ mince pie です。

用事のひとつはスーパーマーケット、セインズベリーでの買い物です。

12月に入って日曜日に人がおおぜいガンガン物を買いまくっている大型スーパーマーケットに行くのは気後れがします。(昨日のストックポート日報参照)

 

 

店内にある靴の修理店に修理が終わった靴を取りに行ったのです。ついでにミルク、パン、乾電池など必要な品も買いました。

フォイエ(入り口付近)の、ビールなどアルコール飲料が詰まった箱の「万里の長城」がより長大に、というかばらけて厚く高くなっていました。

クリスマス前の風物詩...というよりはワールドカップのイングランド VS セネガル マッチのためだったと思います。サッカーの試合観戦にビールは欠かせないようです。

(イングランドは圧勝でした)

とにかくこの日、アルコール飲料が飛ぶように売れていたのでした。

次々と売れていくアルコール飲料を補充するため、台車を押したスタッフが出たり入ったりしていました。

売り場で箱をつぶし、片付け専門のスタッフが手早く台車でもち去る、まるでクリスマス前日のような光景でしたが、バタバタしていたのはフォイエの万里の長城崩しと本来のアルコール飲料売り場だけでした。

 

...やはり、ワールドカップ需要だったようです。

 

英国ではクリスマスも本来、飲んで潰れる特別な時期として認識されています。

クリスマス需要と、本来は夏に開催するイベントのワールドカップ需要がぶつかった今年は特別な年みたいですね。

クリスマス・カード売り場で見つけた今回の話題にふさわしいカードです。

「WE'VE ALL BEAN THERE 誰でも一度は通る道(=みんなやることだから気にしない!)」とクリスマスパーティで酔いつぶれたマメ(bean) が捨てゼリフを吐いています。bean は been のダジャレです。

めでたいことを言い訳にアルコール飲料の消費量が全国的に一気に上がるこの時期の風潮はお酒を飲まない私には憂鬱のタネなのです。ただでさえクリスマスにはウンザリなのに。

 

よく売れていた特売ワインの箱の上でほほ笑んででいる丸いゴムの物体は...

おすとキューキュー音がするイヌのおもちゃの「ブラッセルスプラウト Brussels sprout (芽キャベツ)」でした。

ブラッセルスプラウトはロースト・ターキーとともに供される、クリスマス料理の定番付け合わせ野菜です。

離れた場所にある広大なクリスマス・プレゼント(比較的安価なストッキング・フィラー stocking fillers)売り場の「ペットへのプレゼントコーナー」に仲間たちがたくさん売られているのを見つけました。微笑んでいるパースニップ parsnip(同じくクリスマスの定番野菜の白くて甘いニンジン)のイヌ用ぬいぐるみもありました。

誰かが買うつもりでトロリー(=カート)に入れたものの、気がかわっててきとうな場所に打ち捨てて行ったんですね。

思わず「タスケテー」と口に出してから、写真を撮りました。

買うのをやめた商品を売り場から離れた場所に置き去りにすることを私のうちでは「タスケテ・オフェンス tasukete offence」とよんでいます。(命名;私)

買い物に連れて来られるのを喜ばない小さかったころの子供たちの気を紛らわせるために置き去り商品を見つけては声色を使って(日本語で)「たすけて~」と言ってまわったものでした。

私が考案した買い物中のくだらない余興ですが、効果は抜群、子供たちはすすんで「タスケテ・ハンティング」を楽しんでくれました。

子供が成長してスーパーマーケットに連れて来なくてもよくなった今、夫相手に「たすけて~」をやってウンザリされている私です。夫もたまにとっておきの悪質なオフェンス(例;化粧品売り場のばら売りタマネギや、卵売り場のバービー人形など)を見つけて得意そうに私に指し示すことがあります。

もうひとつ、見つけました。

クルマの窓の凍結防止剤の棚でクリスマス向けビスケットの入った缶が2個も助けを求めていました。

王様の声色を使って低い声で「タスケテ~」と言ってみました。

王様とほほ笑むブラッセルスプラウトのおかげで、12月のショッピングのストレスが少し軽減されました。

そう言えば、日本ではあまりタスケテ・オフェンスは見かけませんでした。(全くないわけではないはずです)

 

 

 

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クリスマス・ツリー、出せばいよいよわが家もクリスマス待機に突入か、毎年の憂鬱と少しのワクワク微妙に不安定な師走の英国

2022年12月04日 08時09分28秒 | 英国の、生活のひとコマ

12月になって初めての週末です。

英国の多くの家庭では昨日あたり、クリスマスツリーを出して飾り付けたのではないでしょうか。

私は昨日、例によってチャリティ・ショップでボランティアをしていたので、クリスマスの飾りつけは今日に繰り越しです。

11月の初めに(10月31日のハロウィーンが終わり次第)お店や飲食店などはクリスマスの飾りつけをはじめちゃうのが普通です。

多くの市町村では、厳粛な戦没者追悼日 Remembrance Sunday(11月の2週目の日曜日)が終わるまで公共施設や町の中心地などの、クリスマスツリーの備え付けや飾りつけは始めないことになっているはずです。

一般家庭には特に決まりはなく、12月まで待つ人が多いのですが待てない人たちもけっこういます。11月中のクリスマス飾りは、はしゃぎすぎみたいでちょっとハズカシイのですが。

この国で子供時代を過ごさなかった私は、子供たちが小さい頃にまわりの家庭を参考にして「英国の家庭の伝統行事わが家のやり方」確立に取り組んできました。

私が12月最初の週末に飾り付けをするのは、小学生だった上の子供にせがまれて、が始まりです。12月に入るとすぐ小学校にクリスマス・ツリーが飾られて子供たちがワクワクしはじめます...といっても、両親がそろって家にいる週末まで待つ家庭が多かったので私のうちもまわりに倣いました。

ちなみに、英国で生まれ育った英国人の私の夫は伝統とか因習とかが大っ嫌いで、しかも自分の母親が「家族の絆」(やその形式)にとてもこだわる人だったので、その反動もあってか...クリスマス行事に全く重きをおいていないのです。

家族間のプレゼントに関しては多少熱心です。

子供たちを喜ばせるためにやるべきことはやる、親心を発揮してくれます。

小さい頃の子供たちへのたくさんのプレゼント、夫婦間、それに子供たちからそれぞれ親へのプレゼント、全員がクリスマスツリーの前に揃ってプレゼントを開けるクリスマスの朝のお楽しみなど...日本にはないクリスマスプレゼントにまつわる習慣はすべて夫の提唱です。

「クリスマスはできれば返上したい」とぼやきながらも、自分が子供時代に経験した家庭の習慣を今もしっかり継承しているわけです。

正しくはクリスマスの12日前(12月13日)にクリスマスツリーを居間に据えるのが伝統にかなっているそうです。あるいはその以降か。

昔は12月24日(クリスマス・イブ)までおあずけの家庭もけっこうあったと聞きました。

各人が、家族やクリスマス当日のゲストのために用意して隠しておいたプレゼントをいっせいにツリーの下に並べるクリスマス・イブにクリスマスツリーもいっしょにそなえつけちゃうわけですね。

今ではプレゼントは包み終わり次第、クリスマスツリーの下に並べる家庭が多いようです。私のうちでは夫の方針(育った家庭の習慣継承)でクリスマス・イブに子供たちが寝るまで子供たちのプレゼントは絶対に出しませんでした。

子供たちが成長した今、「12月最初の週末にクリスマスツリー」にこだわる必要はないんですけどね。いっそ、出すのをやめてもいいぐらいかもしれません。

ちなみに、私は毎年クリスマスにうんざりです。

酔っぱらったり自己破産したり、過ごし方で衝突して家庭崩壊、家族のきずなを深め他者を思いやるこの季節に孤独感を深め鬱になったり自殺したりする人もいっぱいいます。クリスマスが終わるまで子供たちのために我慢して「仮面夫婦」を続けていたカップルが12月末にいっせいに離婚申し立てに裁判所に駆け込む、みんなが知っている英国のクリスマスの負の側面...

...と、そこまで私の「うんざり」は深くないのですが、この時期、人々のとりつかれたような浮かれ具合に、ノレない自分に...憂鬱な気分になることが多いのはたしかです。

写真は一昨日の午後、足りなくなった毛糸を買い行くはめになった高級デパートで撮りました。

毎年、クリスマス前には極力、人がおおぜい買い物しまくっている場所を避けている私ですが、まだクリスマスには間があるし平日だし、だいじょうぶだろうとこわごわと行って見たら...人出はそれほどではなかったものの、高い商品をばんばん買いまくっている人たちの姿に圧倒され、感じなくてもいい疑問を感じました。(まあ、私も毛糸を買ったわけですが)

暖房費を払えない人たちのために、各地で教会が昼間集まれる暖かい場所を提供している...なんてニュースを見たばかりだったものですから。

毎年クリスマスは家族だけで過ごす私たちはプレゼントも家族間だけにしか用意せず、出費も少ないはずですが、親戚中どころか、ありとあらゆる知り合いどうし贈り合う人たちもけっこういるようです。「バカバカしいけどやめられない」という嘆きも個人的によく聞きます。

やめるなら、インフレが悪化して、生活に困窮する人も出てきている今年が絶好のチャンスだと思うのですが、そう簡単な話ではなさそうです。

作り物のクリスマスツリーを屋根裏から引っ張り下ろして組み立てるのは手間のかかる作業ですが、飾り付けを終えて電飾に灯をともした後の達成感は、ちょっとしたものです。意外と気が晴れるものですね。

今日の午後、決行です。

...私は飾りつけはけっこう好きだということを認めてもいいでしょう。

クリスマスツリーに明かりが灯れば、たとえ夫が「グリンチ Grinch(クリスマス嫌い)」だろうと、子供が成人していようと、クリスマスを直視しなければならなくなります。

スーパーマーケット、セインズベリーで売られていたグリンチをモチーフにした「クリスマス・ジャンパー」。

 

クリスマス、やってしまえばあんがい楽しいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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帰国した私を待っていた毎年恒例の消費の季節、不況でもやってくるクリスマスの季節

2022年12月02日 07時00分00秒 | 英国の、生活のひとコマ

英国に帰って来て、もう3週間です。

いよいよ12月、師走です。

昨日スーパーマーケット、セインズベリー Sainsbury's に行きました。

冬枯れの寒い一日、暑がりの私も帰国後初めて  ポリエステルの中綿が入った防寒コートを着て出ました。

平日の3時ごろ、会社の昼休みには遅めなのに駐車場はいっぱいでした。

好きな時間に休み時間を とれるリモートワークの人たちかもしれません。

そうだ、クリスマス前だったのでした。11月の初めから日本でもクリスマスの飾りを目にしていましたが、ここ英国では飾りだけではなく、売り場すべてがクリスマス対応なのです。

大量のクリスマスプレゼント提案品とクリスマス特需食品、日常消費される食品のパッケージも食器や家庭雑貨もすべてクリスマス柄に、もちろんクリスマスツリーのみならず家の内外をかざる飾りなどなど、クリスマスと関連付けられない商品はどこにも見当たらない、と言っても言い過ぎではない!

毎年デザインが更新される、ダジャレ満載の「クリスマス・ジャンパー」(クリスマス柄のセーター)は衣料品売り場の華とも言えるでしょう(言えないか)

 クリスマス・パグは Christmas pud (クリスマス・プディング)の掛け言葉です。

箱入りのビールをフォイエ―(入り口前スペース)に「万里の長城」のように積み上げるのもクリスマス前の見慣れた光景です。

(ビールはもしかしたらワールドカップ観戦のための需要でもあるかもしれません)

クリスマス対応のバンティングがすべての売り場通路にさがる店内で、なぜか2列だけワールドカップ盛り上げのイングランド国旗のバンティングが短く張られていました。

 

 

 

盲導犬育成チャリティの募金箱になっている、ラブラドール犬親子もティンセル(金モール)とボーブル(飾り玉)で飾り立てられ、クリスマスムード満点です。

 

使い捨ての、硬いアルミ箔でできた特大ターキーを焼くトレイが売り出されています。

ターキーが店頭に出そろうのはまだ先です。

今年はトリ・インフルエンザ avian flu の影響で、ターキーやチキンが圧倒的に不足するそうです。

私の家ではクリスマス・ディナーには出来合いのビーフ・ウェリントンでも買ってこようかと思っています。

食べるのは私と娘の2人だけですから、小さいもので充分です。ベジタリアン(正確にはイカ、タコを除く魚介類は食べるペスカトリアンですが)の夫にはサーモンのパイでも作るつもりです。スペインに住んでいる息子は勤め先のレストランが書き入れ時だとかで来られません。

さて、ご存知のように英国では11%強のインフレで、不況です。

年に一度の、消費欲を最大にかきたてられるこのクリスマス時期を国民は、どう乗り切るつもりでしょう。

日本では私の滞在中の最初の数週間(だけでしたが)、スーパーマーケットの売り場棚に「商品を値上げするお詫びと理由」などが書かれた紙がたびたび貼られていてびっくりしました。

ここ英国では予告もなしに物価はどんどん上がりますし、小売店が消費者にお詫びしたり値上げの背景を説明したりすることは一切ありません。手持ちのお金で買えるものがどんどん少なくなっていきます。

私たちは、今まで気軽に買っていたものを買い控えるなど気をつけることにしている程度で、ひもじい思いはしていませんが、満足に食事ができない子供や、ペットを手放す人も多数いるようなのです。

政府は最低賃金を引き上げるなど、何とか介入を試みているのですが...あまり効果はないようです。インフレ率に追いついていません。公共交通機関や医療従事者のストライキも決行、予定されていて不安要素が満載の社会です。

さて、たよりの...労働党熱烈支持のうちの夫が意外にも、「首相就任スピーチに文句のつけようがなかった」と評した新首相のリシ・スナク(保守党)ですが...

昨日の国会での首相の質疑応答 Prime Minister's Question Time の際、自身の出身校であるパブリック・スクール(資産家の子弟が通う私立学校)が高額の公的援助を受けた件で質問を受けました。

首相の「医師と薬剤師として一生懸命働いて僕をパブリック・スクールに通わせてくれた両親をバカにされた」というような答弁は野党席の失笑をかいました。

首相は自分の家庭は貴族でも資産家でもなく、勤勉な中産階級だったと言いたかったのでしょう。

国の公的な援助が投入されたのが、大金持ちが子供を預ける贅沢学校で、首相の出身校でもあったことが問題視されたのですが、首相は感傷的に質問の意味を誤解したのではないかと思いました。

首相の出身校はそもそも王族や、ロンドンの一等地に瀟洒な住宅をかまえる貴族、地方の地主など農地や狩猟場、ゴルフ場などなどを所有して、昔ながらの働かないで贅沢をする一般庶民のドヒンシュクを買う階級(以上、私の想像による例です)だけのための教育機関である...という(たぶん事実ではない)漠然としたイメージがあるものですから。

質問した労働党党首はそんなことを一言も言っていないのですが質問の中で、「狩猟クラブや、美術品のコレクションがある学校」(庶民の感覚からかけ離れた例)というようなことも言いましたしね。

首相の出身エリアでは公立校の教育の質が低く、卒業後何の資格も持たずに社会に放り出される若者が多いそうです。その公的援助があれば、その地域の多くの子供たちに効果のあがる教育を受けさせることができたのではないか、という質問(追及)でした。

(がんばれば出来のいい息子を王族が学ぶエリート校に通わせられる医師と薬剤師の親なんて、誰もが持てるわけではありません)

とにかく首相の反応は質問の答えになっていないどころか、答弁慣れして、ああ言えばこう言う口先ばかり達者なおっさん政治家に成り下がったような印象でした。

「出た~、社会のことをわかっていない特権エリート階級気質!」な雰囲気がどんどん露呈していく、期待外れの新首相です。

さわやか好青年風で好感度は高かったのですが、前任者の嘘つきボリスとマッドウーマン、リズ・トラスの2首相が悪すぎたので、あくまで比較上の高ポイントでした。

たいへんなお金持ちです。国会議員になる前はヘッジ・ファンド headge fund とやらで自ら財を成し、妻はインド国籍の大富豪の娘です。

高級車に乗って高い服を着ていることが揶揄の対象になっているのが気の毒でした。公金横領したわけでなし、自分のお金で何を買ったって勝手ですものね。

でもやっぱり「生活が苦しい、何とかしてほしい」という庶民の訴えは響かないんじゃないの、若い人の2か月分のお給料の値段の高級仕立てスーツを着ている首相には...と思えてしまうこの頃です。

プライベートではいていたカジュアルな金具飾り付きのローファーも、たしかプラダか、エルメスでした。

 

 

 

 

 

 

 

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昨今の中国事情でとつぜん思い出した日本滞在中の大事件、元総理大臣の国葬の是非

2022年12月01日 08時00分00秒 | 日本

中国の「反体制」デモ、鎮静化しちゃいましたね。

「中国人がんばれ、もっと怒れ!」と陰ながら応援していましたのに残念です。

写真は昨日と一昨日撮ったクリスマス前のうんざりするほど浮かれ切った英国の光景です。クリスマス対応商品を棚に詰め込んだスーパーマーケット、コンビニエンス・ストアとチッピー(フィッシュ&チップスの持ち帰り店)で撮りました。

話かわって、安倍元総理の国葬、2か月も前の話で恐縮ですが、私の日本滞在期間におこった最もセンセーショナルなニュースでした。

(一方、ここ英国では私の留守中、首相の交代2回と女王の死去というほんものの重大ニュースが目白押しでした)

安倍元総理の政見やら功績やら人柄やらをここで評価/批判するつもりはありません。

が、国家を挙げて追悼するにあたいする、外国の首脳クラスの人たちを呼びつけていっしょに追悼してくれるよう国家が要請するほど国家にとって意味のある、国税を12.4億円も使って国家を挙げて弔うべき人だったかというと...

答えはです。

彼を支持する人や敬愛する人がたくさんいたのは知っています。在任中に経済の活性化に尽力したとか、気さくな人柄だったとかもききました。それに憎むべき暴力事件の犠牲者ですものね、たしかにいたましいことでしたし動揺する人も多かったですから。...だからと言ってどさくさまぎれに、首相をやったことがあるけど(けっこう長かったから影響力はたしかにある)現在はふつうの人を国葬にする決定、しますか!?

彼の突然の死を悼む人たちは、自分なりのやり方で心から追悼の意を表明すればよろしい、自民党にとって重要な人だったらしいので「党葬」とやらをやってもよかったね...という話ではありませんか。

 

さて、私の夫は私の日本滞在中、ヒマなものですから英国にいて英語で読める日本のオンラインニュースをあさりまくっていました。そして毎日知り得た知識をビデオチャットで私に披露するのをとても楽しみにしていました。

夫にとってアべ国葬はかなり「オイシい」トピックだったようです。もちろん国葬に値するかどうか検証するのがおいしさのポイントです。(以下、カタカナ表記は敬称と肩書略)

夫は、銃撃事件後に調べてみるまで私もよく知らなかった家計学園や桜を見る会の件、ユニフィケーション・チャーチ(統一教会)とのつながりなども英文情報を読んで熟知していました。

うちの夫のようにヒマでこだわりのある人じゃなくても、調べれば海外でも簡単にわかることです。

...「自分が信じてもいない(しかも反社会性の高い)宗教の集まりに顔を売ってまでしてお金をもらうなんて、政治家としての良心はあるのか」って、ふつう思いますよねぇ..? 私は思いました。

日本では、統一教会のアコギな献金要求や信者の家庭崩壊などが明るみになるまで問題視されなかったようですね。たとえアコギじゃなかったとしても、高い地位にある政治家がそんな浅ましいお金集めをするのか?って不思議に思うのが国際社会の常識なのですが...するんですね、日本では。(安倍元総理だけではなく、他の自民党の議員も!)

 

好ましくないことをしたのが国民に知られちゃっているのが海外でもバレちゃってる人の葬儀を国がとりおこなって、各国の元首級の人も招待しちゃうって招待された側は「?」だと思うのですが。

エリザベスII世の国葬に比べると出席者の顔ぶれがかなり寂しかった(失礼)のが「?」の答だと言っていいでしょう。単に海外の国葬出席どころじゃなかった事情の国も多かったでしょうが。

安倍元総理の国葬が海外ではどう見られているのか、気になった日本人はおおいでしょう。

大きな話題にはならなかったかもしれませんが、自国の元首級の人が招待された先進国の国葬ですから、どの国でも報道されたはずです。

そしてやはり、多くの国での報道の焦点は(たぶん)「日本国民の国葬に対する考え」だったはずです。

海外でこの件に興味をもつ人は「日本人にとって本当に国葬でいいのか?」といぶかっていたはずです。

当日の朝、NHKニュースで、国葬反対デモに参加する人々を取材するBBC(英国国営放送)と韓国の放送局の特派員へのインタビューを見ました。2人とも「我が国の視聴者は日本国民の反応に一番興味をもっています」という旨、答えていました。

夫がワクワクして見たというニュースはBBCではなく、民放ニュース局のスカイSky だったそうです。葬儀のようす(全員マスク着用で着席する参列者とアベの巨大な遺影)が3秒ぐらい映って、国葬反対デモ隊の言い分と、交通規制による大混乱ぶりがそれぞれ5分ぐらい見られた...ということでした。

「結局、何だったのアベの国葬って?!」というのが夫の感想でした。

 

日本人は「サッカーの国際試合で相手チームの応援席のゴミ拾いまでした日本人応援団を世界が絶賛」というような情報が好きですよね。

(自分が出したゴミを持ち帰るのは当然のエチケットとしても、相手チームの応援席まで出張っていってゴミ拾いをするのは、私はやりすぎだと断言します)

この国葬のような出来事が国際社会で国外の人たちにどう映るかももっと気にするべきだと思うのです。

私の祖国、日本にとって唯一の救いは、各国報道陣が国葬反対に声を上げる、自分の意見を持つ日本人の姿をしっかりと報道してくれたことです。

私は日本国民ですが、「国葬はよくない!」とテレビの前でひとりごとをいうか周りの人と愚痴るだけで何も行動を起こしていません。日本に住んでいるわけでも税金を払っているわけでもないし、かなり他人事です。

それでも外国の報道陣に国葬反対の意見を言える私と同じ日本人がいたことをうれしく思います。

サッカー試合のゴミ拾いを誇りに思って、国葬は疑問だけどもう決まったことなんだからほっとこう...と思う人ばかりの国だと他国の人に思われたくありません。

中国の「反体制デモ」はやりすぎの「ゼロ・コロナ政策」の撤廃がおもな要求で「民主化」を求める運動とは根本的に違ったようですね。

それでも、言論の自由のない中国ではっきりと意思表示をする若い人たちはじゅうぶん勇敢です!

国民の7割以上が国葬に反対していたと報道された日本の街頭インタビューで、国葬についての意見を聞かれた日本人が誰一人として「国葬をするべきではない」と明言しなかったのが寂しいですね。(カメラの前で言いにくい気持ちは充分わかるのですが...!)

今回の中国のプロテストのニュースと同時に、BBCのニュース番組で2019年(天安門事件30周年)に撮ったと思われる短いビデオ映像を見ました。

天安門広場の民主化要求デモ活動を鎮圧するために出動した人民解放軍の戦車の前に立ちはだかる若い男性の映像をBBCの特派員がラップトップで、多くの2019年の北京市民に見せている映像です。

すべての人が「知らない」「見たことがない」「中国の戦車じゃないだろう」というようなことを言っていましたが、もちろんあの天安門事件を知らない50歳以上の北京市民がいるわけがありません。「知っている」などと答えたら怖ろしいことになりそうなのが目に見えているからこその反応です。

言論弾圧の怖さを見せつけられたビデオ映像でした。

日本はとりあえず言論の自由は保障されているはず...とここ数日、テレビで中国のニュースを見るたびに思ってしまいます。

 

 

 

 

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