べんりや日記

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本町K邸の外観

2008-06-04 19:26:20 | 1時間耐火の増築~本町K邸


昨年の春から増築工事を行っていた、本町K邸が脇の塀工事が終了し全工程が完了しました。

この建物は、もともと前館、中館、後館と3つの鉄筋コンクリート建築物の集合だったのですが、前の5階の建物を解体し、その場所に、玄関と階段+トイレの20坪程度の木造部分を付け足し、中館の1階部分の水廻りを改装するというもの。

増築の木造は1時間耐火の準耐火構造物で、丁度昨年の法改正が重なり、確認申請が厳しい時期でした。それでも「木造」ということで、構造計算書までの審査がない分、助かった面もあります。
それでも、層間変形角150分の1(通常は120分の1)をクリアするのに、ダイライトや構造用合板だらけになっています。
また、1時間耐火のために梁に強化石膏ボードを貼ったり、2階床下や壁に12ミリ石膏ボードを2重貼りしたりしているので、思った以上に手間がかかりました。
(そのため中越沖地震ではびくともしませんでしたが・・)

夏の暑い時期に、コンクリート部分のサッシを入れ替え、屋上防水も行いました。
サッシはビル用よりも住宅用のほうが機密、断熱ともに性能が良く、一回り小さいサッシをはめ込んだほうが効率がよいこともわかりました。
前のサッシの枠内に木軸で下地を組んで、両面ダイライトを貼り、防火性能を抑えておいてから、住宅用サッシを取り付けます。
雨仕舞を考えて、住宅用サッシの直下に水切りを設置して流用しました。

秋には中間の1階の水廻りを改装しました。
コンクリートの建物は夏暑く、冬寒いので、床、壁に木軸で下地を作り、その中に断熱材を入れています。
今までと比べ物にならないくらい省エネな部屋が出来上がっています。
風呂、脱衣、台所+居間の居住空間の殆どが納まって、暖かい空間に仕上がっています。


外構工事が冬場にまたがり、雪消えと共に、北面の塀工事を行いました。
塀は、既製品のアルミでは芸がないので、ヒバ材で竪格子にしてみました。
ヒバは水に強く、腐りづらい材料です。

これが、適度に焼けてくると、破風やパラペットのような褐色になり、色のバランスもとれます。

増築は、出来上がった全体のバランスを考えなければならないので、新築よりも面倒です。でも、その分、やりがいがあります。
風や光の採り方を工夫してやる必要がある。

市内でも、こんな増築してる所なんて、見当たらないでしょう。
(たいがいは、壊してしまうのだろうか?でも、新たに同じ面積の建物を作るなら、利用したほうが得策です。)

心残りは、木造部分が伝統木組みでできなかったことくらい・・
普通のプレカットに少し注文を出して、仕様をレベルアップしています。
私は、フツーの在来を手がけてもレベルは高い・・
それは常に強い建物を追い求め、工夫しているから・・

唯一、雁木部分の差し鴨居は伝統仕口でやってます。でもボードで巻いてあるので、技術が分るのはこれを解体したとき。

本屋も「せいがい屋根」を実現しています。1.5m程軒先を出してある。
建物から外に3尺(90センチ)梁を出して、軒桁を渡しタルキを2尺(60センチ)だして合計150センチ。
理由は全体のバランスを見て、このくらい屋根鼻を出さないと、かっこが悪いから・・
タルキは6センチ×9センチという、普通のタルキよりも2回り大きいサイズです。(フツーの家は4.5センチ×6センチか?雪が降るからね。)

一応、構造材、下地材共に90%以上は県産杉を使ってます。
(土台が米ヒバくらい。)
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