(スタディ-模型と日常を旅する本)
独り言
いろいろ挫折を味わった20代、一年間働いて貯蓄した100万円を使いヨーロッパにバックパッカーに出た。為替のレートが1ドル240円頃であったので、潤沢とは言えない金額でしたが、贅沢はしないで自炊しながらであったので、4か月間いろいろな国を廻ることができました。一人での旅、ましてや外国も行ったことがなかった自分にとって見るもの出会うもの触れるものすべてが驚きの連続でした。海外の見知らぬところに行き、少しでも長く滞在し、時に逆境に遭遇ながら「どうする自分?」とそこはどこかで楽しみながら廻るのが「旅」だと思っていた。
30代はタイ・インド・ネパールとバックパッカー、同じアジアの国々。いろいろとエピソードはあったがその話はまたの機会として、「旅」の場所としてやはり海外を選んだ
今度は数週間、東日本テントの旅。国内でありながら、国内外問わず出会うバックパッカー、海外と違いのない事に気付く。
一生の内の数年間のみのサラリーマン時代と、数度の旅を経て、33歳自営の道を歩むことになる。バブルがはじけて世の中不況へと景気も下降線をたどる中での船出となる。何一つ仕事のあてがあったわけでは無かったので、仕事はもうそれこそ手探り状態。諸手続きやら、打ち合わせやら、仕事の進め方など、サラリーマンとして仕事してきたはずなのに、全て一から行おうとすると勝手が違う。会ったことのない施主に合う事も、行ったことがない土地を見ることも、考えてもみない要望が出てきたりすることも…未知で思いがけないものとの出会いの連続。
この感覚は懐かしいな~?何だろうと思っていたある日、ふと「旅」に似ている事に気付く。
まえがきは長くなりましたが、先日、「最小限住居」と名づけられた増沢邸のリメイク住宅「スミレアオイハウス」で、この住宅の住人でもある萩原百合さんの編集した「日常を旅する」の出版記念パーティーが開かれました。それぞれが持ち寄った料理やお酒を頂きながら、これまで百合さんが手がけてこられた書籍をはじめ、今回刊行した「日常を旅する」の取材や編集のエピソードの話題に花が咲いた
萩原百合さんのあとがきで
「身近な街であればあるほど、その土地のよさに気づいていない-中略-自身の感覚をたよりに歩いていると、これまで見えなかった街の側面が現れ、新鮮な驚きや出会いにつながります…」
先日、私の住んでいる八王子で、「ハニーズガーデン」という催しがあった。ハロウィーンの日に近い日曜日に開催しその八王子南口商店街一帯でパフォーマンスやおのおの仮装を楽しむ企画である。楽しい~八王子に移り住んできた友人は「八王子らしさ」を感じるイベントとしてとらえてましたが、私は楽しいのですがその「らしさ?」って言われても答えが出なかった。その友人曰く「ネ-ティブ八王子(八王子の地元民)にはわかんないと思う~」とも…身近過ぎて“よさ”“らしさ”が見えないのかもしれないな~と感じたエピソード
話はそれましたが、「旅」はどこか行くのではなく、自分の感覚がどれだけ自由になれるかだと思う…それはヨーロッパでもアジアでも日本の何処かでもなく、日常生活の延長線上にある。いや仕事を含む日常そのものが旅なのかもしれない。本の内容とは直接関係ないかもしれませんが、勝手に思いが膨らみました。「日常を旅する」いい言葉だな~ ありがとう。
「日常を旅する」株式会社けやき出版刊 編集・執筆/萩原百合 企画/萩原修
(「スミレアオイハウス」で出版記念パーティ-の様子)