住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

立葵

2009-06-23 23:06:09 | よその庭
 (サザンビーチにて)
生まれも育ちも八王子の私にとって、「海」は好きというより、憧れに近い感情がある。

先週の日曜日(6/13)、家族で誰からともなく「暇だね~。どっかいこうかあ?」と、しばらくたって「どこいく~」との応答。そんなやり取りが何回か続くき、結局は近所の散歩だったりする事がしばし。
さすがに行きたい気持ちが強くなってくると、ちょっと具体的な場所を口にして臨場感?を出す。具体的といっても、大体出てくる言葉が、「海」か「山」か「動物園」か「公園」という言葉だけで、具体的な場所はいっこうに出てこない。前もって調べ上げて・計画して・予約して・・・が出来ない家族はこんなもんである。

この日は思い切って梅雨のじめじめを吹き飛ばすべく、ちょっと強い意志で私が「海に行こう!」といってひとりそそくさと車に乗り込み、残り2人もそんなに言うのなら・・といった感じで車に乗り込んだ。走り初めてしばらくして妻が「で、どこいくの~」と。。。「さあ、どこの海に行こう・・・」と私。相変わらずなのである。

そんな我家のダラダラな休日の事はよいとして、八王子から国道16号で橋本まで行き、そこから国道129号線片側2車線の広々とした開放感のある道路をまっすぐ南下すると平塚の海に突き当たるんです。時間でいうと1時間強。私の中では若い頃から海と言ったら平塚でした。といっても海釣りもサーフィンもしない我家では、特に何ができるという場所ではない。何も出来ないから単純にボーとできるというわけ。

写真はちょっと足を伸ばして行った茅ヶ崎のサザンビーチで撮った立葵(たちあおい)。実は私はこの花はあまり好きではありませんでした。大きいものになると3mくらいになるその姿と形が、私には大味に思えて、色も綺麗というよりもハデ過ぎるという感覚だ。しかし、浜辺でその花を見ると、景色と相まってか悪くない。いやむしろしっくりくる。それもそのはず、立葵はハイビスカスの仲間である。そして空に向かって真直ぐに立つ大きなこの花は、梅雨との関わりのある花でもあった。立葵が咲き出すと梅雨入り、一番上の花が咲けば梅雨明けと言わている。

そんな事聞くと、どんどん伸びろ!と応援したくなったりするから、人間なんて都合の良いモノである。

あっ、それから浜辺で白と赤のツートンにペイントされた流木を拾った。「これはラッキー!!」と家に持ち帰り次の日見てみると、なんだか工事現場で拾ったただの端材にしか見えない・・・

そう、立葵と同じ、見る場所・見る気分によって違って見えるのである・・そして近所の空き地であらためて見た立葵は、「う~~ん、やっぱり・・・」であった。

立葵(たちあおい):。葵(あおい)科。多年草(2年草)。初夏の花ですこぼれた種子も芽を出すので,庭先などに群生して咲いている様子はみごとです。学名 のひとつにrosea:バラのような がある。
日本には、古くから薬用として渡来したといわれている。

=戸田晃建築設計事務所=

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