シネマと虎とグルメたち

犬童一心監督作品に「ジョゼと虎と魚たち」があった。オイラは「観た映画が面白くて、美味いもの食って阪神が快勝」を望んでる。

カサブランカ

2016年03月21日 | 映画

「第三の男」を見たので、何となくアメリカ人が好きだと言う「カサブランカ」を再見する気になった。
カサブランカと聞くと、花好きの人は大きな百合の花を思い浮かべる方もおられるだろうけれど、映画ファンとしてはこの作品を思い浮かべる。
僕たちの年代の者にとっては沢田研二が歌った「カサブランカ・ダンディ」を思い出す人もいるだろうが、その歌はこの映画をモチーフにしていた。

さて作品、今見るとよくできたメロドラマといった内容で、アメリカ人がこの映画を常に上位にあげる理由がよくわからない。
すべての要素が要領よく散りばめられた、まるで寄せ鍋の様な作品だが、食材はそこそこのものを使って見栄えを良くしていると感じだ。
いろんな要素が散りばめられているのだが、それらを掘り下げて眺めてみるとどれもが深みのあるものではない。
しかし全体としてはウットリさせるようなエピソードを散りばめていて、その雰囲気に酔わされてしまう。
アメリカ行きを望んでいる若い新妻に、パリでのイルザの気持ちを代弁させるようなことを言わせ、リックがその夫婦を自分の経営するカジノのいかさまで救ってやるというヒロイズム。
ド―リー・ウィルソン演じるピアニストのサムに思い出の曲「時のすぎゆくままに」を弾かせ聞かせる音楽効果。
リックに好意を寄せるイボンヌへの返答では「昨夜はどこに?」「もう忘れた」、「今夜は会える?」「先のことはわからん」などという小粋な会話。
極め付けが「君の瞳に乾杯」だ。
監督のマイケル・カーティズはよほどこのセリフが気に入ったのか、ハンフリー・ボガードに4度も言わせている。
最初は熱愛時代のパリで、2度目は陥落前のパリの酒場で、3度目は二人が和解して愛を確認したリックの部屋で、最後が空港での別れ際と言った具合だ。
少佐の死によって独軍及びヴイシイ政府の呪縛から逸した警察署長のルノオが、リックとの掛け金を旅費として相携へてこのカサブランカを脱出し反独戦線に加わることを誓い霧のかなたへ消えていくというくすぐったい結末。
何にもまして、イングリッド・バーグマンを美しく撮ろうと言う意識があり、ファッションと共に彼女のアップが観客を魅了する。
ゆったりとした気分で、それらの雰囲気を味わえることがこの作品の人気の秘密の様な気がする。
(映画サイトはこちらでフィルムセンター)
コメント (2)
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