林達夫／ものづくり中部の革新者たちⅢ

2022-10-22 06:40:18 | ものづくり・まちづくり

ものづくり中部の革新者たちⅢ　より　林達夫を紹介します。

去る2022（令和４）年９月10日（土）に名古屋都市センター（金山南ビル内）　11階「まちづくり広場・企画展示コーナー」で行われた、第17回パネル展での学びを振り返ります。

ここから　http://csih.sakura.ne.jp/panerutenn.html

今回は、林　達夫　寝ても覚めても電気炉　日本一の電気炉メーカーを造り上げた技術者一　

ものづくり中部の革新者たち Ⅱ

2. 技術の革新者 (9)

林　達夫　寝ても覚めても電気炉　日本一の電気炉メーカーを造り上げた技術者一

■誕生から大同電気製鋼所勤務まで
林達夫は1902年(明治35年) に鳥取市で生まれた。父は軍人で8人の子をもうけ、林は第2子であった。大阪高等工業学校機械科を経て、1923(大正12)年に東北帝国大学工学部に入学し化学を専攻したが、翌年新設された金属工学科に転科本多光太郎の指導を受け、卒業の際に「君は経営者向き。大同に「就職せよ」と厳命され、名古屋に向かった。 1927(昭和2)年4月、大同電気製鋼所に初出社の際に、近所でも名前すら覚えられていない会社であることに直面し、「町工場に投げ込まれた感じで、みじめさがこみあげてきた」と述懐している。

■冶金屋から電気炉屋に

林が入社した当時の大同電気製鋼所の所長は寒川恒貞、取締役は本多恒三であった。林は入社に当たって寒川と本多の間で、 5年間は母の金属材料研究所で研究を続け学位取得後に就業するとの約束ができていた。しかし半年も経ないうち名古屋に呼び戻され、電気炉製鋼現場では昼夜連続の二交替勤務を続けた。製鋼現場で稼働していた当時日本最大のエレクトロメタルス10トン炉は欠陥が多く、川崎の指導のもとで改良を加えていった。その仕事ぶりから川崎舎に電気炉の設計助手に就くことを要請されたが、冶金屋を自負する林はこの要請を断り、仙台に赴いて本多に辞意を相談した。「冶金以外の仕事はするなとは一言も言っていない。日本でただひとりの電気炉の権威と仕事ができるそんな幸せはない。文句を言わず電気炉屋になれ」と本多に叱され、しぶしぶ辞意を思い留まった。林の電気炉との長い付き合いが始まった。

■日本一の電気炉メーカー
川崎舎の指導のもと、自動電流調整装置をアーク炉に併置した大同メタルス式アーク炉を1930(昭和5)年に完成させた. 会社の定款の営業目的に電気炉製作工業を追加する変更が行われ、大同はアーク炉製造の独占的地位を確保していった。林は電気炉の開発研究の中心を担い続けるとともに、 1936年に社員で初めて10か月間の欧州視察に赴1937年には新会社満州鉱機の取締役となり、1941年
に自ら設立を進めた朝鮮製鉄の常務取締役に選任された。このような中で1944年には学位論文「電気炉の設計」を東北帝大に提出し、工学博士を授与されている。戦後に大同製鋼に復帰し、1952年にアメリカのレクトロメタル社と技術提携を結び、ダイドーレクトロメルト式アーク炉を立ち上げ、電気炉の大型化を進展させた。 1962年には世界最大の200トン炉を完成している。 1979年に私財500万円を日本鉄鋼協会へ寄贈した。日本鉄鋼協会は電炉 (フェロアロイ製造炉を含む)の業に多大な功績のある者の表彰に賞を贈呈することを続けている。
（黒田光太郎)

2024年12月
日	月	火	水	木	金	土
1	2	3	4	5	6	7
8	9	10	11	12	13	14
15	16	17	18	19	20	21
22	23	24	25	26	27	28
29	30	31

アクセス
閲覧	7,409	PV
訪問者	1,065	IP
トータル
閲覧	19,889,248	PV
訪問者	3,672,270	IP
ランキング
日別	333	位
週別	385	位

社楽の会の運営者によるブログです。社会科に関する情報などを発信します。

ものづくり中部の革新者たちⅢ より 林達夫を紹介します。

2016年度 第12回パネル展 東海の綿織物・毛織物と産業遺産

コメントを投稿

ものづくり中部の革新者たちⅢ　より　林達夫を紹介します。

2016年度第12回パネル展　東海の綿織物・毛織物と産業遺産