あなたも社楽人!

社楽の会の運営者によるブログです。社会科に関する情報などを発信します。

『龍馬伝』 ~秘話かも?-5-

2011-06-05 07:10:36 | 日記
愛知教育大学附属名古屋小学校で行われた第58回小学校教育研究発表協議会の記念講演、『龍馬伝』の脚本家 福田 靖さんのお話の概要を紹介しています。

その第5回(最終回)



これ以後の記録は、筆者のメモを主観を交えて脚色?を加えたもので
す。内容に関して、福田氏、並びに附属小学校には一切の責任はありません。


撮影が始まる

 実際に私が考えた脚本で撮影が始まった。

 汚いほこりっぽいセットに、ほこりっぽい服。
 確かに「薄汚い服」と書いたが、弥太郎の服は本当に汚かった。「鳥かごを背負って」と書いたが、あんなにたくさん背負っているとは思わなかった。

 普通は、家のセットに天井はない。照明があるから。
 しかし今回は、天井のあるセットで、本当の行燈の光で撮影した。暗いぎりぎりで撮っている。

 また、普通はぶつ切りで撮影する。今回は、一気にノンストップで撮った。3台のカメラで、ノンストップで3回まわり撮り、計9カットの中から、よいものをつなげた。
 しかし、吉田東洋の田中泯さんには、なかなか苦労した。

 撮影現場は、猫や猿がうじゃうじゃいた。人へのギャラより高いかもしれない。

 こうして、撮影を進め、最初はおしかりを受けたが、徐々に支持されるようになった。

 
 48話は長かった。途中でわからなくなると、原点に戻った。

 児玉 清扮する龍馬の父・坂本八平が亡くなる場面では、「龍馬は歳を取ってからの子どもです。長く付き合えないと思っていました。」「きっと、大きな花を咲かせますよ。」「ありがとう。でも、やっぱりその花を見たかった。」
 そう言わせた。

 自分の子も48歳にできた子。大学を出るときは70歳。これは、自分に言い聞かせた台詞で、思い出となるシーンだ。児玉 清さんが最後に出演したシーンでもある。最後にいい仕事をしてもらえてよかった。


 本当は1話はこうで、2話はこうで、と8時間くらいかけて話したかった。

 全てを出し尽くして、書き終わった時は廃人のようになった。

 このために買った幕末関係の本は、すべてBOOK OFFに売ったら、8万円にもなった。
 専門家でないので、ただの脚本家が書いたドラマ、そう思ってみてもらえればいい。
 質問があったらいただきたい。



Q スランプから脱出する方法は?

A 今では余裕が出てきたが、最悪の時は「1年後には、この最悪の状況もいい思い出だった」と思っている自分をイメージした。
 半分、鬱みたいなもの。
 3日間ホテルにこもって、1文字も書けないときもあった。女房に仕事を辞めさせて、口で言ったことを女房にパソコンで打ってもらった。
 これが良かった。口述筆記にしたおかげで、自分の言葉になり、よりよくなった。


Q 好きな映画は何か?

A 好きな映画とは、自分が一番感性が豊かだった頃の映画。
 バック・トゥ・ザ・フューチャー、ダイ・ハード、エイリアン2 は楽しかった。
 そういうものの影響をうけている。
 今になっては、「七人の侍」はいい。ルーカスやスピルバーグが新しい映画を作るときに「七人の侍」を見直すというが、今はわかる。


Q これからやりたいことは?

A こういう質問が困る。しょせんこのような人間なのでたかがしれている。
 しかし、何が来てもいいように常に準備をしている。
 プロデューサーから話が来たら、乗ってみようと思っているし、新しいものが出てくる。 2年先から3年先まで話をいただいているので、今は夢を考えていない。 
 10年後もこうありたい。


Q 龍馬伝の龍馬と他の龍馬との違いは?

A 武田鉄矢の「お~い、龍馬」は、キャラとして参考にしていない。しかし、「要するに作り物だ」ということがわかった。
 最終的には、自分のものとして武市半平太はかっこよく描いてあり、とても参考になった。
 これからは新しい作品を書く。もう、連ドラ、映画が入っている。そんな時に、福田 靖という名前を見つけてくれたらありがたい。              

   おわり



  ここまでお付き合いくださいましてありがとうございました

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。