日記

音楽教室のことや、その日に起きた出来事をご紹介します。

セミナー後記

2010-01-21 21:42:11 | Weblog
だいぶ遅くなってしまいましたが、仙台セミナーのことをまとめます。


今回は受験生が多かったので、緊張感のある2日間でした。
きっと人生最大のプレッシャーと戦っている生徒さん達です。
言われたことに対してどれだけ大げさにそれを実行できるか、
自分と同じ曲を弾いている人のレッスンを聞いて、それを自分の演奏に
どう反映できるかなど、瞬発力と判断力を問われる内容が多くありました。

レッスンを聴講するだけの気楽な身分の私は
「もっと大きく弾いたらいいのに。。。もっと早くやってみればいいのに。。。」
などと、全体を聴きながら色々なことを考えることができます。

でも、その場に立っていた頃を思い出すと、舞台にいるので精一杯!!
その上、指示をいただいたことを冷静に聞いて実行するというのは本当に
難しくて、やろうとしたことが何もかも裏目に出るような経験は数多くありました。
二度とピアノなんか弾きたくないと思うような経験を何度も繰り返してこそ
音楽の素晴らしさや難しさが実感としてじわじわとにじみ出てくるのだと思います。
今は苦しくても、絶対に役に立ちます。

「みんながんばれーーー!!!」



須田先生が2日間で何度もおっしゃった「清潔な音」という言葉が印象的でした。

拍をそろえること、和音をきちんと聴くこと、左右のバランスを考えること。。。
そういう曲を演奏する上で一番基本的なことがまず一つ。

そして、曲のイマジネーションを広げるために、美しいものや質の良い贅沢な物を
たくさん見ることも大切だと教わりました。

たとえばショパンは貧しい暮らしをしていましたが、部屋には必ず花を飾り、
服装を正し、上流階級や王室の人たちに多くの曲を書きました。

そうやって作曲家としてのプライドをかけて書かれてきた曲を演奏する私たちは、
やはり敬意をはらい、それなりの服装と行動を身につけることが礼儀ですし、
音楽にも少なからず影響を及ぼします。

また、受験生にふさわしい服装や靴、髪形なども細かくアドバイスして下さいました。
その場にふさわしいかということも大切ですが、曲に対する気持ちの表れを考えて
服装を選んでほしいという先生のお考えには大賛成です。
華美になりすぎず、上品な装いはとても難しいですが大切なことだと思います。



最後に一つ、モーツァルトのレッスンの時に教えていただいた
面白いエピソードをご紹介します。

モーツァルトの曲を演奏する時は、左右のバランスや高音の弾き方が特に重要です。
しかし、右手の4,5の指というのは弱くてなかなか豊かな響きを出すのに苦労します。
強靭な4,5の指で高音をキラキラ鳴らせたらどんなに良いでしょう。

ホロヴィッツは3歳の時に、指の力が強くて持っていたコップが割れたそうです。
それを見た母親は彼にピアノを習わせようと思ったそうです。
他にも兄弟がいたのに、ホロヴィッツの指の強さに何か直感が働いたのでしょうか?
彼は素晴らしいピアニストになりました。


才能を持って生まれた人への憧れはつきませんが、ある程度のところまでは
努力と継続で何とかなる!!と思いながら私は今日もピアノに向かいました。

そして、やっぱり人並み外れた才能は持ち合わせていないので、
ある程度のところで練習を切り上げました。

こういう毎日の積み重ねを幸せだなと思うようになったのはここ数年のことです。
ピアノを弾くこと、ピアノのことを考えることが苦しくなくなって本当によかった。


さて、来月は「ほどほどのモーツァルト」をレッスンしていただきます。
先生に失礼の無いように、もう少しだけピッチを上げて練習します。

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