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酔いどれの誇りと踊る熊へ

映画 PERFECT DAYS

2024-09-16 11:42:49 | 雑感等々
むかし友達の看護師に言われた。
普通が有難い。普通でいることが最高なんだ。
普通に暮らすということがどれほどいい人生か。

この映画を見てそれ思い出した。

築40年以上の木造モルタルアパート。
住んでいるのは初老で無口な独り者。
公衆便所の清掃員。
夜明け前の早朝起床から植物にスプレーをかけて昭和風自動販売機で缶コーヒー買ってお気に入りのカセットテープを聴きながら仕事場へ向かう。
昼休みにサンドイッチ食いながら古いデジタルカメラで気になるものを写すのがささやかな楽しみ。
仕事帰りには浅草駅地下街の一杯飲み屋で焼酎飲んでいる。
眠くなるまでツラツラ古本を読む。
休みの日には行きつけの銭湯で一番風呂入って、古本屋で掘り出しもの見つけに行く。
毎日判を押したような普通の日々。
これがパーフェクトな日々・・・・・
役所広司のニコッと笑顔になるアップが何度かある。
ここで全国の独り者初老男は感じる。
うわ~オレを描いた映画だと。
表面上。
でも違う。違うな。
あんなにスカイツリーが温かく見守っている街に住んでいないし役所広司みたいにモテもしない。
なんでこんなにモテるんだ。
役所広司だから。
懐に余裕があるときたまに行くこじゃれた小料理屋で石川さゆりが女将をやっているところなんか知らないし恋仲にもならん。なれん。

ああやっぱりファンタジー映画なんだな。

外国人が描いたオカシナ日本人や風景はめずらしくなかった。

リドリー・スコットやタランティーノみたいにヘンな感じの日本も好きだ。
ヴィム・ヴェンダースはそういう臭味を取り除いたものをつくった。
でもどこか変な映画だ。面白かったけど。ヴェンダースはそういう監督だ。

ああ森田芳光監督がこの映画を見たら何ていうだろうか。



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