そう「エイリアン」(79)は100年に一度の傑作。
狂った(誉め言葉だ)妄想をありったけ膨らませ粗削りの本を書きあげたひとりの青年がいた。
SF映画愛の心眼を持ったダンは誰よりも早く天才を見つける。
そして誰も思いつかない狂った妄想世界を具体化される天才に声がけし
一流プロフェショナルが動き始める。
そしてダン・オバノンが駆け回る。とにかく走り動き回る。まるで怪物を呼び覚ますがごとく大海をかき回し巨大な渦を作るように。
映画にはプロデューサーが核だ。制作にあのウォルター・ヒルが関わるなんてアンビリーバブルだ。
これでどれだけの天才や超一流が集まるか、傑作が誕生するかかかっている。ダンは交渉に駆け回る。
「エイリアン」はリドリー・スコットの発案ではない。ダン・オバノンだ。
しかしリドリー・スコットがいなければ生まれなかった。
そして、ダンの脳内に蠢く化け物を引っ張り出したのは
静寂と狂気の画家H・R・ギーガーだが
二次元の悪夢を三次元にしてみせたのはイタリアの天才彫刻家カルロ・ランバルディだ。
だれひとり欠けてもいけない生まれなかった。
総合芸術の真骨頂とはこのことだ。