中学生の時に初めて観た「ディア・ハンター」
フジテレビ土曜日の「ゴールデン洋画劇場」。
デ・ニーロ扮する主人公マイケルが、
口だけ達者の小心者の友人に
「You are on your own!」と言い放た言葉。
てめえのケツはてめえで拭きやがれ!
とこれからベトナム戦争に駆り出される自分たちと合衆国に残った友人の
はざまで一線を示した言葉。
これから俺たちはいなくなるんだぞ、オマエはこれからの人生自分でやってかなきゃ
ならないぞ!
そんな意味合いの受け止め方を当時のオレはした。
仲間内では「いい兄貴分」として頼られ甘えられていたマイケルが将来を心配して
言った優しさだった。
そう受け止めて観ていた。
そして時は数十年過ぎて、
ドン・ウィンズロウ原作「犬の力」(角川文庫版)でまたもやお目見えだ
この沢山の人たちが使ってきた古い決め台詞。
「自分の道は自分で切り拓け。」
で東一紀氏は訳した。
この「犬の力」はハードボイルド小説としても傑作だし、米国文学としてもトップだ。
そしてなによりも、この世知辛い世の中を生き抜くための武器となる
言葉の宝庫だ。
もし、映画化権を買えて製作に携われたら…
主人公:アート・ケラーを誰でキャスティングするだろうか?
白人とメキシコ人のハーフで母譲りの美貌を備えている47歳の男。
アントニオ・バンデラス?
歳をとりすぎているか…顔はOKだが。
こういう妄想が楽しい。
自分がもしもハリウッドで活躍しているプロデューサーなら…?
監督は誰?
俺なら迷わず、マイケル・マン監督だな。
とか…
楽しい。
しかし、大人の映画を今ハリウッドでは撮りにくい現状があるようだ。
いや、大作として製作費を出してくれるところがないだろう。
60年代、70年代は作るうえで良かった時代だったのかもしれない。