素面でいると昔の思い出ばっかり浮かんできてしょうがない。
人生の棚卸しやってます。
奥手でうぶな男子高校生だった。
映画少年はそのまま思春期をむかえて行き止まりの時代を過ごした。
面白くもない迷路にハマって出口見つからない三年間。
賑やかな街中の年齢層問わずカップルを横目で見ながら憎悪と惨めさが募ってくるのを
押し殺しながら暗闇のシートを目指して出掛けて行った。
16歳の男は二つに分かれる。彼女がいる奴とできない奴。
誰が決めたわけでもないのに自分で自分を線引きして苦しい思いをしていた。
スポーツにも夢中になれない隠れてバイトして金を稼ぐこともしない。
だらだら生きていた。
現実から逃げていたのだろうスクリーンの世界へ。
一体全体どうしていいのか分からなかった。
なんだこの寂しさは惨めさは負けている感覚は…
半世紀生きてきて分かったことは関係なかったことだ。
だれも気にしちゃいない見ていない。
自意識過剰が自分を苦しめていただけだ。
自分で自分を首絞めていただけだ。
何をどうしてやっていけばいいのかサッパリ分からなかった。
そんなことも気にしていなければ良かったのだ。
ただ自分の楽しさや充足感を追求して動けば良かったのだ。
鬱々した日々を送るってことは人生の一時期必要なのかもしれない。
あれがあったから今図々しく生きられるってこともある。
金無しカノジョなし地位なしの青い春のオレが今でも街中に沢山いる。
顔には出さないが微笑ましい、あ~オレが駅前の人混みとカップルに混じって歩いている…。
掴まえていちいち教えてやりたいよ。
惨めで寂しくて心が締め付けられるだろうけど大丈夫だぜ。
今オマエには寒くて肌寒い青い春だろうがやがて暖かい季節が必ずやって来ると。
いや、それじゃだめだ。
答えもヒントも教えない方が良いのだ。
いつ終わるともしれない惨めさを味わってもがいていくことに意味があるのだ。
オレと同じようにせいぜい苦しむがいい。
どうせやまない雨は無いんだ。