朝、私が起きて来ないのでルンバは自分で運転して病院へ行ったようだ。
パンと牛乳で朝食を済ませ、溜まっているビデオを観ていると不思議なことにいつものことだが眠気が出てくる。
いつでも観られると云う緩い気持ちがあるからだろう。
ビデオとテレビの電源を切って、ソファーでオヤスミの入口。
途端に鳴ったスマホ。ルンバからの電話だ。
過去に交差点で衝突し、車を廃車にしたことのあるルンバ。
(こりゃまたヤッタな)と恐る恐るスマホに出たら、「検査は終わって車に戻ったのだけれど、真っ黒な雨雲が迫っているので、雨が降り出した時に焦らないようにワイパーの動かし方を教えて欲しい」とのこと。
事故ではなかったかと少しホッとしたものの、過去に彼女にはワイパーの動かし方を教え、自分で運転しながらワイパーを動かしたことだってあるのに、何を今更と云う気持ちだ。
エンジンをかけてワイパーのスイッチを入れてみたら後ろのワイパーが動いているとのこと。
「それはワイパーのスイッチを回したからだから、まず回したスイッチを戻して」と云うのだが、既にパニック状態にあるルンバには通じない。
何を回したのかも記憶に無いのかも知れない。
考えた末「ウインカーの反対側に出ている棒を回してみて」で何とか後ろのワイパーが止まった。
今度は前のワイパーを動かす方法を教えなければならない。
「今のワイパーの棒を一段下げたら間欠ワイパー、もう一段下げたら普通に連続してワイパーが動く」と教えたのだが、イマイチ伝わっていないのか「下げる」の意味が分からない様子。
だから「地球の方向へ」と云おうとしたのだが、彼女に理解できるとは思えず考え直す。
「運転席に座っている」と云うので、それならばとヒラメイタ。
「ワイパーの棒を、肛門の方向へ動かしてみて」
返ってきたのが歓喜の叫び
「うわぁ・・・・・動いた、動いた」
こんなに「肛門」が役にたつとは思わなかった。