11月26日(月) イタリア旅行もいよいよ大詰めである。観光出来るのは今日が最後である。朝8時過ぎ、美味しくないホテルの朝食を取り、8時半に出発。今日はバチカン市国周辺を見るつもりである。ガイドブックに寄ると、 「人気のバチカン博物館は長蛇の列になるため朝早く行くと良い」と書いてあった。9時に到着した時はもう300メートル、400メートルと列が出来ていた。待つこと30分やっと、館内に入ることが出来たが、 膨大な量のコレクションにびっくりである。キリスト教は世界に平和を広めるため布教されたというが、それ以上に世界中の至宝を略奪してきた歴史の様な気がしてならない。キリストの教えを広めるため世界を征服してきたのだ。物事には必ず2面性があると思う。これほどまでの壮大な建造物、または、絵画、彫刻、などを作った下には無数の奴隷になった人たちの汗と血が流されていた事だろう。 そんな事を考えながら次から次へと回廊をトコロテンの様に押されながら進んで行く。ゆっくり見たつもりは無かったが役3時間かかってやっとバチカン博物館を出てきた。
その後にサンピエトロ寺院についた時はもう、結構疲れてしまっていた。もう一度、行列に並んで入場する気力が萎えていた。ミケランジェロの「ピエタ」も見たかったが、寺院を表から眺めるだけにした。広場の適当な位置にまた、 私のバッグを置いてDM撮影。今日は今までの中で一番天気が良かったのできっと良い写真が取れたと思う。
少し、お腹が空いたので、サンタンジェロ城近くのレストランに入った。私達の前にお客様は一組だけ、日本人の新婚カップルと思われる。ガラガラの店内なのに案内されたのが、そのカップルの隣だ。何となく、気恥ずかしい様な思いで席に着く。1時を過ぎるとだんだん混んで来た。しかし、大きな声で会話するグループが一組も居ないのは、地元のイタリア人が一人も居ないからだろう。全員、観光客だ。やはり、思ったとおり、料理はあまり美味しくなかった。
その後、サンタンジェロ城を見た後、パンテオンに、古代ローマ時代に建てられた当時の姿をそのままに残す神殿である。中に入って見上げて見ると、荘厳な趣が包み込んで来る。
今日は朝から、ずーと上を見上げてばかりなので首が痛い。一日中天井ばかり見ていた気がする。さすがに此処まで来ると悦子も歩き疲れている。時計を見るとまだ、14時半だ。このままホテルに帰るには少し早すぎる。協議の結果、もう一箇所、「カラカラ欲場」までゆっくり歩きながら言ってみる事にした。30分ほど掛けてやっと辿り着いたら、月曜日は14時閉店。何と、ガッカリである。もう、歩けない。最後の力を振り絞って、もう一度、メトロでスペイン広場まで戻って来て、最後の買い物を済ませた。すべての日程を終えホット一息。もう一度、スペイン広場からメトロに乗ってホテルに帰る時、スペイン広場の地下鉄乗り場で悦子が女すりに財布をすられた。歩き疲れていたのと、今まで何も無かった安心感で気が緩んでいたのか?一番悪かったのが、DM撮影用に上部に結び目の付いていないバッグを持っていた事だ。すりは明らかにこの無防備な悦子を見逃さなかった。悦子が気が付き、「この人に取られた!」と言ったがもう遅かった。地下鉄のドアが閉まるのと同時に逃げられてしまった。財布の中身は、買い物がすべて終った後なので、ほとんど現金も入っていなかった。クレジットや大金は私が肌身離さづ持っていたので大事に至らなかった。かえって、私といる事が彼女に隙を作ってしまったのだろう。海外で一人で歩いている時はもっともっと細心の注意を払って歩いているはずだから。旅の最後にこういった「スリ」の洗礼を受けた事は、逆にこれからの旅に気を付けて下さいと注意された様な気がする。「まー、小銭だけで済んで良かった。」とローマ最後の夜に乾杯をした。
今日も最後に万歩計を見てみると、25586歩、22キロ歩いていた。