今回、私の後ろのブースは若狭の塗箸屋さんである。金・銀・ラデンなど煌びやかに装飾された塗箸である。使い勝手は断然、「竹箸」の方が良いのだが、見た目に美しく可愛らしいのも、魅力の一つである。
2年前のNHKでの朝の連続ドラマで、「ちりとてちん」が放映されたが、その時の主人公の実家が若狭の塗箸職人の家であった。テレビの影響は凄まじい物が在り、「ちりとてちん」が放映されている間に、日本中に若狭の塗箸のブームが起こった。
それまで、倉庫に山の様に積まれたお箸の在庫がいっぺんに空になったそうだ。それ以降、今でもブームは続いており、製造が追いつかなくて在庫が溜まることは無いそうだ。本当にテレビの影響は大した物である。
江戸時代に下級武士の内職として始まった若狭の塗箸。明治の初期に一旦、潰えたそうだが、また復活し今に至っている。このお箸が若狭塗りの代表の柄だそうだ。砂浜に浮かぶ貝殻をイメージしているそうだ。
日本の人口が一億三千万人。毎年、若狭の箸組合で作るお箸の量が一億五千万膳。毎年、毎年、この作られたお箸はいったい何処に行くのだろう?