ネタバレ
著者名 :横山秀夫
書籍名 :半落ち
出版社 :講談社文庫
発刊日 :2006年2月 第7刷(2005年2月1刷) 単行本は2002年9月刊
価 格 :590円プラス税 p357
ジャンル:小説・ミステリーサスペンス
読了日 :2019年1月23日。
あらすじ:現職刑事だった梶が起こした妻(アルツハイマー)の殺害から自首の事件をそれぞれの立場で描く。殺害から自首までの空白の2日間に焦点が当たるもそこのみ梶は口を閉ざす(完全に自供をしないことを半落ちという)。なぜなのか。2日間の間に歌舞伎町で目撃の話も持ち上がり、警察は。。。。個人の想いと組織の思惑がせめぎあう。
構 成 :
志木和正の章(補足:梶の取調官を担当。捜査一課の強行犯指導官で刑事頭)
佐瀬銛男の章(補足:検事)
中尾洋平の章(補足:記者)
植村学の章(補足:梶の亡くなった妻の姉から依頼を受けた弁護士)
藤林圭吾の章(裁判官)→藤林の父親も元裁判官でアルツハイマーになった。自分の妻が介護をしていた。藤林は、最後まで面倒を見切った妻を知っているだけに、梶の愛する奥さんをその手にかけたことが許せなかったが、なんと妻から父親の世話をしていた際、通常に戻った際、自分を失うのが恐ろしいという父親から殺してくれと頼まれた事実を藤林に告げる。妻は自分は殺せなかったが、自分で死んでくれないかと思ったことがあったという。驚く藤林。藤林の妻は、梶について、きっとこの人は優しいのだという。
古賀誠司の章(補足:あと1年で定年の刑務官)
感 想:藤林自身の父親と梶に対する思いと、自分の妻とのやり取りで、人間の内部の複雑な感情の動きが描写されるがここにこの作家とこの小説・人文学の冥利を感じた。素晴らしい!。AIやコンピュータでは読み取れない人間の奥深さだ。まとめの形でさらに最後に梶の2日間の理由が明らかになる。