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経済政策の流れ ケインズ以後

2006-07-05 00:05:53 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

ケインズ理論の考え方

 政府が財政政策によって、経済安定化のために景気を調整するというのが基本的な考え方。

 総需要が不足し、失業者が増加している状態ならば政府がその不足分を財政支出によって補うことができるとする。公共事業によって例えば、社会資本(インフラ・・・道路、空港、港湾、ダム、発電所など)の開発・整備を行うと、外部経済効果により、投資加速が増加する。同時に、有効需要(雇用)が創出され、非自発的失業者(能力・やる気はあるが職がない人)は減少する。その結果、個人・企業の消費・投資意欲は回復し、乗数効果によって、国民所得の増加に伴い、税収も増え、財政収支は均衡点に戻る。

 反対に、景気が過熱状態(インフレ懸念)のときは歳出を減らし、公共事業の執行を延期するなどして、総需要を抑えればよい、というのがケインズ理論である。

 1930年代、ニューヨーク発の投機による株式市場の大暴落で、世界同時大不況時に、アメリカ大統領フランクリン・ローズベルトによってTVA(テネシー・バレー・オーソリティ)テネシー渓谷開発公社という大規模な公共事業が行われ、ケインズ理論は実践される。その後、各国が採用する政策手段となる。それまで、新古典派・市場原理主義が主流派だったにもかかわらず。

 しかし、1970年代、世界各国がオイルショックによりスタグフレーション(不況+インフレ)という最悪な経済状況に陥るとケインズ政策(フィシカル・ポリシー)では解決しきれず、代わりに再び「政府は経済には介入するな」と主張するマネタリストが台頭し、財政政策に代わって金融政策(金利+マネーサプライ)による経済安定化の有効性が注目を集めるようになる。

 ところが、さらに現在のように資金や企業(対外直接投資)、労働力や情報、資源がグローバル化(WTO加盟国拡大、FTA・EPA)によって世界中を流動化する超がつくほど複雑な状態になると、マクロ経済政策は有効性を持たなくなったしまい、経済問題の解決策というよりは、現象の説明を試みる道具に過ぎない状態となっている。そしてまた政治家が顔を出し始める。

 例えば、金利を上げても下げても、資金は証券投資の形で海外に流出してしまうことを考慮しなければならない。結果、何をしても意味をなさないという場合もあろう。

 企業は、輸出入するよりも更なる利益を求めて、関税や非関税障壁をかいくぐるために直接投資(進出国のルールに従い現地化する)によって国内企業と同じルールで進出国国内で競争し、その国で雇用を創出し、賃金を払い、財・サービスを提供し、税金を納めるのである。そして、その製品は母国に輸出される場合も多い。それは、その母国のグループ企業にも関らず、その母国の貿易収支を悪化させることにもなり、その母国の政治家は自国の産業を保護するために自国の企業が生産した商品に関税や非関税障壁をかけるという手段に走る。政治家は選挙で組織票を手に入れるために海外にわたった企業より自国の企業を守る(自分の利益になる)目的でそのような行為を行うのである。

マクロ経済は超複雑である。


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