思えば、自分が中田選手の活躍を目にしてから相当の月日が流れました。とうとうこの日が来てしまった。自分が彼のプレーに最初に驚きを感じたのは、TBSのスーパーサッカーでベルマーレ平塚に在籍してい時、同チームの元日本代表の野口選手にスルーパスを通したときの映像を観たときでした。確か柏レイソルでプレーしていた元ブルガリア代表でワールドカップ得点王にもなったストイチコフ選手が「これは本物のスルーパスだ」と絶賛していました。
実際に日本代表対韓国戦を国立競技場で観た時も、中田選手のパスだけ何故か弾道の音が聞こえ驚きの喚声が上がっていたことを覚えています。
実は、本というものを最初に読んで、面白いと感じたのも小松成美 氏著『中田英寿 鼓動』でした。これを読んだとき、プロとして結果を出し、自分に正直で(我がままではない)、こんなにまともな人は存在しないのではないかと思ったほどでした。スポーツグラフィックナンバーに掲載された山田一仁氏が撮影した、98年ワールドカップフランス大会の世界選抜戦でキャプテンマークを腕に付けた写真は今でも部屋に飾っています。98年のワールドカップクロアチア戦で相手のボールを奪ってから、中山選手に出したクロスボールは今でも忘れらないインパクトを持ったプレーでした。
自分が何かを得たいのなら、まず誰よりも意識を高く持ち努力する必要があると教えてくれたのは中田選手でした。
中田英寿編集長の『アッカ』を買い、語録を読み、中田ドットネットを読みました。それにしてもこの人から受けた影響は計り知れない。
引退の仕方も中田選手自身でけりをつけて、出した決断ですから、どんな分野に進もうと活躍を祈るのみです。