最近キジの鳴き声がよく聞こえます。
キジはケーンと鳴くなどとよく言われるのですが、
どうも私にはケーンとは聞こえません。
犬の鳴き声も外国人にはワンワンとは聞こえないようですが、
それと一緒のことでしょう。
読者の皆さんはキジを見たことがありますか?
街にお住いの方は多分キジの存在さえ知らない人が多いのではないでしょうか。
確か桃太郎の家来に猿と犬と共にいたのがキジであったはずです。
桃太郎は最近どこかのコマーシャルで有名になっているみたいね。
でも家来に関してはどこまで知られているのでしょう。
キジは日本の国のどこにでもいた美しい大型の野鳥です。
孔雀、とまではいきませんがなかなかの美しい羽を持っています。
うちにはキジの剥製がありますが、
これね、ある年キジが寝室の窓から飛び込んできて
布団の上に横たわっていました。
その周りにはガラスが飛び散り、キジは永遠の眠りについていたのでした。
どうやら透明な窓ガラスが認識できず一直線に飛んだ先の
冷たいガラスに体当たりしたと思われます。
キジの大きさは鶏くらいかもしれませんが、
オスの持つ長い尾羽が特徴的です。
そんな鳥が体当たりされガラスは見事に割れて室内に散らばりました。
そして布団の上にはキジの死骸が・・・・
キジの死骸を箱に安置するとその美しい姿から目が離せません。
人間の死骸をこうもまじまじとみることができるだろうかと首を傾げますが、
キジは綺麗でした。
その姿を見て友人が
剥製にしてとって置きたいくらいだね、
と言いました。
それを聞いて、とっさに頭に浮かんだのが時々買い物に行く街のあの角っこの信号の手前にあった
剥製屋のことでした。
それなら私は剥製屋を知っているし、いくらくらいするものなのか、
聞いてみよう、ということになりました。
そういう時に剥製屋を知っている私も考えてみるとなかなかです。
しかしそれは私が博識だからとういうことではありません。
その頃街へ行く時に時々利用していた道の途上にその店があったのです。
信号の手前なので止まっている時などに目をやって、
剥製屋か、などと思いながら眺めていました。
たまたま偶然が重なったのでしょう。
問い合わせてみると
思ったほど高い値段ではなく、
そのくらいならカンパすると、
友人が言ってくれたのでお言葉に甘えました。
剥製屋の主人は、この仕事は好きじゃないけれど親がやっていたので仕方なく
跡を継いでいると話していました。
店にはタヌキの剥製とか置いてありましたが、
どう見ても古めかしく店自体が昔の感じでした。
今時動物の剥製を作って飾る人はあまりいないでしょう。
剥製代は一万三千円ほどだったと思います。
けれども今はもう商売をやめているようです。
だからキジが飛び込んだのがあの時じゃなければ、
キジの剥製を作ることもなかったってことです。
タイミングって本当に不思議ですね。
剥製代を支払ってくれた友は
キジは喜事ともかけるから
良いことが舞い込むかもしれないと言ってくれました。
その後嬉しい事があるたびにキジのおかげかなと、
思ったものです。