結局、私は他の文字がどうしても読めなかった。なので無理して読むことにした。
そのためには方法論的に他のアプローチをするほかない。
それはこの人形を調べることから始めるほかない。
美術史を学んだ人たちに言うなら、この人形の図像上の意味を探りなさいということである。
着物の女性が持っているのは明らかに杵であり、私が読めなかった文字が書いてあるのは明らかに臼だ。そして女性は鈴を持っている。鈴を持っている人形の例は数多くあろうが、着物姿で、杵と鈴を持っている女性の図像は、そう多くないだろう。
そのような予想を立てて、この人形の着物の女性が、何を表現しているのか、この女性がどこの誰なのか、そうしたことを探ってみればよい。
今や図像検索が容易になった時代だ。
この方法を使ってこの女性がどこの誰なのか、なぜ杵や鈴を持っているのかを、先ずは探ってみてはどうだろう。