宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

さそり南中

2015年07月21日 00時13分40秒 | 

今日みかんの丘に上がったのにはもう一つ理由が有った。来週末の25日、山あいの公民館で天文教室をしなくてはならない。そこで使う観望用のシステムを持って帰らなければならなかったのだ。赤道儀は普段太陽撮影用に使っているミザールのEX。望遠鏡は僕が黒姫と呼んでいる28センチのシュミットカセグレン。それに10センチの双眼鏡セット。これだけの機材を観測デッキから下に降ろしてデッキに戻ると、ちょうどさそり座が真南に来ていた。星仲間の用語では真南に天体が来ることを「南中」と呼ぶ。そう、現在さそり座南中。
さそりのハサミの前には最接近を過ぎた土星が居る。まるで農耕神を襲おうと、さそりが天の川から飛び出しているようだ。たださそりにとって残念な事に、この神様は西隣のてんびん座に居て、まるでサソリをあざ笑うようにハサミの直前をゆっくりと回っている。

以前さざ波に揺れる泥だらけの土星を撮影したことを思い出してリベンジを試みることにした。金星の撮影では四苦八苦したが、そのおかげで撮影の方法をかなり思い出している。8センチを南に向け直してファインダーに土星を入れた。ところがなんとなく望遠鏡が指示通りに動かない。望遠鏡と赤道儀を繋ぐプレートが緩んでいるのだ。全く。何の準備もせずにいきなり撮影に入ったためにこの始末。それでも騙しながら10枚ばかり撮影して、そのうちの5枚を重ねたのがこの画像だ。

そう。黄砂の影響はすっかり無くなっている。もう少しピントが良くなるはずだが、フォーカスを合わせようとして望遠鏡に触るとガタッと筒が動いて星がどこかに行ってしまう。準備不足による敗北。このところ星の撮影は負けが込んでいる。

ところで、開けっ放しになっていた東の掃出し窓の網戸にニイニイゼミがとまっていた。昔は夏になるとこのセミが一番に鳴きだしていた。今はクマゼミが一番手だ。温暖化で天気がおかしくなっているように、生き物の生態にも変化が出ている。

この連休は3日あるが、おそらくあと2日は来られないだろう。家にも色々と用事が有るし、天文教室の準備もしなくてはならない。仕事を辞めればもっとここに来られるのに、とふと思った。

 

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三神そろい踏み

2015年07月20日 00時01分53秒 | 

天気予報は晴れを予測していなかった。実際の空も朝から雲の比率が多かった。だから今日は星を撮る気などさらさら無く、丘に向かう車には修理を終えた小さいほうのカメラをテスト用に載せているだけだった。なのに、草刈りの後大工仕事をしようと準備を進めながら、ふと窓の向こうの西の空を見ると細い月が掛かっている。雲も少なくなっていた。
あれ、今日は撮れるのかな。カメラを持ってデッキに上がる。なんだこれは。どこを触ってもペタペタしている。隙間から海水交じりの雨水が吹き込んだのだ。やれやれ、かつてのデッキは見る影もない。ちゃんと掃除しなくては。

そう思いながら水を含んでずっしりと重くなった屋根の妻を開くと、西の空には月だけでなく明るい星が二つ輝いていた。明るいほうが最大光期を迎えた金星。暗いほうが遠ざかりゆく木星だ。そう、美の女神ビーナスと大神ゼウス、それに月神アルテミスのそろい踏み。美しい光景だ。
え、撮れそうじゃないか。でも何も準備していない。カメラは一つ。そしてレリーズも持って来ていない。仕方無い。セルフタイマーを使おう。そう思いながらとりあえず三脚を出して西の空の3人の神様を捉えた。

次に何を撮ろう。先に沈む月かな、えっと、使える望遠鏡は今8センチしか無い。あわてて屈折望遠鏡に付いていたウェブカメラを外してアダプターと取り換え、小さいほうのカメラCANON EOSkissX4を取り付ける。そうして撮ったのが一番上の写真だ。月齢は2.4。以前「細月」と名付けた時の月、月齢1.5には及ばないがなかなか美しい。

さて次はやっぱり金星かな、高度が下がると大気のメラメラでまた撮れなくなる。そう思いながらファインダーに金星を入れてカメラのモニターを覗いた。そして…

あれ、惑星はどんなふうに撮るんだっけ。長い間撮影をしていない。細かな作業をすっかり忘れていた。どこがジャストフォーカスかもつかめないながら、グニャグニャ揺らめく美の女神を十数枚撮影して重ね合わせたのがこれ

だめだ、大気プリズムの補正すら忘れている。そう、もうずいぶん前から天文ファンではなくなっている。被写体の導入方法も、一眼レフのモニター画面の使い方も、すっかりどこかに置いてきていた。悪戦苦闘しながら無駄な時を過ごすうちに、月は山陰に隠れようとしていた。これはまずい。拡大投影法で接眼鏡の前に取り付けていたカメラをいったん外してTリングと呼ばれるカメラのアダプターを接眼鏡と取り換え、改めて直焦点法で月を狙う。

ああ、もう少し早く気付けば。臍を噛みながらシャッターを切った。ああ、カメラが二つあれば一つは三脚の上に載せたままで風景を撮り、もう一つのカメラを望遠鏡に繋げる事が出来るのに。

 

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揺らめく農耕神

2015年05月08日 00時26分19秒 | 

そう、分かっていた。今夜の星はやたら瞬いている。丘の周囲はほとんど風が無いが、上空の気流はずいぶん悪いのだろう。昇ったばかりの土星はその影響をもろに受けるはずだ。案の定、カメラのファインダーの中の土星は、形がよく判らないほど揺らめいていた。どうしよう、高度が上がるまで待とうか。しかしこのシーズンの惑星の軌道はそれほど高くならない。それに、昼間の大工仕事でかなり疲れていた。

そうだ、このゆらゆらを写してみよう。8センチ屈折に5ミリの接眼レンズを繋ぎ、カメラ感度3200、露出5分の1秒で立て続けに撮ってみた。それを繋いだのが上のGIF動画だ。普通は気流が収まるのを待って、何十枚も撮影した画像の中から綺麗なものを何枚も重ね合わせて1枚の画像を作る。今回はありのまま。しかも黄砂まみれの赤茶色だ。これもリアルで良いかな。

高度を増した月が、身にまとったベールとともに海を照らす。時刻は午後9時をかなり回っていた。もう帰ろう。こどもの日もあと少しで終わる。連休も明日を残すだけだ。

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揺らめく女神たち

2015年04月24日 00時46分35秒 | 

目標の高度が低いせいもあるがカメラのモニターの中のアルテミスはまるでさざ波と陽炎の向こうにいるようだった。フォーカスノブをどんなに微調整しても全体にピントの来る場所が無い。仕方なく適当なピント位置にしてカメラ感度400、露出125分の1で撮ってみる。周囲を山脈に丸く取り囲まれた危機の海が印象的だ。ただ、カメラのファインダーを通してぼんやり見える影の部分地球照が写らない。そこで露出を少しずつ増やして、カメラモニターで肉眼で見える程度の画像に持っていくと露出は0.6秒だった。明るい部分の適正露出の75倍にあたる。確かに地球照は写し取れたが、これでは日の当たった部分が真っ白に飛んでしまってクレーターの存在すら分からない。目では両方がはっきり見えるのに。毎回感じる人の裸眼の凄さだ。

さて、お隣の女神ビーナスはマイナス4等級以上だ。しかし今夜の金星は視直径が15.8秒。228分の1度しかない。口径200ミリ、焦点距離800ミリの望遠鏡の直焦点ではほとんど輝く点にしか写らなかった。口径8センチの屈折望遠鏡に5ミリアイピースの拡大法を使うことにした。

カメラのモニターに現れたビーナスは少し太った半月。美の女神には失礼だが面白くない形だった。クラゲのように暴れまわる星像に十数回シャッターを切り、そのうちからまずまずの画像4枚を選び出して重ね合わせたが、きちんと重なるものは一枚も無かった。見られたものではない。

気が付けば時刻は午後9時。久々の星空を夢中になって撮っていたが、思えば仕事場からそのままここにやってきて飲まず食わずだった。女神たちも西の山の端に沈もうとしている。薄雲が出たせいか、あれほど見えていた星も、今はあまり見えなくなっていた。

明日はもちろん仕事だし、そろそろ帰ろう。次のミッションは観測デッキの掃除ということになりそうだ。

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冬星座の中の二神

2015年04月23日 00時39分54秒 | 

昨日帰宅しようとしてなんとなく空を見ると、宵の明星の少し西に三日月が掛かっていた。あれ、明日はこの二つが横に並ぶんだ。仕事も山を越えたし、上がってみようかな。

というわけで平日ながらみかんの丘へ。昼間は空全体が霞んでいたが、仕事が終わって丘に駆け付ける頃には思ったよりたくさんの星が見えていた。これなら星雲の撮影もできるかもしれない。目を西に向けると、東に歩を進める月神アルテミスが、美の神ビーナスを少し追い抜いていた。
ランデブーと言うほど接近してはいないが、美を競う二神だけに黄昏の残る西の空でも際立っていた。この二人を取り囲むように、オリオン、おおいぬ、こいぬ、双子、ぎょしゃと、冬の星座が顔を並べている。

今夜の月齢は3.7。やや太めだが地球照も何とか見えた。なにしろ長い間入らなかった観測デッキ。うっすらと埃が積もり、海が近いだけになんとなくペタペタする。掃除してやらなければ。ゴールデンウィークは月が明るすぎて撮影出来ない分、頑張って掃除しようか。そう思いながら望遠鏡のカバーを外して20センチにカメラを取り付けた。

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そろそろフィナーレ

2015年01月15日 00時01分26秒 | 

午後7時過ぎに撮影を始めた星空だったが、ふと時計を見るとすでに10時が近づいていた。通過する千切れ雲を待っていたせいも有るが、もっとも大きな理由は望遠鏡のコントロールが途中で効かなくなったことだ。暗がりの中でコンピュータと赤道儀の間を行き来するうちに、お互いをつないでいるUSBケーブルのハブの部分が激しく錆ている事が分かった。とりあえず抜き差しを繰り返し、錆を落として再起動。今度は動く。それだけではない。以前モニターの中で暴れていたガイド星も少し大人しくなっていた。おかげで星像が小さく、モニターに浮かび上がった画像が締まって見えた。

ガイド撮影を終えて見上げると、南の空が大きく晴れている。冬の天の川もはっきりと判った。明日から仕事だし、今夜はこれを撮って終わりかな。小さいほうのカメラに対角線魚眼を取り付けて三脚に載せる。カメラ感度1600、絞りは開放の2.8、露出30秒とした。街の明かりが空を染めるのは仕方が無い。撮影を終えて機材を片付け、屋根を閉めようと見ると、わずかの間に空は一面雲に覆われていた。久々の撮影を喜んでくれたような星たちのフィナーレ。さあ、帰って画像処理をしなくては。

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旅人は牡牛の足元に

2015年01月14日 00時11分04秒 | 

黄昏の明みが薄らぐとともに、雲が少しずつ広がり始めた。ただその雲は、破れた布団綿のようにあちこちに穴が開いている。そのほころびの間から牡牛が覗いていた。お目当てのラブジョイ彗星(C/2014 Q2)はこの牡牛座の足元あたりに居るはずだ。双眼鏡で確認すると、牡牛の頭、ヒアデス星団のVの字の先にぼんやりとした姿が見える。思ったより大きい。赤道儀に載せた大きいほうのカメラで撮ってみた。だめだ、まだ空が明るい。カメラを赤道儀に載せたまま一階の居間に降りて、丘に向かう道中に仕入れたホットレモンをすする。

午後8時過ぎ、そろそろかなと観測デッキに上がる。今度は空が大きく開けていた。冬の星座たちが美しい。もう一度双眼鏡で彗星を確認する。確かに大きいが、どうしても尾が確認できない。それならばいっそ20センチ反射で撮ってみよう。そう決めてカメラを雲台から下ろし、レンズを外して望遠鏡のドロチューブに繋いだ。ガイド星の導入に悪戦苦闘した後撮ったのがこれ。

カメラ感度2000、露出3分だ。尾は確かに有るのだが、数日前ネット上で見せてもらったような長いものではない。もっと露出を掛けると尾が長くなるかもしれないが、これでも元画像はかなり明るいのだ。限界かも知れない。そうこうするうちに西の方から雲がせまって来ていた。位置関係がはっきり分かる写真を撮っておかなければ。カメラをもう一度雲台に乗せ、レンズ焦点28mm露出4分で撮ったのがトップの画像だ。この時立て続けに3枚撮ったが、その間にもほうき星はこの写真で見て右上の方向に少しずつ動いて行った。

望遠鏡のドロチューブに取り付けている光害カットフィルターが劣化したのか、周辺部の色が変わってしまいました。何とか修正してみました。全体に青っぽくなっていますがご容赦を。上の星野写真で見てみると、尾はどうやら望遠鏡の視野の外に伸びているようです。 

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靄のグラデーション

2014年10月21日 00時05分12秒 | 

雲の塊がいくつも丘の上を過ぎてゆく。その度ごとに靄は濃くなっていった。それでもと竹取庵の屋根を開ける。頭の上にはかろうじて星が見えるが、西に行くほど靄が厚く、まるでグラデーションだ。こんな空で撮れるかな。淡い星雲は無理だろう。アンドロメダ座のM31でも狙ってみよう。20センチ反射も考えたが、迫りくる雲と靄の合間を縫っての撮影だ。あれこれ調整している時間が無い。月食を撮った後そのままにしていた8センチ屈折に、大きいほうのカメラを取り付けて東の空を狙う。ファインダーを覗いたが、コントラストが悪くてよく判らない。感度を6400にアップして試し撮りをしてみた。露出18秒だ。

カメラのモニターに現れた星雲の中心が視野の中心から少し外れている。位置を修正して本撮影だ。感度を2000に落として赤道儀の準備を終え、再度ファインダーを覗いたが灰色の空しか見えない。見上げると望遠鏡の筒先あたりに幅の広い帯状の雲が横たわっていた。この雲の通過を待つうちに西から新しい雲が押し寄せてくる。とうとう空一面べた曇りになってしまった。だめだ、帰ろう。それでも少しは楽しめた。また今度。今度こそ良い空を。

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大星雲とツーショット

2014年10月12日 00時10分56秒 | 

赤い月を堪能しているうちに皆既月食は終わり、月は地球の影の左側から外に出始めた。明るさが増してゆく。そうだ、空が完全に明るくなる前にアンドロメダ星雲とのツーショットを撮っておこう。

大きいカメラを望遠鏡から外してズームレンズを取り付け、赤道儀に載せる。あの辺りかな、肉眼ではもうほとんど分からなくなったが、アンドロメダ座の星を辿って星雲のある辺りに目星を付けた。焦点距離28ミリ、カメラ感度800、絞り3.5、露出50秒。撮影後、カメラを外してモニターを見ると、何とか両方がフレームに入っている。まずまずの成功。空のコンディションから見てこれ以上は無理だろう。残りの星空を見渡して思う。今夜はもう撮れるものは無いかな。

地平線の雲がかなり厚くなってきた。時刻は午後9時前。そろそろしまおうか。無理やり休んだ平日。明日はもちろん仕事だ。今夜も堪能できた。ありがとう星たち。次は澄み切った夜空を期待しています。

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埋もれてゆく天の川

2014年09月30日 00時13分31秒 | 

西から迫る雲は次第に厚みを増していった。ははは、やっぱり僕はくじ運が悪い。今日狙うはずだったおおぐま座の天体は厚い雲の向こうに隠れてしまっている。僅かな期待を持ちながら西の彼方を眺めたが、そこに写真の撮れる晴れの領域は有りそうになかった。まあいいか。たとえ星が撮れなくても、観測デッキで星空を見上げる事が出来た。満タンとはいかないが、心がチャージされてゆくのが感じられる。

頭の上を夏の名残りの天の川が流れていた。羽を広げるおおとり。ここに今日の次のターゲットが有ったが、無理だろう。でもいい。出会えたのだから。 そうだ、せっかく赤道儀に火を入れているのだし、今夜はこの鳥を撮って終わりにしよう。魚眼を付けた小さいほうのカメラをピギーバックの雲台から外し、8センチにつけていた大きいほうのカメラと取り換えた。カメラ感度を1600に設定。焦点距離28ミリ、絞り解放の5.6。雲が本当にすぐそこに来ている。ファインダーを覗いてフレームを決める暇が無い。あてずっぽうで筒先を夏の大三角に向けてシャッターを開いた。

視野の端を小さな人工衛星が渡ってゆく。雲はもうそこまで来ていた。露出85秒。それが限界。短い露出だが天の川と白鳥が分かるだろうか。大三角のうち、織り姫星はあと少しで外れてしまった。次のショットを撮る間もなく雲が流れて、天の川は埋もれていった。

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全天星野を試してみたけれど

2014年07月27日 00時08分03秒 | 

天の川に掛かる雲が消えるのを待つうちに、とうとう10時半が近くなってきた。そろそろ次の目論見に掛からなければ今日中に帰れない。赤道儀から大きいカメラを降ろして小さいほうのカメラを取り付け、そのカメラレンズの上に、以前畑の中で試した魚眼アタッチメントを直載せした。レンズを垂直に立てるのに今夜参戦した雲台が重宝だ。
前回はアタッチメントのレンズとカメラレンズが直に触れてグラグラしたため、アタッチメントのほうにリングを入れてある。少しでも結像を良くするためにレンズの絞りを3段絞る事に決めていた。その分露出を増やす。だから赤道儀に載せる必要が有るのだ。と自分に言い聞かせて撮影に入った。カメラレンズは3段絞ってFが9、カメラ感度は1600、そして露出を2分としてみた。

結果はNG。星も天の川もほとんど写っていなかった。そこで露出を思い切って倍の4分、いや4分半に伸ばす。それが上の写真だ。それでも全体にノイズが目立ってしまった。まだまだ露出が足らないことが分かる。しかし、ここまで試したところでタイムアウト。帰らなければ。
梅雨が明けたのだから、これからはきっとチャンスが何度も有るだろう。

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梅雨明け

2014年07月26日 11時01分00秒 | 

前回ブログを更新した翌日、気象台はこの地方の梅雨明けを発表した。しかしその後も大気が不安定で、本当に梅雨が明けたと感じさせたのは昨日が初めてだった。昼の空は一面に雲が有ったが、その雲は夜に気温が下がると消える種類のものだ。今夜は撮るぞ。そう決めて頭の中で思いを巡らせながら仕事を片付けていく。ただ、帰宅する頃には疲れ切り、バッテリーをチャージしながら寝てしまった。

8時半ごろ目を醒まして車に乗る。みかんの丘への道中考えた。あまり時間が無い。一番の目的はフルサイズ用のワイドレンズのテストだ。撮るのは天の川だけにしよう。

到着して竹取庵の屋根を開けたが、まだ雲が多い。望遠鏡の上に新しく仕入れた中古の雲台を載せ、それに大きいほうのカメラを取り付けた。この方法をピギーバックと言う。望遠鏡を豚に見立て、その背中に載せるからというのでこの名が付いたのだろうか。

まだらに散らばった雲は西から東に流れていたが、午後9時半を回った頃から次第に消えていった。たださそり座辺りの雲だけは薄くなりながらもそこを動かない。諦めて撮影に取り掛かる。この雲台の良い所はカメラを縦に出来る点だ。ただ、縦にして気が付いた。ファインダーが覗けない。見口が下過ぎるのだ。改良の余地有り。何度も試し撮りしながらアングルを決めて、本撮影に掛かる。絞り5.6、カメラ感度2500、露出3分。そのうちの1枚が上の写真だ。全体に薄いベールが掛かっているのは諦めよう。でも、今年初めて見るちゃんとした天の川だった。やっと逢えたね。カメラが露出している間、そう思いながら僕らが住むこの銀河を見上げていた。

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不思議の星

2014年05月19日 21時16分53秒 | 

ガリレオが口径30ミリの自作望遠鏡で初めて見た土星は、自慢の輪をちょうど今のように地球に向けていた。解像力の無い望遠鏡で見えたのは、土星本体と、その両側に寄り添うような二つの玉。ガリレオにはその姿が理解できす、玉を「耳」と表現した。それから400年。探査機の活躍などでその耳は氷の粒の円盤であることが分かり、しかも輪の中のいくつもの隙間やスポークと呼ばれる模様も明らかになった。

とは言うものの竹取庵から撮影する限り、惑星の見え方はガリレオの時代とそれほど変わっていないように思える。僕が今使っているのは口径8センチの屈折望遠鏡。確かに撮影された輪が耳には見えないが、探査機カッシーニが捉えた画像の様な鮮明さには程遠い。口径45センチのかぐや姫を使って肉眼で見れば、輪の隙間もいくつも見えるし本体の模様ももう少しくっきりするが、今のかぐや姫で惑星を撮影することは叶わない。撮影可能なのは8センチ屈折だけ。靄の隙間から覗いた姿を11枚重ね合わせて頑張ってみたが、これが限度かな。

土星の撮影の前に望遠鏡を沈みゆく木星に向けてみた。高度が低いうえに靄が厚い。縞を写し取るのが精いっぱいだった。こちらもこれが限度。

二つの巨大惑星を不思議と言うならば、僕らの地球も外から見るとずいぶん不思議に見えるはずだ。刻々と変わる白い模様。惑星表面にうごめく無数の生物。さらに近くを回る分不相応の巨大な衛星。太陽系を旅するなら、この地球ほど不思議を抱えた惑星はほかに無いかも知れない。

 

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もやもやの星空

2014年05月18日 23時34分14秒 | 

今日は仕事だった。でも早めに済んで外に出ると青空が広がっている。明日は夕方から雲が出るというから今夜なら星が撮れるかもしれない。そう気付くと居ても立ってもいられなくなって、家に帰るとかねてから用意していたカメラバッグを持って丘に向かった。
到着したのは午後5時半。まだ明るい。野良仕事をしていたおばさんとしばらく立ち話をしたあと大工仕事をしながら日暮れを待った。ところがあれほど晴れていた空が西から曇ってゆく。え、どういう事だ?話が違う。大きな雲の塊は1時間足らずで抜けてくれたが、後に空いっぱいのもやもやを残していった。どうしよう。それでもと竹取庵の屋根を開ける。うす雲の向こうに三つの惑星がくすんだ光を放っていた。撮れるだろうか。でも、せっかくその気になったのだから。そう思いながら準備に取り掛かる。

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ベールの向こうのランデブー

2014年05月12日 12時34分20秒 | 

大工仕事をしている最中、空の青みは薄くなったり濃くなったりを繰り返していた。そして迎えた日暮れ。これほど雲が濃いとさすがに惑星の表面は狙えない。海の上には月齢12の月が掛かっていた。その月の神アルテミスをエスコートするように、左後ろに控えているのは軍神マルスだ。そう言えばこの戦の神はついこの前まで、月の下に見えるおとめ座のα星スピカの隣りに居た。なんとも移り気な神様だが、それも「惑星」と言う名の由来の一つなのかも知れない。

二人の表情は雲に阻まれて良く分からない。しかし、ベールの向こうの密会は何かしら怪しい雰囲気が漂う。月の神アルテミスは見ている間にもどんどん東に移動して、家に帰った時には軍神を通り過ぎていた。火星は今地球への最接近を終えて、一日およそ67万6000キロという猛スピードで遠ざかっている。次に近づくのは2年先だ。

ところで、今日の大工仕事は東側の軒を支える桁受けの取り付けと防腐剤の塗布。空を撮る頃には体中がクレオソート臭かった。カメラに影響がなければいいのだが。次の休みまでには窓サッシが一つ届く予定だ。

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