宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

かぐや姫を月へ

2013年06月18日 00時21分36秒 | 

竹取庵の観測デッキは屋根が完全に北にスライドする。デッキには3つの望遠鏡が設置されていて、一番南が赤道儀に載った20センチ反射。その北側が10センチ屈折の太陽専用。そして北の端には竹取庵の主人45センチかぐや姫が鎮座している。今夜はこのかぐや姫を使うため屋根をいっぱいに開く必要があった。

雑巾で汚れは拭き取ったものの光軸は直していない。どこまで撮れるか分からないが、そこまで整備する時間は無かった。暮れなずむ空ではお月様がまだかまだかと急かしていた。

上弦の月と呼ぶには少し早かったが、このあたりの月齢の月が一番面白い。そうだ。今夜はアイピースを使った拡大法で月面を撮ってみよう。かぐや姫での拡大撮影は本当に久々だ。

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苦労の末の一枚

2012年08月29日 00時03分55秒 | 

夏場の月は高度が低い。身長2.5メートルと背の高いかぐや姫だが、高い脚立や机の上に上がることもなく、撮影作業そのものはむしろ楽だった。しかし何しろ風が強い。暴れるかぐや姫の筒先を抑えながら、ちゃんと固定されていないカメラを顔に押し付けて、めったやたらにシャッターを切ってゆく。しかし、モニターの上に表示される画像は、どれもどこかがボケていた。ああ、直焦点くらいにしておけば良かった。やっぱりアイピースを替えようかなと思ったとき、月面を黒いもやが通り過ぎた。見れば空をかなりの量の雲が覆っている。時計を見ると10時半。1時間以上もかぐや姫のトップリングにかじりついていた事になる。もうそろそろ終わろう。

持って帰って処理しようと開いたパソコン画面。やっぱりだめだ。画像の中がまだらにボケていた。仕方無く何とか使える3枚を切り貼りして1枚作ってみた。ひとに見せられた物では無いが、それでも久々の姫様とのデートの証拠写真になる。
ひときわ大きなクレーターをクラヴィウスという。一つの穴の中にいくつも穴が開いているクレーターだ。月の南極は穴ぼこだらけ。それもこの星の不思議の一つ。

 

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欲張りすぎた

2012年08月28日 00時40分03秒 | 

台風15号の影響で、丘にはかなりの強風が吹いていた。カメラを持って観測デッキに上がり、モーターのスイッチを入れる。屋根が動いて空が広がるごとにデッキの中のものが次々に舞い上がった。ロック機構の無いかぐや姫は、ひもで固定していなくてはふらふら揺れて壊れてしまう。
修理の為に家に持って帰っていた拡大用アダプターを取り付け、中にアイピースを入れようとして困った。はて、何ミリを使うんだっけ。たまたま手にした10.5ミリ。これは長くてアダプターに入りきらない。望遠鏡のアイピースは焦点距離が短いほど倍率が高い。しかし、その分荒も拡大されるのだ。でもせっかく手に取ったんだし、大きく撮れるに越した事は無い。ちょっと欲張ってむりやり差し込んだ。

カメラのファインダーをのぞくと案の定コペルニクスが明暗の境目にいた。ただ、月の高度が低いのと風が強いのとで月面がゆらゆら揺れる。おまけに同じ視野の中でピントの合っているところとそうでないところがある。カメラの光軸とアイピースの光軸がずれているらしい。やはり手持ちは無理か。

撮影しているうちに手順を思い出したが、いまさらアイピースを交換するのも面倒くさい。そのまま撮影を続行。しかしやっぱり欲張りすぎは良くない。焦点距離21ミリのアイピースにしておけば良かった。ピントがまだらのコペルニクス。ぼけているが右側に見えるクレーターがエラトステネスだ。

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スーパームーンのお出まし

2012年05月08日 00時37分52秒 | 

ベールをかぶった空はそのまま夕暮れとなり、やがて月の出を迎えた。今日は十五夜。しかも、事も有ろうにスーパームーンだ。地球は太陽を中心にほぼ真円の軌道を描いて回っている。しかし月の軌道はかなり楕円。だから地球から見て月は遠い時と近い時がある。その近い時の満月をスーパームーンと言うのだそうだ。
確かに今夜の月はでかい。月と地球の平均距離は38万4400キロメートル。なのに今は35万7000キロしか無い。このためいつもより当然明るい。まったくいい迷惑だ。その明るい照明がベールに反射して空一面が薄茶色くもわもわとしているではないか。星なんかほとんど見えないのだ。

 

1時間半ほど待ってみた。その間に土星は高度を上げてくる。真上に近ければベールも薄くなるかも知れない。今の時期、月の通り道は低い。スーパームーンは薄茶色のベールを横切りながら斜めに昇ってゆく。この写真の上のほう。少し左側に見えるのが土星だ。これならいけるかもしれない。8センチ屈折にカメラを繋いでみた。

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夜桜

2012年04月11日 00時07分29秒 | 

金星とプレイアデスの会合を撮って振り向くと、東の空の雲間に月が昇っていた。十五夜が日没とともに昇って来るのに対して、月齢16の月は1時間余り遅れて昇る。その様を見て昔の人は、月がいざよいながら(ためらいながら)昇るのだと解釈した。  

だから十六夜=いざよい。

良い言葉だと思う。どこからそんなセンスが産み出されるのだろうか。生まれて此の方空など見上げた事の無い現代人に爪の垢を煎じて飲ませたい。古代人のほうが明らかに文化レベルが高いではないか。
そうだ、夜桜。このチャンスを逃す手はない。枝垂れ桜越しに十六夜を撮るんだ。そう思ってカメラと三脚を持って外に出たが… 崖っぷちに植えてある桜と月の位置関係で三脚を立てる事が出来ない。やむなく崖に身を乗り出して手持ちで写す。

焦点距離55mm、カメラ感度800、露出50分の1、絞り32、内蔵フラッシュ強制発光。もう少し月を大きく撮りたかったが、持っていたレンズではこれが限界だった。もちろん画像処理はしていません。ふふふ、いい出来だ。カメラのモニターを見ながらひとり悦に入る。観測デッキに戻ったものの、明るくなった「照明」にほとんどの星が埋もれてしまっている。撮影はあきらめて丘を後にした。

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正満月

2011年12月14日 00時44分36秒 | 

星々の間をゆっくりと移動しながら欠けていった月は、また時間をかけて輝きを増してゆく。そして午前1時20分ごろには地球の影の濃い部分を完全に抜け、さらに午前2時を過ぎると地球の半影と呼ばれる薄い影の部分とも別れを告げた。

中天に掛かる月が、今辺りを照らす。前にも書いたが、満月とは太陽と地球と月が一直線に並んだ時に地球から見た月の様子を言う。しかしほとんどの場合、地球の公転面と月の公転面とのずれなどでこの3つの星がなかなか一直線にはならない。だから望遠鏡で見ると、十五夜と言えども月はどこかが欠けているのだ。

 

しかし今は正真正銘の一直線。欠けた所がどこにも無い。まさに『正満月』だ。

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不思議の国の月夜

2011年12月13日 00時03分58秒 | 

月が欠けてゆくごとに星の数は増えていった。それは月から離れた地平線辺りから順に。皆既月食が始まる頃には一面の星空だ。暗い星までが見える。その中を赤銅色の月がゆっくりと東に動いてゆく。まるでCGで創られた御伽の国の月夜だった。
南の空にオリオンやおおいぬなど冬の星座が鮮やかだ。月は今雄牛の角の間に居た。妙な立体感がその風景を非現実なものにしている。

観測デッキの中でかぐや姫とズームカメラの載る赤道儀の間を行き来するのを止め、しばらく椅子に腰掛けて不思議の夜空に浸ることにした。

 

友人から次々にメールが届く。みんなこの空に感動しているのだ。生きていて良かった。こんな光景が見られるのだもの。と思うと同時に、母ちゃんをはじめ逝ってしまった人達に一目見せたかったという気持ちが込み上げて涙が少しこぼれた。

(星空はカメラ感度400露出25秒、月はカメラ感度2000 露出15 分の1秒で2枚の画像の精密合成です。)

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星空に浮かぶ巨大な10円玉

2011年12月12日 01時56分22秒 | 

寒い。とにかく寒い。竹取庵はスライディングルーフという、屋根がそっくり移動する形式の建物だ。完全に開いてしまうと観測デッキは吹き曝しとなる。欠け始めた月はほとんど真上だった。口径45センチF5.5というニュートン式の反射望遠鏡かぐや姫のカメラ位置はデッキの床から3メートル近く上になる。北風から身を守る術は無かった。観測デッキは土足では入れない。薄い靴下で上るアルミの脚立は、足の裏から容赦なく体温を奪ってゆく。凍える体で見上げる月は、初め左下から、やがて左上へと欠ける位置が移動していった。

 

自動追尾という便利な機能のない簡易経緯台のかぐや姫だ。月が真上になるほど扱いが難しくなる。脚立からテーブルへと足場を移しながら、望遠鏡の先端に取り付けたカメラのモニターで月を捜し、見つけてはフレームを合わせて撮影していった。
やがて…

午後11時5分。あれほど明るかった月は薄暗い赤銅色に身を染め、妙な立体感を持って空に浮かんでいた。月食は地球の影に月が入ってゆく現象だ。その地球には大気がある。太陽の光はこの大気によって青い色を奪われ、さらに大気の屈折で内側に曲げられて影の中まで赤い光が届く。だからそこに入ってゆく月は言わば夕焼け色に染まることになる。
巨大な赤い玉。望遠鏡や双眼鏡で眺めるとそうなるが、肉眼で見上げると、僕には星々の中に浮かぶ巨大な10円玉のように見える。ただ、その10円玉は、腕をいっぱいに伸ばして持った1円玉とほぼ同じ大きさだ。

不思議な光景。それは本当におとぎの国に出てくる夜空のようだった。

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欠け始めた月

2011年12月11日 05時08分26秒 | 

大きな雲がいくつも空を覆っていた。ああ、やっぱりそうか。今年はついていない。そう、今夜は皆既月食。それも欠け始めから食の終わりまでを完全に見ることのできる月食は11年ぶりだ。それだけに期待していたが、みかんの丘のポイント予報は今夜から朝方にかけて曇り。なんとなく気が乗らず、カメラを持って家を出たのは午後8時をかなり回っていた。
ところが丘に登ってみるとあれほどあった雲が消えている。あれ、見えるのかな。半信半疑で竹取庵の屋根を開ける。こんな風に撮ろうかあんな風に撮ろうか。迷っているうちに月の左下が翳ってきた。時計を見ると9時半を過ぎている。しまった、もっと早く家を出れば良かった。もう構図や技法を考えている余裕はない。とりあえず45センチかぐや姫に大きいほうのカメラを取り付けて撮影をスタート。

結局初めに考えていた目論見は潰えて、脚立に上って構えるカメラのモニターの中で、モノクロームの月がゆっくりと蝕まれていった。

 

                                     (カメラ感度200 露出時間400分の1秒)

hajimeta

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パッチワークの成果

2011年11月18日 00時49分40秒 | 
次の週末も雨だと言う。木星の撮影はお預けかな。仕方が無いので12日に撮影した月の写真4枚を貼り合わせる事にした。これまで主鏡の焦点にカメラを置いて撮影した画像を貼り合わせた事は有るが、拡大撮影した画像のパッチワークは初めてだ。撮影に使ったアイピースのレンズ収差が気になったが、合う所だけを繋げばいい。という訳で試してみた。それがこれ。それぞれの画像に処理を加えたうえでつなぎ合わせ、その後に再度画像調整したものだ。まあ、まずまずかな。ドロチューブの延長筒を手に入れればもう少し鮮明になると思うが、これが今のところかぐや姫による精一杯の月面だ。
画像の上からまん丸な形の「危機の海」。そして「波の海」「泡の海」と小さな黒い部分を数えて「豊かの海」に続く。この海の東端に見えるクレータは「ラングレヌス」で、さらに南に「フェンデリヌス」「ベタヴィウス」「フルネリウス」「フラウンホーファー」と並んでいる。こうして見ると月面も面白い。頑張って鮮明な映像を撮影し、そのうちうさぎ達のコロニーを暴いてやろう。楽しみだ。
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目論見はとりあえず成功かな

2011年11月15日 00時08分36秒 | 

脚立を下りて考えた。いったい何ミリ繰り出せれば良いのだろう。とりあえずアダプターをロックしている2インチスリーブを1センチ抜き出してみた。少しぐらつくが光軸のずれは画像をながめながら手で修正しよう。
そうこうしているうちにやや大きめの晴れ間がやってきた。煌々たる十七夜が全身を現わす。望遠鏡を月に向け、改めてピント出しを行った。木星と違って今度は明るくて大きい。20分ほどで大体のピント位置を掴んだが、欠けた所のほとんど無い今夜の月だ。クレーターが確認できるのは危機の海から豊かの海にかけての狭い領域しか無かった。続けて何枚か撮影。これはそのうちの1枚、ベタヴィウスのクレーター付近だ。機材が不完全だった事も有り、きっちりとピントを追い込めなかったが、まあ、思い立って始めた大型アイピースによる拡大撮影の実験はとりあえずは成功と言う事にしておこう。

それにしても、この実験の途中、月面がまるで焚火であぶった様にゆらゆらと揺らめく事が何度も有った。初めは上空の気流の乱れだと思ったが、やがてそれが自分の手から出る熱である事が分かった。かぐや姫はトラス構造だ。だから近くに熱源が有ると影響が避けられない。かと言って手持ちで撮影する方法では、自分と言う発熱体を遠ざける事は出来ないし、また新たな課題が見つかってしまった。

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仲秋の名月

2011年09月12日 21時04分18秒 | 

この写真だけは出来るだけ早くアップしなければ腐る。

という訳でさっき撮ったばかりの仲秋の名月だ。もちろん今日は平日なので撮影場所はみかんの丘では無い。自宅の庭だ。機材も中国製のタムロン300ミリ+小さいほうのカメラキャノンEOSX4。このレンズはピントがシビアでシャッターを切るごとにピントが狂う。まあ、月は真っ暗な空の中で煌々と輝いている。焦る事は無い。

というわけで時間をかけて撮った1枚。今日の仲秋の名月は6年振りの満月だ。きっとまん丸に違いない。と、思ったのだが、下のほうがほんの少し欠けている。まあ、これくらいなら満月のうちかな。今お団子も食べたし、今年はちょっとだけ秋の気分だ。

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幽月十三夜

2011年09月11日 00時22分23秒 | 

以前僕は昼間に高々と昇っている月を幽月と名付けた。午後4時、久々に竹取庵の屋根を開けた僕の前にその幽月が掛っている。今日は十三夜だ。


もう2ヵ月近くみかんの丘に上がっていなかった。その間に二つの台風が襲来し、丘のふもとにある海岸べりの集落も高潮の被害を受けた。心配していた竹取庵だが、1階は全く被害が無く、2階の観測デッキも木の葉が何枚か吹き込んだ程度だった。青空に期待してカメラを二つ持って上がった今日の午後。被写体は月では無い。そろそろ高度を上げ始めた木星だった。しかし…


幽月を撮影した頃から西の空に雲の厚い層が現れ始め、夕暮れ時には空の大部分を覆ってしまった。かろうじて月だけがくっきりと見える。この雲が夜半に消える事は知っていたが、明日は仕事だ、遅くまで居る事は出来ない。仕方がない、仕舞おう。屋根を閉じ始めた所で下のほうから声がした。おばさんの娘さんだ。何か持って来てくれたらしい。応対したついでに「月が見えますよ」と水を向けてみた。本当は半月の頃のほうが見映えがするが、まあ満月よりはましだろう。
娘さんは遠慮がちに観測デッキに上がると、僕が用意した8センチ屈折望遠鏡を覗いて予想通り声を上げた。あわてて携帯を取り出し、おばさんの家に居る家族を呼ぶ。その間に僕は、45センチのかぐや姫にアイピースを付けて拡大した月を呼び込んでいた。



急いでやってきたおばさんの家族が45センチをのぞきながら本物だ本物だと騒いでくれた。そう、本物です。テレビの画面でも写真でも、ほとんどの人が月の表面は見て知っている。しかし肉眼で直接見ることに大きな意味がある。それをこの人たちが僕に証明してくれた。


おばさんの親族たちと別れ、家に帰って用事を済ませた。ブログを書いている途中にふと思い立って外に出てみる。雲ひとつ無い空に煌々と輝く月。そしてその東には木星が煌いていた。今度撮るからね。そう約束して星空に別れを告げた。

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十五夜お月様が満月とは限らないのだ

2011年07月18日 00時09分14秒 | 

天体シミュレーターによると今日は十五夜だ。それも月の出の時刻に月齢15.1。つまり、正真正銘の十五夜なのだ。十五夜とは、新月から数えで勘定して15日目にあたる月を言う。だから普通はその時の月を満月だと思ってしまう。でも必ずしもそうではない。月の軌道が少し楕円なのと、僕らが普段使っているグレゴリオ暦と月を基準にした暦とのずれが有るからだ。
では今夜の月はどうなのだろうか。大工仕事の合間に東の窓を覗いていると、山の端からそろりそろりと十五夜の月が昇って来た。わくわくしながら観測デッキに上がり、まず月の出を撮影。続いて8センチ屈折にカメラを取り付けて期待の月に向けた。

 

 

えっ、欠けている。そう、満月とは太陽と地球と月が一直線になった時、地球から見て欠けた所のない状態の月を言う。とは言うものの、本当に一直線になったら月食が起こってしまう。普段はいつも少しずれているのだ。しかも新暦と旧暦とのずれで、必ずしも月齢15、十五夜が満月とは限らない。今夜は外れだった。

 

ところで、月の出の写真を撮影しようと焦ってカメラを構えた時、誤って腕をウインチのワイヤーに引っかけた。有ろう事かカメラがデッキの縁から約5メートル下の地面に落下。ガショッと鈍い音がしたのだ。恐る恐る拾ってみると、小さいほうのカメラ、キャノンEOSkissX4に取り付けていた純正レンズの、ズームリングのところが曲がって穴が開いていた。ああやってしまった。クソ!地球の自転が早いのが悪いんだ。それでもボディーは無傷のようだったので暗い気持ちで上の写真を撮って帰った。
家に帰って眠い目をこすり、ブログを一つアップした後でレンズのズームリングの外側を外してみた。直るかも知れない。割れたかけらを外し、曲がったプラスチックを補修してリングを回してみた。なんとかこのまま使えそうだ。それにしても馬鹿な事をした。




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月の大山脈アペニン

2011年07月12日 00時10分50秒 | 

半月に近い月を望遠鏡で眺めると一番に目に入って来るのが、月の中央より少し北あたりで大きな弧を描く地形だ。
アペニン山脈。総延長600キロに及ぶこの地形は、5,000メートル級の最高峰を持ち、北に続く「コーカサス」、「アルプス」の各山脈とともに雨の海の東側を丸く縁取っている。写真中央より少し左には底が平らでお盆のような美しい姿をした「アルキメデス」が有るが、このクレーターから南東に伸びる、海の中でも一段と薄暗い流れの行き着く先は「腐敗の沼」と呼ばれ、月面車を初めて月に持ち込んだアポロ15号の着陸地点だ。もちろん僕の望遠鏡で見えるべくもない。

さて、ここで一つ注意しておきたいのだが、僕が載せる月の写真は全体像の場合すべて、撮影時点に肉眼で見た上が写真の上になるようにしてある。またこの写真のように拡大した地形では北が上だ。

多くの天体写真は月の南極を上にしてあり、地球の地図とは上下反対になっている。しかし僕の写真はその慣習には沿っていない。この点についてある天文学者から指摘を受けた事があった。天体写真は天体望遠鏡で見た通りに上を南にするべきだというのだ。その時僕ははっきり拒否した。天体は東の空に姿を見せた時と西の山に沈む時とでは見た眼ほぼ180度回転している。月だって同じだ。天体望遠鏡で月の南が上になるのは真南にある時だけ。それも双眼鏡で見ると肉眼の通り上が北になっている。月の南を上にする理由などどこにも見あたらない。

と言ってまたきっと嫌われるのだ。

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