大きなほうき星がやって来る。3月10日が太陽最接近。これは何としてもカメラに納めなくてはならないと思った。
彗星は汚れた雪だるまに例えられるように、宇宙の塵と氷を混ぜてギュッと固めたような構造だ。だから太陽に近づくと温められて氷が融け、それがイオンになって周囲の塵と共に宇宙空間に出てゆく。そして太陽からの光と粒子に吹き飛ばされて尾になる。
見えるだろうか。そんな思いでみかんの丘に上がったが、折悪しく中国大陸からの黄砂の塊が西日本に到達していた。はっきりしない空はそのままはっきりしない夕暮れに変わってゆく。それでもせっかく来たのだからと、日没前からしばらく彗星が居るはずのあたりを写してみたが、やはり分厚い黄砂に阻まれて何も見えなかった。
なにしろ昼過ぎから島影はおろか手前の岬まですっかり霞んでいる。この中にPM2.5とかいう汚染物質が混じっていると思うと気が重くなってしまう。ただ、黄砂の予報を見るとこれをピークにここしばらくは山が来ない。少し追いかけてみるかな。平日は仕事だから丘には来られないけれども、職場から見られるなら写真も撮れるだろう。