電源ボックスを持ち込んで二日後、何とか時間に隙間を見つけて丘に上がった。ボックスをコンセントと繋いでブレーカーをON。まず屋根の両側のウインチに給電する。動いたことは動いたが、動作が逆。そう、ウインチのフックとワイヤーの繋ぎ方を忘れている自分に驚いた。苦笑しながらワイヤーを繋ぎ換えてもう一度スイッチを入れる。騒音と共に屋根が少しずつ北にずれていった。いったい何時から屋根を開いていないのだろう、そう思いながらスマホで自分のブログを探してみた。どこまで遡っても出てこない。ようやく見つけた日付は2017年4月25日。ひどい話だ。まる3年屋根を開けず赤道儀も動かさなかったことになる。これでどこが天文ファンだ。そう思いながら久々に広がった観測デッキからの景色を楽しんだ。南に向けて写した何枚かの写真を繋いだのが上のパノラマ写真だ。青空ならもっときれいな景色になると思うが仕方が無い。嬉しくなって外に出て、竹取庵の屋根が開いた姿を写す。
次に20センチを載せた赤道儀を見てみた。こちらも、もう本当に汚い。垢だらけといった感じ。潮風に吹かれて表面にカビも生えていた。ごめんごめんと謝りながらとりあえず表面を水拭きする。さすがにちゃんとしたメーカーの赤道儀だけある。汚れを落とすと錆びたバランスウェイトのシャフト以外はすっかりきれいになった。塗装に傷みもない。
各コネクターを磨いて接触をチェックし、恐る恐るこちらにも火を入れてみた。動く。ちゃんと動く。低速も中速も高速も。今日は残念ながらパソコンは持ってきていない。きちんとコントロールできるかどうかはまた新しいパソコンを持ち込んでからにする。
いままでこの赤道儀をコントロールしていたノートパソコンは2台。このうち1台は風雨に晒されて電源を入れてもうんともすんとも言わなくなった。もう1台は何とか動いたが、OSがWindowsXPのままだったのでここで廃棄する事にした。思えばよく頑張ってくれたものだ。新しいパソコンとは言うものの、もちろん2台とも家で使っていたWindows7のノートパソコンを10にアップデートしたものだ。コンセプトは多少窮屈だが、望遠鏡のコントロール程度なら全く問題ない。問題なのは雨風と塩水で壊れてしまったガイドスコープの目になるカメラだ。今入手できるのは最新版で、これでは望遠鏡に直接は付かない。ここも改造の必要がある。そして、それらが終わったら次は止まったままのデッキの床の工事だ。いつになったら星が撮れることやら。