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今日は帝劇 明日は日劇 はたまた国技館に後楽園ホール さらには落語家の追っ掛け 遊び回る日常を描きます。

田中絹代 山田五十鈴 高峰秀子 圧巻の女優陣 成瀬巳喜男「流れる」

2016-06-01 15:50:20 | 日記
神保町シアターの「杉村春子特集」のときは、時間のやりくりがつかず、観そこなった「流れる」文芸座の「成瀬巳喜男特集」で観てきました。1956年の作品です。
芸者置屋を舞台にした話とあって、出演している女優陣がすごい。田中絹代 山田五十鈴 高峰秀子 中北千枝子 杉村春子 岡田茉莉子 賀原夏子 さらに特別出演で、栗島すみ子と、超豪華メンバー。これだけ、「大」がつく女優さんが集まって、この撮影現場 大丈夫だったのかしらと、私など、余計な心配をしてしまいました。
大川端に近い花街。芸者置屋のつたの家に、女中奉公の女性・梨花(田中)が訪ねてくるところから始まります。梨花 いまなら、ママさんモデルになりそうな名前です。つたの家の女将・つた奴(山田)の意向で、名を「お春」と変えられますが、身寄りたよりがないというこのお春、実によく働きます。また、このお春によって、われわれ観客は、つたの家の実情を知らされていきます。「昔は流行ったようだが、今は借金まみれ」「つた奴も売れっ妓だったが、旦那と不義理して別れてからは、どうも目が出ない」などなど。
つたの家の周りには、いろいろと揉め事が噴出しています。冒頭 娘勝代(高峰)と喧嘩して姿を消した芸者・なみ江。伯父の鋸山(宮口精二)が、「姪に売春させた」と強請まがいに脅しに来ます。つた奴に金を貸している姉おとよ(賀原)は、借金の催促に訪れ、妹に新しい旦那を見つけて借金をチャラにしようと画策。困り果てたつた奴 偶然出会った昔の同僚 今では水野家の女将として羽振りのいい暮らしをしているお浜(栗島)に、前の旦那とヨリを戻したいと相談しますが、このお浜が、なかなかの策士。娘の勝代は、花柳界が嫌いで、跡を継ぐきは毛頭ない。こうしたストーリーに若い芸者ななこ(岡田)年増芸者(杉村)つた奴の妹米子(中北)米子の前夫高木(加東大介)お浜の甥で、つた奴の別れた旦那の秘書佐伯(仲谷昇)らが絡んでいきます。
ラスト 心機一転 新たな気持ちで仕込み子を入れて、唄 三味線を教えるつた奴 それをじっと見つめるお春 彼女は郷里に帰る決心をしています。しかし、お春以外につたの家の行く末を、暖かい眼で見ている人はいませんでした。