池内淳子の綺麗さ際立つ 川島雄三監督「花影」

「神保町シアター」で「花影」観てきました。大岡昇平原作 川島雄三監督 池内淳子主演 1961年の作品。実際に銀座で働いていた女性をモデルにした作品。原作者の大岡昇平の愛人だったということです。
葉子(池内)は、銀座のバーのホステス。いや、ホステスというより「女給」という言葉がピッタリくる女性。彼女が、自分が勤めるバー「トンボ」で客と共にばか騒ぎする場面から映画は、始まります。15歳で家出してから、20年近く 夜の世界で生き抜いてきた葉子。その反面 今でも酒を飲まないと、客の相手が出来ないという繊細さも持ち合わせています。
店を終え、自宅アパートに戻った葉子。淡々と、自殺の準備を始めます。彼女になにが起きたのか？ 映画は5年前に遡ります。何年か松崎という作家(この人のモデルが大岡昇平ということ 池部良が演じています)と同棲していた葉子。彼が家族の下に戻り別れることに。それから、彼女は「トンボ」に来る客と付き合い 別れを繰り返します。弁護士の畑(有島一郎) ボンボンの清水(高島忠夫) 大手デパートの社長•野方(三橋達也) 皆、彼女に美貌に魅かれ夢中になった男ばかり。が、いずれも破局を迎えます。ただ一人 高島(佐野周二)という骨董商の男だけが、最後まで 彼女の側にいますが、葉子 この男とだけは、肉体関係を持っていません。水商売の自分を唯一口説いてこなかった男として、葉子は彼に全幅の信頼をおくのですが、皮肉なことに、彼女が最後に幸せを掴み損なったのは、彼の存在が原因でした。
回想シーンが終わり、死の床へつく葉子。これがラストシーン。情に絆されやすいため、数々の男の求愛を受け入れ、結果 「自殺」という悲しい結末を迎えてしまった葉子。演じた池内淳子の綺麗さ 艶っぽさが際立った映画でした。