東北本線,東海道本線沿線 全線全駅歩き旅のブログ

旧東北本線と田沢湖線,花輪線,釜石線,八戸線,山田線、北上線、東海道本線、奈良線、大船渡線沿線歩き旅の記録。

鼠経ヘルニア手術体験記 その4

2017年03月18日 | 健康
鼠経ヘルニア手術体験記 その4

手術の翌日


痛みは続いている。

深く呼吸するだけでも痛むのだ、起き上がろうとお腹や腰に力を入れるとすごく痛いのでベッドサイドの手すりを両手で掴んでゆっくりと動き出すことになる。

昨夜もあまり眠れなかった。
午前5時の暗い空が次第に明るくなってくるのをじっと見つめていた。
今日も雲ひとつない快晴である。晴れたためマイナス10度まで冷え込んだのだった。



手術の時の医師が廊下を歩いて行く、確か昨夜遅くも見かけた。彼らはいつ寝てるんだろうか。
つくづく医者というのは大変な職業だなあと思う。
失敗は許されない、自動車や電化製品を修理するのとは違うのだ。
生身の人間に代替品はないのだからなあ。

何年か経ったら身体の部品交換がごく普通にできるような日がくるのだろうか。
そうなったらどこまで部品を入れ替えたら自分と言えるんだろうか。
うーむ、こりゃもう一度映画「ロボコップ」や「サイボーグ009」を見直さなくちゃならんなあ、などと痛みをこらえつつも考えることはアホなことばかり。


入院中は暇なんだから好きな音楽でも聞きながら過ごそうと、スマートフォンにCDをコピーしてノイズキャンセリング・ヘッドフォンまで持ってきたのだった。

手術前は横になってさえいれば痛みが無かったので、音楽を聴いたり本を読んだりして過ごせたのだが・・
手術後は痛みをこらえるのがやっとで、とても音楽を聴いて過ごすなどという余裕は無かった。
本を読もうとしても文字が目に入ってこない。
なんとか痛みをこらえて時間をやりすごすことだけである。

好きな音楽を聴いたりが出来る状態というのは平常な状態ということなのだろうな。
まことにもっともなことで、例えばお酒を飲みすぎて猛烈な頭痛になっている人に「ほら、この音楽を聴いて頭痛を忘れなさいよ」と音楽を聞かせたなら「おい! その音楽をとめてくれ~」ということになるだろうしなあ。


今日から普通食の食事になる。
歩ける患者はナースステーションの隣の食堂で食べることになっている。



まっすぐ立つことが出来ず廊下の手すりにつかまりながら前屈みになってすり足でゆっくりと進む。
その脇を看護婦さんが忙しそうに早足で歩いて行く。
自分の時間と周りの時間との進み方に差が出てきているのだった。
アインシュタインは正しい。観察するものによって時間の進み方が違ってくるのである。

わたしは朝食はトーストとサラダそしてコーヒーと決めているのだが、ここではメニューは選べるようにはなっていない。
全員同じメニューの和食である。病院食だから薄味なのだがおいしくいただけた。病院食もしっかりと進化しているのであった。


執刀医の方が来て手術痕の部分を診る「あ、よいですね問題なしだ。」とのことだ、まずは一安心。
お腹をみると絆創膏が3か所に貼ってある。



その絆創膏の真ん中が透明のセロハンのようなものになっていて傷口が直接確認できるのだった。
なるほど、これならいちいち絆創膏をはがして傷口を診るという必要が無くなる訳で、これも患者の負担を軽減させることになるのだろう。
「抜糸もありません」と言う、接着剤のようなものでくっつけるのだろうか。まさか木工ボンドとか?

あらためて自分のお腹のあたりを見ると・・なんともみっともないことになっている。
傷口のところは仕方ないとしても脇腹や胸のあたり、そしてすねのところなどくすんだ皮膚の色やしわの様子はまるで雨に濡れた段ボールのようである。
”枯れた”と言いたいところだがそんな風情はどこにも無いのだった。


昼前にトイレへと歩く。痛みが強くておしっこもちょろちょろとしか出ない。

部屋へ戻ると空いていたベッドにおじいさんが入ってきて満室になった。

昼食も朝と同じく食堂で食べる。たかが10メートルほど歩くだけなのに5分ほどもかかってしまう。



午後になって看護婦さんがやってきて「明日の退院ですから」と言う。
「え~、とても痛くて歩くこともままならないんですけど、せめてもう一日居させてください」と懇願する。



午後3時には医師が来たので「痛くて大変なので明後日の退院にしてほしいんですが」と話すと「それじゃあ、痛め止めの座薬を出します」とつれない返事。
こんな状態で本当に退院できるんだろうか。

インターネット上には「日帰り鼠径ヘルニア手術」という病院の案内がかなりある。
また体験者の2ー3日で仕事に復帰したなどの記事も見かけたので、鼠径ヘルニア手術なんて軽いものなんだと考えていたのだがやはり個人差があるのだろうなあ。

「寝ていてばかりいないで歩く練習をしてください」とのことである。


じっとしていても腹だけは減る。夕食は同じく食堂で食べる。
食べ終えてから面会用のスペースまで行きソファに腰かけたりする。



先ほどの医師が急ぎ足で歩いて行った。

少しずつだが歩く距離は長くなってきている、まだまっすぐ立てないが腰を屈める角度も少なくなってきた。

やれやれ今日も終わった。
コメント
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