そんな言葉はなかった1984年にリリースされ、見事にその事を歌っているのが以下。
『林檎雨』富田靖子
作詞/松本隆 作曲/筒美京平 編曲/瀬尾一三
林檎雨 大粒の雨音
林檎雨 降りしきる水色
おせっかいな友だちが言うの
「彼、あなたに気がある」ってね
すれ違う時 私
機嫌斜めの素振り
傘で 眼をふと かくしては
理由(わけ)もなく つんとすまし顔
林檎雨 教室の窓から
林檎雨 校庭を見てたの
ただそれだけ 影をひく肩を
眼で追うのは ほんと偶然
後ろの席で彼が
何かおどけて笑う
別に気にしてないのにね
私だけ 急に
黙りこむ
すれ違う時 私
機嫌斜めの素振り
昨日まで そう何気なく
声なんか かけて いたのにね
林檎雨 大粒の雨音
林檎雨 降りしきる水色
林檎雨 明日から髪型
林檎雨 変えようと想うの
セカンドシングル『渚のドルフィン』B面
1stアルバム「みつめてください」収録
アルバムの概要は以下の記事を紹介させていただきます。
https://ameblo.jp/no-hideaki/entry-12123288902.html
この記事でも本作が「名曲」として紹介されています。
記事を読んで気がついたのですが、編曲のストリングスが非常に良いのです。アルバム全編。
アルバム全体を録音したカセットテープがどこかに眠っているはずですが、35年も前のものなので、流石に再生不可でしょう。
この曲を含む数曲は、マイベストのテープから10年ほど前にデジタル化したものに加え、2010年発売の「ゴールデンベスト」にも収録されているので、そちらで確保していました。
乃木坂あたりがカバーしたら、実に合いそうな名曲です。
この曲を知ったのは中1のときで、上記アルバムを友人から購入した際。
富田靖子は小6当時の私が最初にファンになったアイドルで、デビューシングルも購入しています。
この頃の透明感、凛とした少女らしさ、年齢の割に堂々とした雰囲気など、非常に素晴らしいものがありました。
この透明感や凛とした感じ、どこか中性的な部分、楚々とした美しさみたいなものが、私のお気に入りアイドルの共通要素で、原田知世から石田ひかりと移ろっていきます。「女の色気」が出る手前の、それこそ富田靖子がデビューした14歳くらいの女子の感じが大好きです。
何だロリコンかよ。そうかもしれません。非モテの私は4歳から15歳にかけて無告白片思いを繰り返し苦むトラウマ期の始まりを経験しています。
その時期に同年齢だった女子に焦点が当たってしまうのです。
もう一つ、この時期は上記歌詞の「傘でふと眼を隠しては・・・」を中学時代にリアルでやっていた思い出があります。
今で言う「好き避け」ですね。
恋愛感情とまではいかない好意を示してくれていた女の子のことを、こうやって避けていたのです。目線合わせなかったり、挨拶してくれても素っ気なくしたり。
勿論嫌いなわけじゃなくて、むしろ優しくて頭のよいハーフ系美少女でしたから、なんというか気後れというか、コミュ障の性というか。
本当に『林檎雨』の歌詞と同じです。気になって気になって仕方がない自分を隠したい、取り繕いたい。恥ずかしいから。ただ好意は本当に嬉しい。でもそれを素直に出せない。もどかしさやイライラばかりが意識され、隠れた裏側には素直な暖かい気持ちがあるのに、それを出せないし交わせないんです。切ない。
私の場合、そうこうしているうちに相手の気分を害し、ガチで嫌われてしまった始末です。大変申し訳ないことをしたと思っていますし、当時のコミュ力欠如を非常に悔やんでもいます。今も大して変わっていませんが。
もっとも、好意を寄せられていると感じたのも、そうやって異性を意識するあまりに変な行動を取ったのも、私の一方的な考えで、別に先方から告白されたとか、バレンタインチョコ貰ったとか一切ないので、上記の全部が勘違いや妄想である可能性も大いにあるわけです。
そういう拗らせ非モテにとって、実に滋味深い一曲です。詞も曲も「14歳の富田靖子が表している少女像」を鋭く描写した、名作です。
ところで「林檎雨」って、初夏の雨のイメージですが、「リンゴ飴」のもじりですよね。今気づきました。