昨日は池袋で2つの研修に参加しました。
「空き家に関する地方公共団体の取り組み」と「指定管理者制度と公共施設」についてで、講師は神奈川大学法学部で公共経営論を教えておられる幸田雅治教授。弁護士でもあります。
全国で問題になっている空き家。その数はこの20年で倍増していて、景観の悪化、防災や防犯機能の低下、ごみなどの不法投棄や火災の発生を誘発するばかりでなく、悪臭や衛生の悪化、生い茂る草木などの問題があることは皆さんもご存じのことと思います。
H26年に特別措置法ができましたが、例えば長屋は全体を対象としているため一部でも居住者がいれば対象にならないし、建物がない空地も対象にならず、空き家の定義が地域の実情に合っていない場合があるんです。
そこで法ではカバーできない対策を盛り込んだ「空き家条例」を作っている宮崎市・京都市・神戸市などの取り組みについて学びました。
空き家の定義を広げたり、助言・指導・勧告を省略し即時に命令を行って解体(略式代執行)できるようにしているのです。
しかしこれらは対症療法であり、空き家が発生する原因がどこにあるのかを考えなくてはいけないと、幸田先生。
欧米では7~9割が中古住宅に対して日本は1割程度という流用の低さ。日本の住宅は高価なのに作ってはすぐ壊し、新築住宅がどんどん建設されてしまうこと。
住宅政策、相続税・固定資産税などの税制、都市政策をもっと考える必要があります。
ここでのお話で印象的だったのが、外国ではバイパスは混雑解消のためのものだから、沿線には商店を建てられないってこと。
日本はバイパスに大型店舗が建てられ道が混雑し、地元の商店がすたれてしまうという現象がおこります。
都市計画の観点では、高層ビルが立ち並ぶニューヨークと東京のまちづくりの比較が興味深かった~。
中心街から20キロ離れればほとんど建物はなく緑いっぱいのニューヨークに対して、東京はどこまで離れても住宅がびっしり!まちづくりがしっかりしていれば、こんな一極集中にならなっかたと指摘されました。
空き家対策を考えるって、結局まちづくりのあり方が問われんですね。奥深い!
第2部の指定管理者制度と公共施設については、指定管理者制度の問題や課題を学びました。
ライフスタイルの変化や多様なニーズに行政が応えるには限界があり、市民や民間事業者等との協働が進められていて、指定管理者制度もその一つでしょう。
けれど十分な管理経験をもたない団体が指定管理者になりサービスの量や質が低下するケースや、指定期間によっては優秀な人材を集めるのが難しくノウハウが蓄積されないといった問題があります。
また、そもそも指定管理には向かない施設としてTUTAYA図書館の惨状をバッサリ!自治体が図書館の役割をどう考えているのか。単なる貸し本業務なのか?図書館は地域住民の学習・教養の拠点であり、かつ地域の情報拠点である!と熱弁でした。
市原市の中央図書館もカウンター業務のみ指定管理者制度が導入されます。今後、すべての業務にまで導入されることがないよう注目していかなければ。
市原市でも市民や民間事業者等との協働という形で指定管理者制度が進められている中で、管理を任せればそれで良いというわけじゃなく、私は行政(公)の役割が今一つ見えてこなかったんです。
「協働は公的部門に新たな責任を生じさせる。しかし日本は行政の責任が非常に乏しい。」と幸田先生。
公の役割をもっと明確にしていかなければいけないと強く感じました。