障害福祉で世にも恐ろしいのは「支援者・教師による強度行動障害」。
福祉施設にも学校にも、一部「プロ」による暴力行為を「抑止力」「必要悪」として認め、そういうものと流される風潮がある。
その「有形力の行使」は「犯罪行為」であることは、「戸塚ヨットスクール事件」などで明白となっている。法律で虐待行為や故のない身体拘束は禁止事項となり、被害状況に応じて刑事罰が科される。
支援者・教師による強度行動障害への抑止力が刑事罰であるわけだからもう、暴力を好き放題したい人には、ビデオなどで証拠を取って裁判所に引き出すしかないのだ。
天白養護学校で教師Iが起こした事件のように。天白養護学校の暴行問題 元教諭と名古屋市に550万円賠償求め提訴 : 中京テレビNEWS (ctv.co.jp)
さて、利用者側の強度行動障害に対して、十数年の福祉職生活の中でいろいろやってきたが、じつはごく最近に、大変有効な方法と出会っている。
それは「護道」。武道由来の介護術の一つだ。
とりあえず、動画を一つ紹介する。ググればたくさん情報はたくさんある。
詳細は著作物や動画に譲るとして、私自身もほんの数か月だけだったが、これをやってみて、大変効果があったので、周りの職員にも勧めようとしたものだった。
何しろ、型があり、簡単な動作で興奮した相手の後ろに回り優しく抑え込み、落ち着かせることができるのだ。
これを知ってから、精神薬の禁断症状で苦しむと、甘えを持つ職員の後頭部を強打する癖のある利用者に襲い掛かれた際、とっさに護道の型をやつてみたら、簡単に後ろに回り込むことができ、相手は後ろを取られたところでいとも簡単に緩めて、関係性のできていた人だったからか、「落ち着こうか」「頓服いる?」となり、後は一服して穏やかに過ごせたことが思い出される。
強度行動障害といっても、故意に暴力をする利用者もいるが、向精神薬の禁断症状で暴れる人、感覚過敏で周りの刺激が耐えられなくて暴れる人、いろいろある。暴力行為の対象は自分より弱いと思っている職員や、愛着ができていてどうしてもわかって欲しい職員に対して暴れることが多いように、私は思う。
20年前の大倉山事件のような、偶然居合わせた幼児を殺害するという凄惨な例外も、もちろんある。あの事件は強度行動障害とわかっていた利用者に対して、万が一暴れだした場合の「とっさに制圧できる防御力」を用意せずに外出させた施設側のミス。強度行動障害のある体重120キロの20代男性を外に出すのたら、普通、武道有段者を二人はつけ、常に手をつないでいる必要がある。
説諭し戒める。というよりも安全な環境に誘導して落ち着かせる。という対応がいいような場面に、私は感じることがしばしばあった。
それから、たとえ利用者が故意に職員を危害攻撃に及んだとしても、それは想定内のことであり、施設職員は日々柔道や空手道などの鍛錬をすることを通して防御力を高めることが、プロとしての矜持であると思ってきた。
入所施設とか生活介護施設とか、あるいは就労継続支援B型など、利用者が介護度の重い人のいる福祉施設では、強度行動障害、特に自閉症者によるそれは、今も昔も、最大のテーマの一つだと思う。
外側から鍵をして閉じ込める。という今では純然たる禁止行為が未だに老舗施設でやっていることが、最近になっても報じられている。
もう一つのやまゆり園で今も続く悲劇 1日20時間、個室に閉じ込め(47NEWS) - Yahoo!ニュース
私も20年前、施設職員のころ、業務命令で最大30分程度、強度行動障害の激しい方々に外から鍵をしていたことがある。嫌な行為だったから、職員配置に余裕のある時は自分もその部屋に入って一緒にいたこともあった。
また、養護学校では常に外から鍵のかかる個室にいた利用者とも接してきた。彼は些細なことで不安定になり暴行行為に至ることが分かっていたので私はTEACCHなどの導入を主張したが、施設側は拒み、昔ながらの制圧に固執し、障害配慮の欠如に茫然としたことが思い出された。
スパルタの海が流行った50年くらい前は体罰実施が推奨されていたとかつて受けた研修で教えられた。90年代に入ると体罰が否定される風潮が出現し、身体拘束が禁止されてもう20年以上経過するが、未だに戸塚ヨットスクール方式が幅を利かせているのだ。
施設側は暴力がばれなければいいと思っているのだ。
護道などの「新しい介護術」の導入が急がれると、私は思う。