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第17回高校生科学技術チャレンジ

2019-12-28 22:47:30 | 宇宙
 第17回高校生科学技術チャレンジ(JSEC2019)の最終審査結果が
12月27日の朝日新聞に掲載されました。

 全国の高校生・高専生が理系の自由研究成果を競うコンテスト「第17回
高校生科学技術チャレンジ(JSEC2019)」の最終審査会が14、15
の両日、日本科学未来館(東京都江東区)であった。全国142校の516人
から267研究の応募があり、最終審査会では59人が32の研究を発表した。
受賞者から7研究が来年5月に米カリフォルニア州アナハイムで開かれる国際
学生科学技術フェア(ISEF)に日本代表として挑む。

⚫管理人が興味をひかれた受賞研究です。
 今年1月、高校の特別授業で月について学んだ。そこで、クレーターができる過程はまだ
完全に解明されておらず、クレーターの直径と重力の関係の解明も「まだ決着がついていない」
と聞いたことがきっかけだ。「ならば、自分たちでやろう」と研究を始めた。
橋本さんは同校の科学部に所属。授業が終わった午後9時過ぎから10時までの部活動の時間と、
ときには土日も使って研究を続けてきた。同校は大阪府内で定時制の課程がある春日丘高校、
今宮工科高校の科学部と共同研究をしている。3校合わせると、16歳から86歳まで15人の部員が
所属しているという。
刺激になったのが、顧問の久好圭治教諭が言った「世界で初めてのことをやるのが1番や」と
いう言葉だったという。久好教諭は橋本さんについて「研究についてはくじけない。学会など
で色んな人と接することで、自信をつけていった」と話す。
橋本さんは、「聞いてくれる人の様子を見ながら、自分の思いを伝えられるポスター発表が好き」
という。一般来場者向けのプレゼンテーションではたくさんの人を前に堂々と話していた。
橋本さんもISEFへ派遣される

【科学技術政策担当大臣賞】
「クレーターの直径は重力に支配されるか?
~重力可変装置を用いた衝突クレーター重力スケーリング則の実験的検証~」
橋本晃志さん=大阪府立大手前高定時制の課程3年

■理論とのずれ、自分が解く
探査機「はやぶさ2」が今年、小惑星「リュウグウ」に人工のクレーターをつくることに成功した。
 リュウグウの表面は岩だらけだったが、初代「はやぶさ」が着陸した「イトカワ」などの小惑星や
月は細かな砂に覆われており、隕石などの衝突でできるクレーターの直径は、重力が大きいほど
小さくなることが理論で予想されている。
 だが、米航空宇宙局(NASA)と日本の研究機関の過去の実験結果は、いずれも理論からずれて
いた。専門家を招いた高校の特別授業でそんな謎を知ったとき、「どれが正しいのか自分が決着を
つけたい」と思った。
 箱に細かなガラスビーズを敷き、そこに弾丸を撃ち込む実験装置をつくって滑車につるし、反対側
に重りをぶら下げた。重りが重ければ実験装置はゆっくり落下し、小惑星のような微小重力を再現
できる。重りの重さを変えながら、重力の大きさごとにクレーターの直径がどう変わるのかを繰り
返し確かめた。
 結果は、理論の予想に極めて近いものだった。NASAは実験でガラスビーズの代わりに石英の
砂を使っていたため、砂の摩擦で理論予想とずれた可能性がある、などと考察した。
 実験で小さな重力を再現できるのは、装置が落下しきるまでの約0・5秒。そのわずかな時間に
正確に弾丸が発射されるよう工夫したり、重力の大きさを加速度計で確認したり。つくられる
クレーターの直径は、箱の上と横に取り付けたデジタルカメラの動画データから読み取ることに
するなど、実験は試行錯誤の連続だった。
 「目の前にある実験装置でも大変なのに、はやぶさ2は遠い宇宙で無人でクレーターをつくって、
しかも砂や石を回収している。その技術力は本当にすごいと思いました」

大阪府立大手前高校定時制の課程の橋本さん


【文部科学大臣賞】オカダンゴムシのフンに常在するブレビバクテリウム属菌による揮発性抗カビ効果
〜ダンゴムシ研究11年目で掴んだ産業的・学術的可能性〜
島根県立出雲高等学校2年 片岡柾人さん
【科学技術政策担当大臣賞】クレーターの直径は重力に支配されるか?
〜重力可変装置を用いた衝突クレーター重力スケーリング則の実験的検証〜
大阪府立大手前高等学校定時制の課程3年 橋本晃志さん
【科学技術振興機構賞】歩行性甲虫(カブトムシ)の運動解析に基づく6足歩行ロボットの製作と制御
渋谷教育学園幕張高等学校2年 長島大来さん
【花王賞】プラズマによる気流制御技術を用いた小型風力発電風車の製作
福島県立福島高等学校2年 石川悠さん、 横山佳観さん
【JFEスチール賞】省エネルギー水電解と鉄炭素電池を組み合わせた富栄養化防止システムの開発
静岡理工科大学静岡北高等学校2年 小川福史さん、三室裕暉さん、相原聖玲星さん
【栗田工業賞】イネの吸水機構〜植物が最も吸水できる時間とは〜
ノートルダム清心学園清心女子高等学校2年 前田彩花さん
【審査委員奨励賞A】カラメル化に必要な構造を同定する
兵庫県立宝塚北高等学校3年 高津舞衣さん

審査委員代表の講評