(2021年7月3日)ムルンギン族の女と子交換の仕組みを調べています。同族は8のサブセクションを2部に分け、4の対峙する組み合わせで女(嫁)を交換します。対峙のサブセクションAとBとすると、Aが女をBに贈るとBはAに女を返さなければならない。この交換をしてレヴィストロースは「限定交換échange restreint」とした。4の組み合わせでこの仕掛けを造ったムルンギンを「異色のアボリジニ」とWarnerら(1930年代のことです)は報告者した。しかしレヴィストロースは「特別」を認めない。彼らの手法は「見えているexplicite仕組みをそのまま解析しただけ。見えていないimplicite構造に気づいていない」と批判した。1930年代に主流だった「機能主義」民族学を「構造主義」の大将が批判した形となった。
では目に見えない構造とはなにか。「ムルンギンもアボリジニに一般である4セクションでもって女を「一般化交換échange généralisé」で交換している。その仕掛けが8のサブセクションは4の階層(クラス)に集約するカラクリなのだ」と大見得をきった。
ムルンギン族の女交換は4の可能性があり、組み合わせも4通りある。
1 水平交換(標準)の1、起点をAからBへ女を贈る。
2 水平交換の2、起点はBからAへ。
3 たすき掛け交換(選択的)の1起点はAからB。
4 たすき掛け交換の2、BからA へが起点。
初めてご訪問の方には理解しにくいのでパワーポイント図を下に。


左右4ごとに分かれた8サブセクションの名称。それを結ぶ水平線が女交換の経路です。弧の破線は子を渡す流れ。NgaritがBalangに女を贈る(一番上の青の水平線)、BalangはKarrmarugに、その嫁が成した子を贈る(青破線)。この流れが8回あって、一の周回が終わる。赤の組み合わせはBalangがNgaritに女を返すを起点として、8の経路が一の周回を作る。ずべてのサブセクションは「女と子を贈ったが、女も子も貰った」でハッピー!上図は水平交換1,2の組み合わせですが、たすき掛け交換の1,2を組み合わせても二の周回が達成でき、部族民はハッピー!気分を満喫する。たすき掛け交換のみ画像は下。

上写真、破線が子の交換の組となります。
RP,PR,SQ,QSの青組とP,R,Q,Sの赤組となりました。レヴィストロースはこれらを階層クラスとしたが、周回の向きで階層が変わる、例でNgaritは子を受け取る向きではBangardiと組み、あたえる際にはKaijarkとクラスを結ぶ。この階層替りの仕組みは水平交換の組み合わせでも派生します。
しかしクラスとは社会構造の中で強固、不変な組織を引き当てます。例えば私(蕃神)は労働者階層に属します、結婚しても階層は変わりません。昨今は逆タマなる挽回があるらしいが、当方の周囲に貴顕の令嬢は見当たらないからそれは無理だろう。圭には慣れないな。若干の筆の滑りを修正し、こんな具合で論じると子の流れの向きで階層が変わるは奇っ怪。そこでレヴィストロースが諭すのが水平とたすき交換のハイブリッドです。
下図(前回掲載したパワーポイント図の切り抜き)は一の周回にNgaritからBalangへの女贈りを起点として、水平交換1の規則で1~8を回ります。二の周回にBalangがNgaritに女を返す(限定交換となってしまう)、ではなくBuralangがNgaritに女を贈る方法(たすき交換の2)を取ります。すると写真上でBalang・Warmutは2者間で子を贈り受ける。階層を形成します。このときの階層はP,R,Q,Sと固定します。Warnerが選択的、どちらかというと非標準としたこのハイブリッドがムルンギン体系を理解するカギとした訳です。

次回はもう一つの可能性(PR,RP,QS,SQ)の階層はどの組合せとなるかうを探ります(2021年7月3日)。続く。
では目に見えない構造とはなにか。「ムルンギンもアボリジニに一般である4セクションでもって女を「一般化交換échange généralisé」で交換している。その仕掛けが8のサブセクションは4の階層(クラス)に集約するカラクリなのだ」と大見得をきった。
ムルンギン族の女交換は4の可能性があり、組み合わせも4通りある。
1 水平交換(標準)の1、起点をAからBへ女を贈る。
2 水平交換の2、起点はBからAへ。
3 たすき掛け交換(選択的)の1起点はAからB。
4 たすき掛け交換の2、BからA へが起点。
初めてご訪問の方には理解しにくいのでパワーポイント図を下に。


左右4ごとに分かれた8サブセクションの名称。それを結ぶ水平線が女交換の経路です。弧の破線は子を渡す流れ。NgaritがBalangに女を贈る(一番上の青の水平線)、BalangはKarrmarugに、その嫁が成した子を贈る(青破線)。この流れが8回あって、一の周回が終わる。赤の組み合わせはBalangがNgaritに女を返すを起点として、8の経路が一の周回を作る。ずべてのサブセクションは「女と子を贈ったが、女も子も貰った」でハッピー!上図は水平交換1,2の組み合わせですが、たすき掛け交換の1,2を組み合わせても二の周回が達成でき、部族民はハッピー!気分を満喫する。たすき掛け交換のみ画像は下。

上写真、破線が子の交換の組となります。
RP,PR,SQ,QSの青組とP,R,Q,Sの赤組となりました。レヴィストロースはこれらを階層クラスとしたが、周回の向きで階層が変わる、例でNgaritは子を受け取る向きではBangardiと組み、あたえる際にはKaijarkとクラスを結ぶ。この階層替りの仕組みは水平交換の組み合わせでも派生します。
しかしクラスとは社会構造の中で強固、不変な組織を引き当てます。例えば私(蕃神)は労働者階層に属します、結婚しても階層は変わりません。昨今は逆タマなる挽回があるらしいが、当方の周囲に貴顕の令嬢は見当たらないからそれは無理だろう。圭には慣れないな。若干の筆の滑りを修正し、こんな具合で論じると子の流れの向きで階層が変わるは奇っ怪。そこでレヴィストロースが諭すのが水平とたすき交換のハイブリッドです。
下図(前回掲載したパワーポイント図の切り抜き)は一の周回にNgaritからBalangへの女贈りを起点として、水平交換1の規則で1~8を回ります。二の周回にBalangがNgaritに女を返す(限定交換となってしまう)、ではなくBuralangがNgaritに女を贈る方法(たすき交換の2)を取ります。すると写真上でBalang・Warmutは2者間で子を贈り受ける。階層を形成します。このときの階層はP,R,Q,Sと固定します。Warnerが選択的、どちらかというと非標準としたこのハイブリッドがムルンギン体系を理解するカギとした訳です。

次回はもう一つの可能性(PR,RP,QS,SQ)の階層はどの組合せとなるかうを探ります(2021年7月3日)。続く。