萩に親子鶏図鐔 会津正阿弥

① 萩に親子鶏図鐔 無銘会津正阿弥

② 萩に鹿図小柄 銘 自立斎友英(花押)
萩を印象的に採り入れている作を二題紹介する。Photo①は会津正阿弥派の作で、この派らしく抑揚のある大地を描き、萩をその風景の一部として捉えている。主題は親子鶏で、萩はその背後にあって秋の風情を高める要素。餌を啄ばむ親子鶏の姿が鄙びた趣を漂わせており、萩だけでも充分に画題となるが、萩だけを見ると古金工にも紛れるような出来であり、正阿弥派の基本が古典にあることが想像されよう。赤銅地を石目地に仕上げ、高彫に金と素銅の色絵。
Photo②の小柄は、縦の画面を巧みに利用して萩と鹿を描き表わしているも、ここでも萩は添景である。洗練味のある図柄構成で、彫刻技術も高く、鹿の振り返った様子は特に美しい。萩に鹿は和歌にも採られているほどに好適な組み合わせ。金工作品でも良く見られる図である。作者の自立斎友英(ともひで)は幕末頃の肥前長崎の工。赤銅石目地高彫金銀朧銀素銅色絵。


① 萩に親子鶏図鐔 無銘会津正阿弥


② 萩に鹿図小柄 銘 自立斎友英(花押)
萩を印象的に採り入れている作を二題紹介する。Photo①は会津正阿弥派の作で、この派らしく抑揚のある大地を描き、萩をその風景の一部として捉えている。主題は親子鶏で、萩はその背後にあって秋の風情を高める要素。餌を啄ばむ親子鶏の姿が鄙びた趣を漂わせており、萩だけでも充分に画題となるが、萩だけを見ると古金工にも紛れるような出来であり、正阿弥派の基本が古典にあることが想像されよう。赤銅地を石目地に仕上げ、高彫に金と素銅の色絵。
Photo②の小柄は、縦の画面を巧みに利用して萩と鹿を描き表わしているも、ここでも萩は添景である。洗練味のある図柄構成で、彫刻技術も高く、鹿の振り返った様子は特に美しい。萩に鹿は和歌にも採られているほどに好適な組み合わせ。金工作品でも良く見られる図である。作者の自立斎友英(ともひで)は幕末頃の肥前長崎の工。赤銅石目地高彫金銀朧銀素銅色絵。